髑髏天使
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第五十七話 挨拶その十一
そして服もだ。黄金のそれになった。その姿になってだ。
彼はだ。牧村に言うのだった。
「これがだ」
「僕達の真の姿なんだ」
目玉も言うのだった。二人でだ。
「一つになった私達の」
「死と眠りの神の力なんだ」
「二つの力を合わせた姿だな」
「そういうことになる」
「今の姿がね」
「天使長としての俺だけではないか」
牧村は己のことを当てはめて考えてそれから述べた。
「貴様達もまた」
「一方が弱くては何にもならない」
「だからだよ」
それでだと話す彼等だった。
「今魔神達に言われて気付いた」
「そのことにね」
「そうか。わかった」
牧村もその話を聞いて頷いた。
そうしてだ。彼等は言うのだった。
「では。行くか」
「そうしようか」
「そうするとしよう」
牧村も頷く。そうしてだった。
魔神達もだ。口々に言うのだった。
「それではです」
「僕達もね」
「行くとするか」
こうしてだった。彼等もだった。
変身した。その正体になった。
そのうえでだ。百目が同胞達に言った。
「では、行きましょう」
「ええ、それじゃあね」
「その混沌の場に」
九尾の狐とウェンティゴが応えた。そうしてだった。
一歩前に足を踏み出した。その彼等に続いてだった。
牧村もだった。その姿をだ。
髑髏天使に変えていた。あの天使長の姿にだ。
「はじまりだな」
「終わりのな」
「そうだ、終わりのはじまりだ」
こう死神に応えるのだった。
「今からだ」
「そして完全に何もかもが終わる」
また言う髑髏天使だった。
「混沌との戦いが」
「そうだな。我々もだ」
バジリスクがだ。髑髏天使の今の言葉に応えてきた。
「最早髑髏天使とはだ」
「戦わないというのか」
「戦い自体をしない」
それ自体をというのである。
「最早だ。それ以上の楽しみを見つけた」
「人間の世界、今の世界だな」
狼男だった。彼も本来の姿で話していく。
「この世界は楽しいことが山程あるからな」
「そちらを楽しめればそれでよくなったのじゃよ」
バーバヤーガもだ。そうなったというのだ。
「かなり変わったわ」
「変わったね、確かにね」
クマゾッツもそれを話す。
「僕達もね」
「遊びはいいものだ」
逆さ男もそれを話す。
「それでは。この戦いの後はだ」
「飲みましょう、皆で」
キリムはだ。酒を望むのだった。
「それから。ずっとね」
「楽しむとしよう」
「戦い以上の楽しみを」
「僕達もあれかな」
目玉が死神の中から死神に話した。
「この戦いだけなんだね」
「そうだな。一つに戻っての戦いはだな」
「これが最後になるだろうね」
「少なくとも千年はない」
それだけの長い間はだ。ないというのだ。
「その間はない」
「千年なんだ」
「それから先はどんな奴が出て来るかわからないのだからな」
「まあそうだね。混沌の神々だってそうだし」
「しかし当面はない」
そのだ。千年を当面だというのだ。
「我々が一つに戻り戦う必要のある相手はだ」
「そういうことなんだね」
「そうだ。それはない」
また言う死神だった。
「私だけで充分だ」
「言い換えると。僕達が一つに戻らないとならないだけの相手」
「それが混沌の中心にいる神々だ」
「原初の混沌だね」
「それを倒せば。当分はない」
「わかったよ。それじゃあね」
こうした話もしてだ。彼等はだ。
混沌の中心に進んでいく。そこにおいてだ。彼等の最後の戦いを行うのだった。
第五十七話 完
2011・4・13
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