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髑髏天使

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第三十九話 妖魔その二


「そいつが最初に牧村さんの前に出て来るな」
「それがか」
「これはわし等の勘じゃ」
 こう前置きしての言葉である。
「しかしじゃ。まず出て来るのう」
「それが戦いの合図か」
「そうなるな。しかし勘で感じるのはここまでじゃ」
 それ以降はというのだ。とてもだ。
「さて、どうなるかじゃ」
「それがわかるのは」
「多分そいつに会ってからだね」
「それ以外は何も」
「最後の魔神も出て来た」
 博士はここでまた話す。
「しかし。それもじゃ」
「吹き飛んでしまったね」
「もうね」
「完全に」
「その通りじゃ」
 博士は妖怪達のその言葉に対して頷いたのだった。
「それ以上に問題じゃ、これは」
「魔神以上にか」
「魔神のことはわかっておる」
 博士は真剣な顔で述べる。
「しかし妖魔も邪神も」
「わかっていないからだな」
「わかっておるのは邪なものを感じる」
 妖怪達の言葉を受けてである。
「それだけじゃ」
「だからこそか」
「左様、だからこそ問題じゃ」
 こう牧村にも話すのだった。
「わかっておらんからじゃな」
「そのことがわかった」
 牧村は静かに返した。
「わかっていないことがだ」
「それがわかればいい。さすればじゃ」
「話は終わりか」
「うむ。さて、これからじゃが」
 ここでだ。博士の口調が変わってきた。それが何かというとであった。
「何を食おうか」
「鰻にしない?」
「あっ、いいね」
「それがいいね」
 周りの妖怪達もそれに賛成する。かなりいるが隠れるのが上手いのだろう。図書館の中にいる他の人間には全く気付かれていないのだった。
「それじゃあね」
「そうしようか」
「鰻だね」
「そうじゃな。鰻じゃな」
 博士は彼等の言葉をさらに受けてだ。そのうえで頷いたのだった。
 そうしてだ。あらためて牧村に問うた。
「それでじゃが」
「俺にか」
「どの店がいいかのう」
 こう牧村に対して問うのである。
「鰻となるとじゃ」
「そうだな。難波にでも出たらどうか」
「難波か」
「そこで探せばいい。鰻が見つからなくとも他にもいい店がかなりある」
 彼のこの言葉を聞いてだ。また妖怪達が言ってきたのだった。
「何でもな」
「食いだおれだからだね」
「それで食べるものが一杯ある」
「それでなんだ」
「そうだ、それでだ」
 また話す牧村だった。今度は妖怪達に対してだ。
「だから行けばいい」
「そうだね。鰻じゃなくてもね」
「うどんもあるし」
「お寿司だって」
「ふむ、寿司もよいのう」
 博士は子泣き爺の寿司という言葉に反応した。 
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