髑髏天使
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第三十四話 祖父その十四
「それもかなり」
「そうか」
「何か別人みたいよ」
そしてこんなことも言うのだった。
「もうね」
「そうか。別人か」
「うん、別人」
それだというのだ。
「何かね」
「しかし。人か」
「!?人って?」
「別人。別の人だな」
言葉を分けてきた。確かにそうなるものだった。
「人なのだな」
「人間じゃなかったら何なの?」
未久にはわからないことだった。
「それだったら何なの?」
「いるのは人だけとは限らない」
妹に向けた言葉ではなかった。自分自身に向けた言葉だ。
「人だけではな」
「どういうこと?それって」
「そうだな。俺は人間だ」
牧村の自分自身に向けた言葉は続く。
「その通りだな。俺は人間だ」
「あの、何言ってるのよ」
兄の言葉の意味がどうしてもわからず問い返した。
「人間がどうとかって」
「人間ならいい」
また言うだけだった。
「俺は人間だ。そうだ」
「ちょっとお兄ちゃん」
「むっ?」
ここでやっと妹の言葉に気付いたのだった。
「何だ?一体」
「何だじゃないわよ。何話してるのよ」
「気にするな」
いつもの言葉を返すだけだった。
「何でもない」
「そうなる時も多いし。何か最近おかしいわよね」
「おかしいか」
「そうよ、おかしいわよ」
また言うのであるが何処か話が噛み合っていない。
「そうして不意に自分の世界に入って」
「そうなってるか」
「一人の時はいいけれど二人の時は止めてね」
「二人の時はか」
「私の時はいいけれど」
自分の時はというのだ。
「ただ。若奈さんとの時はね」
「その時はか」
「絶対に止めてね」
その時はだというのだ。
「さもないとお嫁さんなくすわよ」
「何故お嫁さんになる」
「私も未来の義姉さんとお別れしたくないし」
未久の言葉はそんなものになってきていた。
「だからね。いいわね」
「変な理由だな」
「わからなければいいのよ」
それはいいというのだった。
「ただね」
「今度は何だ」
「もう帰るのよね」
こう言ってきたのだ。
「これから」
「そうだ。そのつもりだ」
「かなり食べたしね。もう満腹」
「満足したな」
「食い倒れ満喫したし。ただ」
「ただ?」
「明日もよね」
こんなことを言ってきたのだった。
「明日も食べるのよね」
「そうだな。明日もだな」
「何か食べるものが多くて困るわよね」
笑って話す未久だった。
「大阪って」
「それで明日は何を食べるつもりだ?」
「ハンバーグ?」
それだというのだ。
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