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髑髏天使

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第五十六話 使長その五


「これまでとな」
「難しく考えずにか」
「そのうえで使いこなす」
「わかった。それならだ」
「剣を使うのと同じじゃ」
 天使長の力と剣をだ。同じとするのだった。
「それとじゃ。同じじゃ」
「では。新たな剣でだ」
「最後の最後まで戦うのじゃぞ」
「そうさせてもらう。まずは次の戦いか」
「次の戦いは重要ですね」
 ろく子が話した。こうだ。
「天使長になれるか。そしてなってから」
「その力を使いこなせるか」
「神の力はかなりのものです」
 言うまでもないことだが、だ。ろく子は今はそれをあえて言ったのである。
「これまでの力とは全く違うので」
「しかしだな」
「はい、難しく考えずにです」
「使いこなすか」
「剣に例えればです」
 ろく子もだ。力を剣に例えてだ。話をするのだった。
「大きな、重くて」
「そして切れ味の鋭い剣か」
「そうなりますね。そうした剣です」
「それを俺が操る」
「そうなります。巨大で重い業物です」
 天使長の力はだ。そうしたものだと話される。
 その話をしてだ。ろく子だけでなく博士もだ。牧村を見て告げた。
「それを君が使いこなせば」
「必ず生きて戻れます」
「だから。頼んだぞ」
「使いこなして下さいね」
「そしてじゃ。今はじゃ」
「食べましょう」
 ここまで話してだ。話を戻してきた。
 メロンをだ。話に出すのであった。
「アイスクリームとブランデーと一緒にじゃ」
「牧村さんのブランデーはノンアルコールで」
「それで皆で食べるとしようぞ」
「楽しく」
 笑顔で話す二人だった。それを受けてだ。妖怪達がまた賑やかに話す。
「そうそう、メロンなんてね」
「ついこの前まで夢みたいな御馳走だったし」
「それがこうして簡単に食べられるなんて」
「凄い話だよ、これって」
「メロンはそうだったな」
 牧村も知っている話だ。かつてメロン、それにバナナは滅多に食べられないどころではなかった。最高の御馳走の一つだったのだ。
「かつてはな」
「決して何処かの尊師や将軍様の好物というだけではないぞ」
「そうだよ。あの連中が好きでもね」
「それでもだよ」
「美味しいのは変わらないし」
 妖怪達も笑顔で話す。ここでもだ。
「だからね。皆でね」
「皆で食べよう」
「食べることはじゃ」
 博士の言葉が哲学めいてきた。
「人生最大の喜びの一つじゃ」
「だよね。僕達にとってもね」
「妖怪生最大の喜びの一つだよ」
「最高の遊びだよね」
「そうだよね」
 食べることもだ。遊びだというのだ。
「生きる為に食べるんじゃないからね」
「食べる為に生きる」
「ひいては遊ぶ為に生きる」
「そういうものだからね」
「遊ぶ為にだな」
 牧村はその言葉に反応した。
「それが妖怪か。そして」
「人間じゃよ」
 博士が彼のその言葉を補完した。 
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