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髑髏天使

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第二十二話 主天その七


「教師の世界には問題のある奴が多いのじゃよ」
「それは俺も感じてきた」
 実はそれは牧村も感じていることだった。これまでの学生時代でだ。
「あの世界はどうもな」
「日本人とは到底思えない輩も多ければ人格障害者も実に多い」
「全くだ。暴力教師に異常に神経質な教師にな。他にも色々いるな」
「少なくとも連中には公務員も多い筈じゃが」
 公立学校の教諭ならば公務員になる。もっともそれは意図的にかどうかはわからないが忘れられているのではないかと思えることが多い。普通人を防具の上からとはいえ竹刀で何十発も叩いたり床の上で背負い投げなどしては指導とはいえ懲戒免職を免れない。だがそれが一切お咎めなしというそれこそこの世に別世界が出て来るかの如き異常な現象が起こるのが教師の世界なのだ。これが日本の教育界だ。
「あれはどうなっておるのじゃろうな」
「あの世界は無法地帯だ」
 表情は出さないが言い切る牧村だった。
「何もかもがやりたい放題だ」
「日教組は生徒を守る組織ではないぞ」
「教師を守る組織だな」
「それも日教組におる教師だけじゃ」
 これが日教組の実態である。そうした教師の教師の為の教師による組織なのだ。生徒をどうとか言うのは嘘っぱち、もしくは偽りの看板に過ぎないのだ。
「しかもその理想はじゃ」
「最悪だな」
「共産主義なぞ何にもならん」
 博士は珍しく忌々しげな口調になっていた。
「二十で共産主義にかぶれんと情熱が足りん。しかし二十を過ぎて共産主義を信じておるのは馬鹿者じゃ」
「確かチャーチルだったな」
「チャーチルは好かんがこの言葉は好きじゃ」
 博士の考えがわかる言葉であった。
「あの組織の本音は今も変わることがないのじゃよ」
「共産主義革命を起こそうと企んでいるのだな」
「そうした輩が今だにおるのは世界で日本だけじゃ」
 とりわけ学生運動に参加していた連中である。あのヘルメットに覆面にゲバ棒を振っていた愚か者達の知能も思考も変わることがない。この日本史上に燦然とその愚劣さを記録させている輩共は何かにつけて若者達を愚弄する。しかし彼等こそがその愚弄する若者達にその知能も思想も何もかもを全否定されしかも自分達の『高邁な』理想とやらが永遠に実現されないものを理解していないのである。
「日教組も同じじゃ」
「とりわけ北朝鮮が理想だったな」
「あれは最早共産主義すらない」
 さらに悪質なものだと断定する博士だった。
「世襲の共産主義なぞ存在し得ないものじゃ」
「ではそうした国家を支持したり認める輩は」
「教師になっておること事態が異常じゃ」
 まさしくその通りである。我が国の左翼という存在は共産主義は共産主義でもそこには醜悪なエゴイズムや安っぽいロマン主義、ヒロイズムが加わって下衆なものなのだ。
「ああした連中は何よりも嫌いじゃ」
「それは俺も同じだ」
 牧村も共産主義は嫌いなのだった。嫌悪そのものを感じているのだ。
「共産主義になればどれだけの人間が死ぬかわかったものではない」
「革命?」
「それだっけ」
 妖怪達もそれが何と呼ばれるものかは知っているのだった。
「何か社会体制が変わるとかいうんだったね」
「それっていいことじゃないんだ」
「美名の中には醜い真実が隠されている」
 牧村は一言彼等に告げたのだった。
「革命はその真実は殺戮だ」
「何かすっごく嫌だね」
「そうだね。僕達無駄な命は奪わないから」
「そうそう」
 妖怪達にもその考えはない。これは確かだった。
「っていうか何でそんなことするの?」
「殺しまくるって何でなの?」
「敵だからだ」
 だからだと。牧村は彼等に告げた。
「敵だから殺すのだ」
「じゃあ牧村さんと同じ?」
「髑髏天使として魔物を倒す牧村さんと」
「いや、それはまた違うのじゃ」
 博士がここで妖怪達に説明をするのだった。
「髑髏天使はあくまで運命として魔物達と戦っておるな」
「五十年に一度生まれる髑髏天使としてだね」
「それでだったね」
「左様。しかし共産主義者とかそういう革命を考える者達はじゃ」
 違うというのである。 
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