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髑髏天使

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第三十九話 妖魔その四


「ここではそうじゃな」
「おばさんが一杯出て来てね」
「騒ぐからね」
「あの店は駄目ってね」
「しかも話に尾鰭をつけてね」
「色々言うから」
 それが大阪である。大阪ではそうしたことは日常茶飯事である。接客が悪いとそれが話に尾鰭がついてだ。あちこちに広まるのだ。
「それで潰れるからね」
「あっさりと」
「どんなに味がよくてもじゃ」
 また話す博士だった。
「そんなことではじゃ」
「駄目か」
「駄目に決まっておる」
 牧村にも話す。このことをだ。
「容赦なくだ」
「容赦なくか」
「左様、絶対に駄目じゃ」
 こうしてそうした寿司屋が否定した。そのうえでだ。
「だから関西の方がいいのじゃよ」
「寿司はか」
「そうそう、そもそも食材もいいしね」
「関西の方がね」
「お米もお酢もお砂糖もね」
「それにネタも」
 またしても妖怪達が話すのであった。
「断然関西の圧勝」
「お寿司も関西」
「それも大阪ね」
「安いし」
 最後には値段の話にもなった。
「東京の寿司って高いんだよね」
「食べ物全体がもうね」
「高いから」
 それが東京のネックの一つであった。土地の値段も関係があるのであろう。東京の食べ物は大阪と比べて高いのである。
「あれが問題なんだよね」
「しかもまずいし」
「口には合わないね」
「全くだよ」
「やはり食は関西にありじゃ」
 博士はこの言葉を締めにした。
「そういうことじゃよ」
「じゃあ今日はお寿司にする?」
「回転寿司もいいよね」
「関西のあれも美味しいしね」
「回転寿司は立派な寿司じゃ」
 博士は回転寿司に対しても自説を述べる。
「ある料理漫画は真っ先にけなしそうだがな」
「あの漫画は野蛮人が原作の下品な漫画だ」
 牧村もこう言って切り捨てる。
「読むと馬鹿になる」
「何が究極のメニューじゃ」
 博士はさらに言う。
「あんなもので料理がわかるものか」
「そうだな。そもそもあの原作者はまずい飯には店の中で怒鳴り散らしていたそうだしな」
「完全に野蛮人だね」
「人間として最低っていうか」
「馬鹿だね」
 妖怪達もそれはばっさりと切り捨てた。
「そんな下品な屑なんだね」
「っていうかそんな奴もの食べる資格ないから」
「あの漫画のキャラクターも同じことしてるけれど」
 人間は自分にあるものしか書くことはできないという。それを考えると下品な原作者が書くキャラクターが下品になるのも当然のことである。
 キャラクターは作者の分身、我が子であると言ってもいい。下品で卑しい人間は下品で卑しい人間しか生み出せず育てられない。だからそうなるのだ。
「屑だよね」
「っていうか食べる資格ないから」
「全く」
 妖怪達も言う。
「ものを食べるにはそれなりのものが必要だから」
「有難いと思う気持ちね」
「それが大事だよ」
 正論を述べていくのであった。 
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