| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

髑髏天使

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十八話 力天その二十


「まさかとは思うが」
「いや、そんなのは知らないけれどな」
「とりあえず大丈夫だとは思うけれどな」
 そうは言ってもだった。
「まあそれでも気色の悪いところだしな」
「やたらと広いしな。霊安室ってあんなに広かったのかよ」
 顔を顰めさせていた。そう言ってそこから動こうとはしないのであった。
「そんな場所を使うなんてあんた達も変わってるな」
「まあそこまで言ったりはしねえけれどな」
「そうか」
 死神はまた感情のない様子で彼等に返したのだった。
「では行かせてもらう」
「まあ。好きにしな」
「俺達はこれまで通りここで楽しくやってるからよ」
「そうか」
 死神はそれを聞いてまずは静かに頷いた。
「ならそうさせてもらうが。しかし」
「しかし?」
「まだ何かあるのかよ」
「御前達も変わった趣味を持っているな」
 こう彼等に対して述べるのだった。
「随分とな」
「まあそうかもな」
「廃墟マニアなんだからな」
 彼等もそれは認めるのだった。
「けれどよ。これはこれで中々いいもんだぜ」
「この何か出て来そうな雰囲気がまたいいんだよ」
「それで本当に何かが出て来たらどうするつもりだ」
 牧村はここでこう彼等に言った。
「その場合は」
「出ねえ出ねえ」
「なあ」
 しかし彼等は牧村の今の言葉は笑って否定するのだった。
「そんなのよ。出るわけねえって」
「幽霊とかお化けとかよ。いたら見てみたいもんだぜ」
「なあ」
「私は死神だが」
 死神は本当のことを告げてみせた。
「言っておくが」
「何だよ、随分と格好いい通り名だな」
「あんた奇麗な顔してるけれど実は格闘家か何かか?」
「いいねえ、顔はよくてしかも強い」
 やはり彼等は死神が本当に死神だとは思っていなかった。そんなことは夢にも思わずそうしてそのうえで彼に対して言葉を続けるのだった。
「そっちの兄ちゃんもいい感じだけれどな」
「もてそうだよな」
「信じないのならいい」
 だからといって死神にとってどうということはないからの言葉だった。
「それならな」
「まあその性格はなおした方がいいんじゃねえかな」
「それはな。ちょっとな」
「どうかって思うぜ」
 ただし死神の性格については苦笑いで返すのだった。
「もうちょっと愛想よくしないとな」
「そっちの兄ちゃんもな」
 また牧村に対しても言うのだった。
「もうちょっと。愛想よくな」
「頼むぜ、その辺りはよ」
「わかったがそれをするつもりはない」
 牧村は極めて無愛想に彼等に返す。
「人にはできることとできないことがある」
「だからその性格はよ」
「なおした方がいいぜ。もてる為にはな」
「そうか」
 こう言われてもやはり態度はそのままの牧村だった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