髑髏天使
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第三十一話 赤眼その十七
「このまま人間でいるだけだ」」
「髑髏天使としてでなくか」
「人間だ」
あくまでこう言うのである。
「俺は人間だ」
「そうか、人間なのだな」
「それ以外の何者でもない」
少なくとも彼の考えではだった。そこから変わることはなかった。
「何があろうともな」
「ではそうであることだ」
死神はその彼にこう返した。
「そのままな」
「今日もおかしなことを言うな」
「そう思うのなら思えばいい。それでだはだ」
「今度の戦いの場所は何処だ」
「空だ」
そこだというのだ。
「空で待っている」
「そうか。夜空での戦いか」
「我等の戦いに相応しい場所の一つだ」
死神の言葉にふとロマンシズムが宿ったように見られた。
「そうは思わないか」
「髑髏天使の戦いにか」
「そして死神のだ」
彼等二人だというのだ。
「相応しい場所だ」
「夜の世界はか」
「そうだ。夜の戦いはだ」
まさにその世界がだというのだ。
「私は今心地よい気分だ」
「そうして戦いに向かうのだな」
「そうだ。それではだ」
「いいだろう。俺は戦いの場所にはこだわらない」
そこにはロマンシズムを見ていないというのが彼だった。
「だが」
「だが、か」
「戦う」
それはというのだ。
「戦う。それだけだ」
「それならだ。行くか」
「行かせてもらおう。それではだ」
両手を拳にしてそのうえで胸の前でそれを打ち合わせてだ。そこから白い光を放つ。
その光に包まれその中で髑髏天使に変わる。そうして。
「行くぞ」
右手を肘で折ってそのうえで右手を開いてから握り締める。そして死神もだ。
右手を拳にして胸の前に置く。そうすると。
青白い光が放たれその中で戦装束になる。その右手に出て来た大鎌を一閃させてだ。そして言う。
「来い、戦いの場にだ」
「そうさせてもらう」
髑髏天使はすぐに座天使になった。そのうえで空を舞いだ。
死神も空を舞う。そうして上に行くとだ。
「来たか」
「ここに」
そこにいたのは紳士とロッカーだった。二人は宙に浮かんでいる。
そのうえで彼等と対峙してだ。言ってきたのである。
「今回の貴様達の相手はだ」
「俺達ってわけだ」
こう言いながら笑ってきたのはロッカーだった。
「相手はそれでいいかい?」
「不服なら相手は変わるが」
「相手にもこだわらない」
髑髏天使の返答だった。
「それは言っておく」
「そうか。それならだ」
「来い」
紳士に対しての言葉だ。
「相手をしてやる」
「そうか。拒むことはないのだな」
「さっきも言った通りだ」
また言ってみせるのだった。
「俺は相手が誰であろうとだ」
「闘うのだな」
「そして倒す」
言いながら既にその両手に持っている剣を構える。
「今度の相手は誰だ」
「私もだ」
今度は死神が言ってきた。
「相手が誰であろうとだ」
「構うことはねえってか」
彼に応えてきたのはロッカーだった。彼は軽口であった。
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