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髑髏天使

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第十五話 子供その十


「中南米じゃな」
「そうだったな。文献では」
「左様じゃ。そうか。中南米の魔神か」
「これで四人目だが」
 牧村は魔神の数についても述べた。
「今のところな」
「あと八人じゃな」
 博士も彼の今の言葉に応えた。
「さて、次は誰が出て来るかじゃが」
「あいつはこんなことも言っていた」
「どんなことをじゃ?」
「俺があいつと闘うのに相応しい強さになったならば」
 今度話すのはこのことであった。
「その時に闘うと」
「魔物の習性じゃな」 
 それがどうしてかは博士も知っていた。
「それはのう」
「そうだな。それが魔物だ」
「魔神もまた然りじゃよ」
 魔神もそうだというのだった。
「魔物達の神であるあの連中ものう」
「ではその考えは魔物と同じか」
「そうじゃ。ただし強さはまるで違う」
 このことを言うと博士の目が鋭くなった。
「それこそ上級の天使にでもならないとのう」
「闘う時は来ないか」
「文献ではそうなっておる」
 また文献を話に出してきた。
「文献ではのう。かつて封印された時はその髑髏天使は最高位の天使じゃった」
「九つの階級でだな」
「そうじゃ。そのうちでの最高位じゃった」
 博士は話す。
「熾天使じゃった」
「その位にならないと駄目なのだな」
「少なくとも相手にはされないじゃろうな」
 博士は極めて冷静に述べた。
「相手は仮にも神じゃからな」
「そうか。ではまだ先だな」
「そう遠い先でもないかも知れぬがのう」
 しかし博士は牧村の言葉にはこう返すのだった。
「今の君では」
「俺ではか」
「何度も言うが君の上がり方は尋常ではない」
 博士はこのこともここにおいても彼に話した。
「とてもな。このままいけば本当にすぐかも知れん」
「そうなのか」
「かえって心配にもなる」
 今度は怪訝な顔で首を捻ってきた。
「ここまで急だとな」
「すぐに強くなることが問題か」
「それは実際はよいことじゃ」
 まずはそれはいいことだというのだ。
「何でも早いに越したことはない」
「そうだな。ではどうして」
「しかし。髑髏天使にはまだわかっていないことが多過ぎる」
 博士は今度はこのことを言ってきた。
「まだな。わかっておらんことがな」
「その階級や強さのこともか」
「そう。まずその時の髑髏天使によって随分と違う」
 髑髏天使は五十年に一度現われる存在だ。つまり五十年周期でそれぞれ一人ずついたのだ。その髑髏天使達がそれぞれ違うというのである。
「中には然程強くならずに終わった者もおる」
「熾天使にはならずにか」
「座天使になった者も実は僅かなのじゃよ」
 このことも牧村に話すのだった。
「それものう。少しなのじゃよ」
「そうだったのか」
「そうじゃ。君が今なっている能天使には誰もなっておる」
 その全ての髑髏天使がだ。
「しかしそもそもそこに至るまで相当かかるからじゃ」
「中々そこからはか」
「そういうことじゃ。また強くなれることにも限度があってじゃ。天使によってな」
「ではすぐ上の力天使になるには」
「ここから減って殆ど主天使止まりじゃ」
「中級の最上位でか」
 そこまでが中級の天使なのである。 
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