髑髏天使
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十三話 闘争その二十二
「それではだ。これからだが」
「どうする?」
「心を鍛えに行く」
死神から踵を返しての言葉だった。
「これから。そこに行く」
「心をだな」
「そうだ。また会おう」
彼に背を向けて歩きながらの言葉だった。そのうえで己のサイドカーに向かう。
「何時になるかはわからないにしてもだ」
「安心しろ。魔物達は貴様の前に現われる」
「それは避けられはしないか」
「そして私もまた」
彼自身もだというのだった。
「現われることになる」
「魔物を刈りにか」
「貴様を見る為でもある」
彼もその中に入っているというのだった。
「その貴様をな」
「そうか」
「そうだ。見させてもらう」
また言ってきた彼だった。
「よくな」
「なら見るといい」
彼はそれを拒みはしなかった。
「好きなだけだ。どういったふうにもな」
「そうか」
「何かね」
ここで目玉も出て来たのだった。
「君も色々あるね」
「貴様も出て来たか」
「僕はいつもいるから」
こう言ってきたのであった。
「君のことを見ているよ」
「それは何故だ」
「嫌いじゃないからね」
だからだというのである。
「君みたいな人間は嫌いじゃないんだ」
「それは何故だ」
「一生懸命なところだね」
彼のその点を言うのであった。
「そこがいいからね。だからね」
「そうか」
「君はあまり感情は出さないけれど」
それは牧村の性格である。彼はその感情は表には出さない。しかしそれでも目的の為に何かを必死にする。それが彼なのである。
「それでもわかるからね」
「そうか。わかるか」
「うん、君は人間でいないと駄目だよ」
こう彼に言うのである。
「絶対にね」
「言われずともそうする」
彼の言葉も既に決まっていた。
「そういうことでだ」
「帰るのか」
「また会うことになるな」
サイドカーに乗りそのうえでヘルメットを被るのだった。既に顔は見えなくなっている。
「その時にまただ」
「そうだな。会うとしよう」
「また会おうね」
死神だけでなく目玉も言ってきた。
「魔物になればその時は、だがな」
「その時は好きにするといい」
牧村もその時はというのであった。
「魂でも何でも刈るといい」
「ではだ。そうさせてもらう」
「またね」
こうやり取りをして別れる三人であった。闘いは終わった。そしてお互いのバイクに乗り今は別れるのであった。
第三十三話 完
2010・3・17
ページ上へ戻る