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髑髏天使

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第五十六話 使長その十三


 牧村達に対してだ。こう言ってきたのである。
「はじめるにあたってね」
「何だというのだ、それで」
「髑髏天使だったわね」
 牧村を見下ろしてだ。そのうえでの言葉だった。
「貴方はどうやら」
「感じ取っているか」
「今あるそれ以上の力を発揮しようとしているわね」
 これが牧村への言葉だった。
「そうね。私達を超えるかも知れない力をね」
「ではその力を出す前にか」
「いえ、出した貴方を倒したくもあるわ」
 嘲笑だった。彼女もそれを言うのだった。
「それも一興ね」
「余裕だな」
「ええ、余裕よ」
 それだというのだ。
「神としてね」
「混沌の神か」
「その混沌に飲み込んであげるわ」
 言いながらだ。その周りにだ。
 どす黒い何かを出してきた。それは。
「瘴気ですね」
「そうじゃな」
 魔神達は既に正体を出していた。バーバヤーガーが百目の言葉に応える。
「それじゃな」
「この神の力はそれなのですね」
「戦闘開始という訳じゃな」
「ではだ」
「こちらもはじめるとしよう」
 牧村と死神もだ。その瘴気を見てだった。
 それぞれ身構える。そうしてだ。 
 牧村は両手を拳にしてそれを己の胸の前で打ち合わせる。
 死神は右手を拳にして己の胸の前に置いた。するとだ。
 それぞれ二色の、白と青の光が起こってだ。彼等は戦う姿になった。
 今度は最初から今二人がなれる最も強い姿になっていた。その姿でだ。
 髑髏天使は拳を開いてから握り締め死神は右手の鎌を一閃させた。
 それからだ。二人は言った。
「行くぞ」
「刈らせてもらう」
 この言葉を合図にしてだ。戦いに入るのだった。
 まずはだ。神からだった。
 その瘴気を四方八方に放つ。それでだ。
 そこにあるもの、空間も含めてだ。全てを溶かしていく。それを見てだ。
 髑髏天使がだ。まず言った。
「何もかもをか」
「ええ、そうよ」
 神からの言葉だ。
「私の瘴気は全てを溶かしていくわ」
「この世界も何もかもか」
「そう。そしてそれはね」
「俺達もだな」
「勿論よ。全てを溶かしていくから」
 当然だ。彼等もだというのである。
「さあ、それに対してどうするのかしら」
「その瘴気は酸だな」
 死神が言った。その瘴気を見てだ。
「そうだな。正体は酸だな」
「わかるのね、それが」
「見ればわかることだ」
 こう言ってみせる死神だった。
「かなり強力ではあるようだがな」
「混沌の酸よ」
 それだとだ。神も言う。
「これはね。混沌の酸よ」
「全てを溶かす酸か」
「そう、全てをね」
「それに対してどうするか」
 今度は髑髏天使が言う。
「それがこの戦いということだな」
「どうしようもないわよ」
 神はその言葉に勝ち誇ったものを含ませて述べた。
「誰にもね」
「勝つのは貴様ということか」
「そういうことになるわね。私の酸は何を以てしても防げないわ」
 そうだというのである。 
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