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髑髏天使

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第三十六話 日常その十


「しかし果たしてそうなるかのう」
「まあ魔物は戦えればそれでいいしね」
「そうした相手だけれど」
「どうなるのかな」
「わからん。まあとにかくじゃ」
 ここで話を変えてきたのだった。
「これから色々なことが起こってもじゃ」
「動じないってこと?」
「そういうことなんだね」
「そうじゃ。動揺は禁物じゃ」
 牧村への言葉である。妖怪達から離れてであった。
「それはよいな」
「わかった。それでは今は」
「まずは人であり続けることじゃ」
 話が戻った。
「それが最初じゃ」
「それか」
「うむ、よいな」
 あらためて牧村に告げた。
「そういうことじゃよ」
「わかった。それではだ」
「それじゃあまた来るからね」
「また明日ね」
 妖怪達は笑顔に戻って彼に言ってきた。
「今度は大阪城で会わない?」
「あそこでさ」
「そこでどうかな」
「大阪城か」
 牧村は大阪城と聞いてふと眉を動かしたのだった。
「あそこか」
「あそこもいい場所だしね」
「だからね」
 こうも言う妖怪達だった。
「明日はそこでね」
「お弁当も用意しておくし」
「お菓子もね」
「用意がいいな」
「後じゃ」
 博士もまた言ってきた。
「あの娘も来るぞ」
「未久か」
「いやいや、違う違う」
 博士はその名前は笑って否定したのだった。それではないという。
「違うぞ。もう一人じゃ」
「もう一人というとか」
「そうだよ、若奈さんだよ」
「あの人だけれど」
 妖怪達の言葉だ。何とこの名前を知っているのだった。
「今日にでも来るんだって」
「そっちにね」
「来るという話は聞いた覚えがある」
 それはあるのだった。
「だが」
「今日とは思わなかったんだ」
「そうだったんだ」
「何処に泊まる」
 牧村はそのことを考えた。泊まる場所も大事だからだ。
「何処にだ、一体」
「それは知らないけれどね」
「本人に聞いてみたら?」
 妖怪達の今度の返答は素っ気無いものだった。
「そういうことだからね」
「またね」
「ではまた明日じゃ」
 博士も顔を崩して言うのだった。
「それではな」
「ああ、またな」
 博士との話は終わった。牧村は祖父の屋敷に戻った。するともうそこに彼女が待っていたのである。
「お帰りなさい」
「もう来たのか」
「あっ、携帯で連絡していたよね」
「そうだったか」
 言われて思い出した。どうも色々なことを忘れてしまっている牧村だった。他のこと、髑髏天使のことばかり考えてだ。それで忘れてしまっていたのだ。
「そういえばそうだったな」
「そうよ、それで来たのだけれど」
「ああ」
「ああ、帰ったね」
 屋敷の方から祖母が出て来た。そのうえで孫に言ってきたのだ。 
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