髑髏天使
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第二十五話 魔竜その二
「あの魔物達は」
「妖怪からも魔物になればじゃ」
「人からも魔物になるのだな」
「そういうことじゃよ。さて」
ここまで話をしてであった。
「これで話は終わりじゃが」
「ああ」
「何か食べるか」
「今は食べるのはいい」
それは断る牧村だった。
「それはな」
「じゃあどうするのじゃ?」
「何か飲みたいが」
そちらだというのである。飲み物であった。
「何かあるか」
「はい、どうぞ」
ここで早速ろく子が出て来た。その長い首で牧村の周りを螺旋状に覆いながらそのうえで彼に一杯のお茶を勧めてきたのであった。
「薬膳茶ですよ」
「薬膳茶か」
「はい、中国のものです」
「そうか。では漢方か」
「それもおわかりですか」
「中国といえばな」
まさにそれ以外にないというのだった。
「それでは」
「如何ですか?」
「一杯欲しいな」
そしてこう答えたのだった。
「是非な」
「はい。それでは」
こうしてその茶を受け取り口に含む。その味は苦いがそれでもその苦さが確かに滋養にいいように思われた。
牧村はその茶を飲みながらろく子に対して問うた。
「それでこの茶に入っているものは」
「色々です」
「色々?」
「もう漢方薬を物凄く入れていましてですね」
「わからないか。何が入っているのか」
これで事情がわかったのだった。
「どれが入っているのかは」
「味はどうですか?」
「お世辞にもいいとは言えない」
苦さは後に残るものだった。しかもその苦さはかなりのものである。それで味がいいとはとても言えなかったのである。これは牧村だけではなかった。
「わしもこれは」
「博士もですか」
「身体にいいのは認めるがじゃ」
博士もこれは言った。
「しかしのう。苦さがあまりにもじゃ」
「それではこれを入れますか?」
言いながらだった。ここで彼女が出してきたものは。
「蜂蜜ですけれど」
「蜂蜜じゃな」
博士はそれを見てまた述べた。
「そうじゃな。少しは飲みやすくなるじゃろうな」
「ではどうですか?」
「是非貰おう」
それがなくてはとても、なのだった。
「そうでなくてはこれは駄目じゃ」
「わかりました。それでは牧村さんは」
「俺も貰おう」
彼もだというのだった。物静かだが確かに答える。
「これはな。とてもな」
「やっぱりこのお茶は飲みにくいんですね」
ろく子は二人がそれぞれそのお茶に蜂蜜をかなり入れてそのうえで飲むのを見て述べたのだった。
「それもかなり」
「かなりじゃよ」
「全くだ」
二人の意見は一致していた。
「これだけ苦いお茶ははじめてじゃよ」
「しかし身体にはいいのか」
「風邪をひいてもすぐになおる位ですよ」
ろく子はその二人に言うのだった。
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