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髑髏天使

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第三十三話 闘争その十四


「明るく楽しくか」
「そうそう、こうしてお菓子やお酒を楽しんで」
「ゲームセンターや遊園地で遊んで」
「夜は墓場で運動会」
 何処かの漫画みたいなことも言うのであった。
「そして朝は寝床でグーーグーーグーー」
「遊んでばかりだな」
 牧村の言葉はまさにその通りだった。
「それが妖怪の世界か」
「人間でいるのもいいけれどね」
「妖怪もどうかな」
「それでね」
 こう言って誘い続ける彼等だった。
「いや、それでもだ」
「人間でいるんだね」
「絶対に」
「今の命の間は何があっても人間でいる」
 そうするというのであった。
「俺はだ」
「わかったよ。それじゃあさ」
「牧村さん、しっかりね」
 妖怪達は彼のその言葉を受けて温かい声をかけた。
「人間のままでいてね」
「何があってね」
「またすぐに闘いになるじゃろう」
 博士はそのことはもうわかっていた。
「しかしじゃ」
「人間のままでいなければならない」  
 もう博士の言うことはわかっていた。
「そうだな」
「左様じゃ。心をしっかりと持ち人間の世界を楽しむことじゃ」
「それにより人間であることができるか」
「人間は何によってなるか」
 博士はこのことも話した。
「それじゃよ」
「戦いのみになれば魔物になる」
「それもわかっておくことじゃ。よいかな」
「わかった。それではだ」
 壁から背を離した。そうしてだった。
「時間だ。行かせてもらう」
「おっと、そうじゃな」
 博士もここで壁の時計を見た。そのうえで言うのであった。
「それではわしもじゃ」
「ああ、牧村さんって学生だったね」
「そうだったね」
 妖怪達はこのことは忘れかけていた。
「何か髑髏天使の話ばかりでね」
「つい忘れかけてたよ」
「学生の本分は勉強だ」
 牧村もこのことは忘れていなかった。
「それは忘れていない」
「真面目だね」
「それもわきまえてるなんて」
「学ばない学生もいるのにね」
 これはどの大学にもいる。そして何時の時代にもどの国にもである。
「ってことは牧村さんって」
「優秀な学生?」
「そうなのかな」
「成績は優ばかりじゃよ」
 博士はここで彼について話した。
「しかも落とした単位は今まで一つもない」
「それって結構凄いよね」
「受けても出ない講義とかあるしね」
「大学はね」
「受けた講義は絶対に単位は取る」
 彼のポリシーだった。
「だからだ」
「真面目なんだ」
「絶対にって」
「将来はあれかものう」
 ここでまた楽しそうに言う博士だった。
「わしの後継者かもな」
「って博士まだ大学にいるじゃない」
「それでもなの?」
「それでもじゃよ。わしも後継者が欲しい」
「そういえば博士って今まで」
「そうだよね」
 妖怪達の口からあらためて話される博士の真実だった。この博士も謎が実に多い。少なくともそれは一つや二つではない。かなりのものだ。 
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