とある星の力を使いし者
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第11話
前書き
連続投稿です。
「幻想御手」。
「幻想御手」とは使用者の能力を引き上げる物ではなく、同じ脳波のネットワークに取り込まれることで能力の幅と演算能力が一時的に上がっているだけに過ぎない。
一人の能力者がいてその力が弱い力だとしてもネットワークと一体化する事で、能力の処理能力が向上してさらに同系統の能力者の思考パターンが共有される事でより効果的に能力を扱う事が出来る。
しかし、「幻想御手」の使用者は他人の脳波に強要される続ける事を意味している。
その為使用者が昏睡してしまうのもネットワークに完全に取り込まれ、脳が自由を奪われているからである。
白井と美琴は「幻想御手」の本当の力について話し合い、白井は風紀委員の支部のセキュリティを解いて部屋に入る。
そこには、テーブルに腰掛けている麻生が部屋の中にいた。
美琴と白井は思わぬ人物がいる事に驚いている。
「な、なんであんたが此処にいんのよ!!!」
「どうもこうも初春に手伝ってくれと頼まれたから、此処でお前達が戻ってくるのを待ってたんだよ。
それと白井、此処のセキュリティは甘すぎる。
もう少し強化した方がいいぞ。」
会っていきなりセキュリティの駄目出しをする。
白井は色々言いたかったが今の状況を考えると、そうも言ってられないので黙っておき麻生に今の状況について説明する。
一方、初春は手には手錠されている状態で木山の車に乗せられてどこかに向かっている。
木山は初春を拘束しただけで危害は加えるつもりはなく、初春の花飾りについて質問するなど何も変わらず初春に話しかける。
初春はその質問には答えず「幻想御手」を使い何を企んでいるのかを木山に聞く。
「あるシュミレーションを行う為にね。
「樹形図の設計者」の使用申請をしたんだがどういう訳か却下されてね。
代わりに演算機器が必要になんだ。」
「それで能力者を使おうと?」
「ああ、一万人ほど集まったから多分大丈夫だろう。」
「!?」
一万人もの人を巻き込んだ木山を初春は睨みつける。
「そんな怖い顔をしないでくれ。
シュミレーションが終わればみんな解放するのだから。」
そう言って木山はポケットに手を入れある物を初春に渡そうとするが止める。
それは「幻想御手」のアンインストールする治療用プログラムで、それを使えば植物状態の人達を後遺症なく元に戻す物だが木山は此処で彼女に渡したところで意味はない、と考え止める。
なぜなら、木山は誰が相手だろうと負ける訳にはいかない。
だから自分は負けてもいいと言う逃げ道を作る訳にはいかないと思った時、車の中にある画面が反応を示す。
「もう踏み込まれたか。
君との交信が途絶えてから動きだしたにしては早すぎるな。
別ルートで私にたどり着いたか・・・・」
木山のパソコンは所定の手続きを踏まずに起動させると、セキュリティが作動してパソコン内のデータが全て失われるように設定されている。
木山は尚更負ける訳にはいかないと決意を決めた時、目の前に警備員達が銃器などを装備して道路に展開していた。
「私も出るわ。」
風紀委員の支部の中でジッ、としているが性に合わないと言って現場に行こうと美琴が言い出す。
「初春も風紀委員の端くれ、いざとなれば自分の力で!!・・・・・多分何とか・・・運が良ければ・・・・・」
初春も風紀委員だが白井の様な強力な能力は持っておらず一人の力で抜け出すのは厳しい。
「ですが、単なる一科学者にすぎない木山に警備員を退ける術はないかと・・・」
「何千人もの昏睡した能力者の命を握られているのよ、そう上手くいかないかもしれないわ。
それに何か嫌な予感がするのよね。」
「ならなおのことここは風紀委員のわたくしが・・・・」
白井は美琴に行かせるわけにはいかないと、席を立つがそれと同時に美琴は白井の肩に手を置く。
そこは白井が怪我をしている場所で白井は触られただけで痛みに震えた。
「おねっ・・お姉様気付かれて・・・」
「当たり前でしょ・・アンタは私の後輩なんだから、こんな時くらい「お姉様」頼んなさい。」
白井はその言葉を聞くとそれを実行するかのように美琴に抱き着こうとするが美琴に叩かれてしまう。
麻生は依然とテーブルに腰掛けて二人のやり取りをずっと見ていたが、美琴は現場に行く前に麻生の前に立つ。
「あんたも一緒に来なさい。」
その言葉を聞いて、白井は信じられないような顔をする。
「お姉様・・・わたくしではなく麻生さんをお連れになるなんてお二人の関係はそこまで進んでおられたのですね・・・・」
「ば、馬鹿ね!!!誰がこんな奴と!!!!
