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髑髏天使

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第二十九話 小男その二


「次があります」
「次がかよ」
「それまでは楽しく過ごして下さい」
「わかったよ、じゃあな」
 こう言ってである。
「今はそうさせてもらうぜ」
「ではそういうことで」
「僕と遊ぼうよ」
 子供がにこりと笑ってロッカーに声をかけてきた。
「それでいいよね」
「おいおい、ガキと遊べっていうのかよ」
「それでいいじゃない」
 彼はまた言ってみせた。
「それでね。何をして遊ぶの?」
「音楽でも聴こうぜ」
 ロッカーは彼にそれを提案するのだった。
「御前の好きな音楽は最近何だっけな」
「そうだね、この国の音楽は何でもね」
「ああ、日本の音楽は結構いいよな」
 ロッカーもそれは認めるのだった。
「じゃあコンサートでもな」
「行くんだね」
「他に誰か行くか?」
 彼はここで他の面々にも声をかけた。
「多い方が楽しいからな」
「そうね。それじゃあ」 
 美女が出て来た。
「私もね」
「よし、他にはいるかい?」
「私も」
「俺もいいか」
 女と男も名乗り出て来た。
「面白そうだから」
「一緒に行かせてもらう」
「俺もいいか」
「わしもじゃ」
 今度は青年と仙人もであった。
「楽しみは味わっておくことだ」
「刺激こそが魔物の喜びじゃからな」
「あんたはどうするんだい?」
 ロッカーは今度は老人に問うた。
「それで」
「そうですね。では私もまた」
「来るんだな」
「はい、そうさせてもらいます」
 老人はにこりと笑って答えた。
「御好意に甘えまして」
「よし、じゃあ悪いがあんただけはだな」
「こちらはこちらで楽しませてもらう」
 紳士はこう彼に返すだけだった。
「それだけだ」
「そうか。それじゃあな」
 こうして魔神達はそれぞれの楽しみの場所に向かった。彼等は楽しみを追い求めていた。そして牧村はその時またトレーニングに励んでいた。
 大学でも自宅でもなくロードワークに励んでいた。白いジャージ姿で街中を走っている。額に汗を流してそのうえで一心不乱に進んでいる。
 その彼にだ。横から来た者がいた。それは。
「貴様か」
「相変わらず精を出しているな」
「生き残る為だ」
 こう死神に述べた。彼は歩きながら牧村の横にいた。駆ける彼の横にそのままついている。歩いているがそれでも足はついてきていた。
「だからだ」
「人間は己を鍛える必要があるか」
「それがどうかしたのか」
「別に何もない」
 それはないと返す死神だった。
「特にだ。しかし」
「しかし。何だ」
「興味深いことではある」
 こう牧村に述べるのだった。
「見ているとだ」
「こうして鍛えることについてもか」
「そうだ。特に貴様はな」
「俺自身がそうだというのだな」
「そうだ。貴様がこうして鍛えているのは闘いの為だけではないな」
「ではそこにもまだ何かがあるというのだな」
「そういうことだ」
 牧村に顔を向けて告げる。見れば彼の服は今はブルゾンにレザーパンツである。シャツは白いものだ。その格好で彼の横を歩いているのである。 
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