髑髏天使
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第十三話 衝突その一
髑髏天使
第十三話 衝突
睨み合う両者。その中で髑髏天使は死神に対して告げた。
「変われ」
「変われというのか」
「今の貴様と闘うつもりはない」
髑髏天使は彼に告げた。
「今の貴様とはな」
「あくまで闘う姿になった私とか」
「そうだ」
そういうことであった。
「だからだ。変われ」
「そのうえで私と闘うというのか」
死神もまた髑髏天使の言葉を受けて述べた。
「ならば」
「貴様が神であろうと俺は引きはしない」
髑髏天使はまだ構えは取ってはいなかった。両手に剣を持っただけで彼に対して告げていた。
「闘うのならな」
「では。変わろう」
言いながらその右手をゆっくりと前に出す。そして。
「今こそここに」
その右手を拳にして胸のところにやった。するとその拳から青い光が放たれ彼の全身を包み込む。その光が消えた時鎌を持った白い服の死神がいた。
「覚悟はいいな」
死神は一旦目をしばたかせてから彼に告げた。
「私をこの姿にさせて」
「闘うには覚悟は必要だ」
髑髏天使は構えを取りながらその死神に言葉を返した。
「だからだ。それはな」
「そうか。いいのか」
「行くぞ」
早速左に動きだした。
そのうえで死神の動きを窺う。しかし死神は今はその場に立ったままである。
そのままで動こうとはしない。髑髏天使はそれを見て呟いた。
「動かないというのか」
だが何の理由も考えもなしに動かないのだとは思っていなかった。
「何を考えている」
彼は死神の考えについて思案した。
「ここもあれを使うのか」
「貴様は一人」
あの時の術を使うのかと思ったその時だった。
死神は言った。そして彼が読んだ通りの動きを見せてきた。
その身体が幾つにも分かれるやはりあの分身の術だった。五人に分かれた死神はそれぞれ独自の動きを見せつつ同じ大鎌を持って彼に襲い掛かって来た。
「やはりそれで来たか」
「この術の力は貴様も知っている筈だ」
そのうちの一人が早速彼に斬り掛かって来た。
鎌が上から彼を一閃しようとする。しかしそれは左手のサーベルで何とか受けた。
頭の上に鎌の白銀の殺気だった光が見える。それはトンネルの橙の光をも反射し禍々しい光を発しているようにも見えた。まさに死そのもののように。
「見事だ」
鎌を振り下ろしたその死神が言う。
「今の一撃を受け止めるとはな」
「伊達に多くの闘いを経ているわけではない」
髑髏天使は言葉を返しながらも周囲への警戒は怠ってはいなかった。
「そしてだ」
すぐに後ろに跳び退いた。それにより右から来た別の死神の攻撃をかわした。
その上で翼を使って上に飛びまた別の一人が左から来るのもかわした。四人目が下から跳んで斬りつけてきたが右手の剣を一閃させその鎌を跳ね返して防いだのだった。
何とか四人の死神の動きは防いだ。そのうえでトンネルの天井近くを飛びつつ今浮かび上がってきた五人目の死神に正対した。
「貴様もまた飛ぶことができるのか」
「翼はない」
それはないと言う。
「しかしだ。私自身の力によって飛ぶことができる」
「そういうことか」
「そしてだ」
他の四人もここで浮かび上がってきた。五人で彼を取り囲む。
「それはどの私もだ」
「己の力はそのままにして身体を分けることができるのだったな」
ここであらためて彼の力を知った。
「見事なものだな。実際に相手をしてみるとそれがさらにわかる」
「では覚悟はいいか」
五人の死神が鎌を構えたうえでそれぞれの口で彼に問う。
「これで」
「命を刈る」
「しかし俺もまたこうした場合にカードはある」
髑髏天使はまだ諦めてはいなかった。
「俺にもな」
言うとするぐそのカードを切った。彼の周りに複数の炎の柱が噴き上がった。その炎柱はそれぞれ螺旋状に動き回りながら死神達に襲い掛かったのだった。
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