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髑髏天使

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第十六話 青年その二


「それはな」
「わかってくれたらいいよ。それでね」
「ああ。何だ」
「やっぱり早速仕掛けるの?」
 こう声に対して尋ねるのだった。
「昔みたいに」
「そのつもりだが」
 声の方もそれを認めてきた。何とでもないようにだ。
「駄目か」
「別にいいよ。じゃあ今回はそっちでやるんだぜ」
「やらせてもらいたい。ではすぐに行って来る」
「待って」
 しかし声に対して女が声をかけてきた。
「行くのはいいけれどね」
「何だ?」
「髑髏天使が何処にいるかはわかるわよね」
「探すまでもない」
 静かな、冷徹なものさえ感じさせる言葉での返事だった。
「あの気配は何処からでも感じ取ることができる」
「そうね。だったら問題はないわね」
「そうだ。それでは行って来る」
「せめて一息されてはどうかと思うのですが」
 老人はすぐに行こうとする彼に対して寂しそうな声で述べた。
「それはありませんか」
「悪いがな。今はそんな気分じゃない」
「そうですか。では無理強いしても悪いですし」
「行って来る」
 声は今度は一言で返したのだった。
「それではな」
「はい、それでは」
「楽しんでくるのだな」
 男は声に対してこう告げた。
「今度の髑髏天使の強さをな」
「強くない輩と闘っても何の意味もない」
 声はこのことは強く己の中でも確かめている感じであった。それが声にも滲み出ていた。
「つまらない奴なら帰る」
「帰るの?」
 子供はその言葉を聞いて声をあげた。
「倒さずに。帰るの?」
「弱い奴は倒す価値もない」
 子供の問いにこう言い返すのだった。何でもないといったように。
「だからだ。では行って来る」
「うん、またね」
 こうして声は何処かへと消えていった。四人はそれを静かに見送るだけだった。女は彼の気配が消えてからまた口を開いたのだった。
「変わっていないようで何よりだわ」
「そうだね」
 子供は微笑んで女の今の言葉に頷いた。
「あのぶっきらぼうな感じがいいんだよね」
「そうですね。彼も戻ってきてさらに賑やかになります」
 老人もまたその顔を綻ばせていた。
「大いに。では今は彼に任せて」
「我等はどうするのだ?」
「待っている間飲むとしましょう」
 こう男に対して応えるのだった。
「その間。如何ですか?」
「いいわね。この国のお酒もいいものだしね」
「そうだよね。お酒は何でも揃ってるし」
 子供も笑顔で述べる。
「じゃあ早速何処かで飲む?」
「場所はもう見つけてあります」
 老人は自分の周りにいる三人の同胞達に告げた。
「そこに行きましょう」
「そこは何処だ?」
 男はその鋭い目で老人に場所を問うた。
「また居酒屋か。何処かの」
「今回はお店ではありません」
 しかし老人はそれは否定するのだった。 
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