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髑髏天使

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第五十三話 怪地その十九


「こうしていても」
「通じないのがわかるな」
「泥だけならどうということはありませんが」
 百目は攻撃しながらまだ言う。
「ダイアは」
「そしてダイアもじゃな」
 ダイアについてはだ。バーバヤーガが話した。
「ダイアだけなら対処できた」
「そうだな」
 ウェンティゴは神に冷気を浴びせた。しかしだった。
 その冷気も通じない。泥に熱を帯びさせだ。常に動かしているからだ。
 それならば泥は凍らない。神も考えているのだ。
「泥とダイアか」
「その二つが合さればな」
「どうにもならないか」
 彼等にとってはだ。お手上げだと思われた。
 しかしだ。ここで言ったのはだ。
 髑髏天使だった。彼は落ち着いて言った。
「確かに手強い」
「我は倒せぬ」
「いや、手強いがだ」
 それでもだとだ。髑髏天使は神に返した。
「それでもだ」
「倒せるというのか」
「そうだ。倒せる」
 髑髏天使は確かな声でこう神に言うのだった。
「倒せない相手はない」
「相手はない」
「そう言うのか」
「そうだ、無敵の存在なぞいはしないからだ」
 髑髏天使の今の主張の根拠はそこにあった。そうしてだ。
 彼はだ。ここで剣を構えた。その両手に持つ剣を一つにしたのだった。
 そのうえでその剣を巨大化させた。己の何倍もある大きさの両刃の十字の剣にした。 
 そしてそれをだ。振り被ってから言うのであった。
「確かに今の貴様には炎は通じない」
「何度も言うのだな」
「そしてどんな攻撃も通じない」
「ダイアにはな」
「泥でダイアの唯一の弱点を消している」
「凍らせ泥を剥ぎ取らせもしない」
 先程のウェンティゴの冷気への対処のことだった。
「それも言っておこう」
「そうだな。だが、だ」
「だが、か」
「それでも貴様は倒せる」
「今の我には何も通じなくともか」
「そうだ、倒せる」
 また言うのだった。神に対して。
「今それを見せよう」
「どうする気だ、それで」
「いいか」
 髑髏天使はここで死神に対しても声をかけた。
「俺が決める」
「勝てる算段はあるのだな」
「俺は勝てない戦いはしない」
 これが死神に対しての返答だった。
「絶対にだ」
「そうか。それではか」
「これで決める」
 髑髏天使は剣をさらに振り被った。そうしてだった。
 その剣をだ。神に対して投げた。
 巨大な剣が唸り声をあげて一直線に飛ぶ。そしてだった。
 その剣がだ。神を貫いたのだった。それを受けてだ。
 神がだ。驚愕の声を漏らしたのだった。
「何っ・・・・・・」
「上手くいったな」
 髑髏天使が言った。
「予想通りだ」
「ダイアを貫いたというのか」
「どんな物質にも急所がある」
 髑髏天使は驚愕する神に告げる。六枚の翼で舞いながらだ。神に正対してだ。そのうえでその彼に対してこう告げるのであった。 
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