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髑髏天使

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第三十一話 赤眼その七


「人間は性格が顔に出て来る」
「ああ、そうだよね」
「確かにそれはね」
「あるよね」
 これは妖怪達にもわかることだった。
「人間も妖怪もだけれどね」
「顔にそうしたもの出るよね」
「もう性格が悪いと」
「自然と顔に出るからね、本当に」
「感情は顔に出る」
 牧村はまた言ってきた。
「それによって顔が作られるからだ」
「顔が歪んでいってね」
「物凄く悪い相になるよね」
「そうそう、テレビに出て来るニュースキャスターとかに多いよね」
 かなり具体的な話であった。
「二十年位前は普通の顔だったのにね」
「物凄く嫌らしい顔になったりね」
「人相悪くなるよね」
「だからだ。まずは性格だ」
 何度もこう言っていく牧村だった。
「性格をまず見る」
「それで牧村さんの彼女も」
「性格美人なのかな」
「まあそうみたいだけれどね」
 妖怪達の言葉はさらに続く。そしてこうも言うのであった。
「こんな無愛想な人と付き合えるんだからね」
「中身はしっかりしていてもね」
「無愛想極まりないから」
 彼の無愛想さについての言葉であった。
「正直なところね」
「僕こんな無愛想な人見たことないよ」
「私も」
「わしもじゃ」
 このことには見事なまでに一致するのだった。
「全然笑わないし」
「言葉もぶっきらぼうだし」
「最初こんな人いるのかって思ったよね」
「全くだよ」
「そうか」
 そしてそれを言われてもどうということはない牧村だった。
「俺はそこまでか」
「って自覚してないし」
「何でこれで人付き合いができるのかな」
「やっぱり中はしっかりしてるからから」
「みたいだね」
 何となくだがこれはわかった。
「意地悪でもないし」
「結構気を配ってくれるし」
「親切だしね」
「気前も悪くないし」
 それが彼だった。確かに愛想はないがそうしたことはするのである。
「全然笑わないけれど」
「全然無口ってことでもないしね」
「こんな変わり者の博士とも付き合ってるし」
「今度はわしか」
 話を振られた博士は苦笑いを浮かべて述べた。
「全く。どうなのじゃ」
「だって博士だってね」
「凄く変わってるし」
「奇人だよね」
「それか変人」
 妖怪達も博士にはこんな認識だった。
「仙人みたいだし」
「そもそも人間としては桁外れに長生きだしね」
「百歳超えてるんだよね」
 そしてまた年齢の話になるのだった。
「実際幾つなの?」
「百幾つなの?」
「百十は超えておるかのう」
 博士は自分のその長い髭の顎に左手を当てて述べた。
「そういえばじゃが」
「自分の年齢はっきりわからないって」
「そこまでの歳っていうのも」
「人間にしては珍しいし」
「実際に覚えておらんのじゃ」
 そうだというのである。 
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