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髑髏天使

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第十二話 大鎌その九


「これからはわからないがな」
「では強くなってみせよう」
「そうか」
「その邪魔をするのなら遠慮はしない」
 牧村はその目に鋭いものを宿らせたうえで死神に言ってきた。少なくとも一歩も引かないものがそこにはあった。それを抜き身にしている。
「俺はな」
「私は神だ」
 死神もまたその抜き身のものを正面から受けて引かなかった。
「魔神達と同じな。それでもだな」
「それでもな」
 牧村はここでも引かなかった。
「その時は遠慮はしない」
「少なくとも心はあるか」
 死神は牧村のここまでの言葉を聞いたうえで述べたのだった。
「わかった」
「何がわかった?」
「貴様のことがだ」
 死神はまた静かに言葉を返した。
「これでわかった。では今は去ろう」
「消えるというのは」
「聞きたいことは聞いた」
 彼は言う。
「そして知りたいことも知ったからな。用は終わった」
「だが。また会うことになるな」
 髑髏天使は去ろうと踵を返しだした死神の背に対して声をかけた。
「またな」
「それは間違いなくな」
 死神は彼に背を向けつつ言葉を返すのだった。
「闘いの場でな」
「魔物は俺が倒す」
 牧村の声には強さが宿った。
「どの魔物もな」
「それは私も同じだ」
 話す死神の前にあのハーレーダビットソンが来た。操縦する者はいなかったがそれでもひとりでに主のところにやって来た。そうしてひとりでに主の前に止まったのだった。
「私もまた。魔物の命を刈る」
「目的は同じだな」
「だが。狙うものもまた同じだ」
 ここに問題があった。
「魔物だな」
「私は狙ったものは諦めない」
 死神は牧村に顔を向けて言ってきた。
「死神だからな」
「死神だからか」
「そうだ。外したことはない」
 こうも言うのだった。
「一度もな」
「では外した時はどうするのだ?」
 牧村は自分自身に顔を向けるその死神に対して問うた。
「その場合は」
「それはもう決めてある」
 死神はすぐに彼に答えてきた。
「その場合はな」
「ではどうするのだ?」
「その外した原因をなおす」
 彼は答えた。
「そしてそれが障害ならば」
「障害ならば?」
「その障害を刈る」
 一言であった。
「それだけだ。その障害を刈るだけだ」
「そうか。刈るか」
「容赦はしない」
 死神はさらに言う。
「その場合はな」
「そうか。その場合はか」
「覚えておくことだ」
 語る死神の目からは鋭い光を放っている。その鋭い光で彼を見ている。それは冷静だか明らかな殺気を放っていた。言うまでもなく彼に向けている。
「いいな」
「覚えてはおく」
 牧村はその殺気を受けても怯むことなく彼に言葉を返した。 
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