こいつは私が何度も電撃を撃っているのに、一度も直撃した事ないから何かの役に立つと思ったから連れて行くだけよ。」
少し顔を赤くしながら白井に言う。
「初春にも手伝ってくれとも言われたしな、いいぜ一緒に行ってやるよ。」
美琴は警備員から何か情報が入ったら教えてくれ、と白井に頼むと麻生を連れて支部を出てタクシーを捕まえると現場に向かった。
「木山春生!!「幻想御手」の頒布の被疑者として勾留する、直ちに投稿せよ。」
「どうするんです?
年貢の納め時みたいですよ。」
初春も木山一人だけではあの数の警備員を退けない、と思っているのだが木山は余裕の表情を浮かべていた。
「「幻想御手」は人間の脳を使った演算機器を作るためのプログラムだ。
だが同時に使用者に面白い副産物を齎す物でもあるのだよ。」
木山はそう言うと車から降り警備員の言うとおりに両手を頭の後ろに組む。
警備員は初春が無事である事を確認すると木山を確保する。
だが、一人の警備員の銃が勝手に動きだし、他の警備員に向けて発砲する。
「!?・・・貴様一体何を!!!」
「ち、違う!!オレの意思じゃない!!!
銃が勝手に・・・」
男がそう言った時、木山は両手を前につき出すとそこに炎が集り一つの炎の塊が出来る。
「馬鹿な!!学生じゃないのに能力者だと!!?」
美琴と麻生は現場近くまで来ると突然大きな爆発音が鳴る。
「な・・何だぁ?」
「早くあそこまで!!」
「む、無茶言わないで下さいよ。
早く引き返しましょう。」
「だー!!!もういいわ、ここで降ろして!!!」
美琴はお金を運転手に渡し携帯を持って爆発音がした所に走って向かい麻生はゆっくりとタクシーから降りると歩きながら美琴の後を追う。
「黒子、何が起こってんの?」
何か情報が入っていると思い美琴は白井に電話を掛ける。
「それが情報が混乱してて・・・木山が能力を使用して警備員と交戦している模様ですの。」
「彼女、能力者だったの?」
「いえ、「書庫」には木山が能力開発を受けたという記録はないのですが・・・・」
白井は警備員の車にあるカメラの映像を見ながら答える。
「しかしこれは明らかに能力・・・それも「複数の能力」を使っているしか・・・」
「どういう事それこそありえないじゃない!!
能力ってのは一人に一つだけ例外はない筈よ!!」
「状況から推測するしかないのですが・・・木山の能力は「幻想御手」を利用したものではないでしょうか?
何千人もの能力者の脳とネットワークと言う名のシナプスでできた「一つの巨大な脳」、もしそれを操れるのなら人間の脳では有り得ない事も起こし得ますの。
この推測が正しいのなら今の木山は実現不可能と言われた幻の存在・・・「多重能力者」。」
「多重能力者」。
二つ以上の超能力を持つ能力者の事だが脳への負担が大きすぎるため、実現不可能とされていて幻の存在とも言われている。
美琴は急いで階段を登るとそこには車などが横転して、警備ロボも大破しており警備員も死んではいないがボロボロで気絶していた。
「警備員が全滅?」
すると車の中に初春を見つけすぐに駆け寄り声をかけるが反応がない。
「安心していい。
戦闘の余波を受けて気絶しているだけで命に別状はない。」
後ろから木山の声が聞こえたので振り向く。
「御坂美琴・・・学園都市に七人しかいない超能力者か。
私のネットワークには超能力者は含まれていないがさすがの君も私のような相手と戦った事はあるまい。
君に一万の脳を総べる私を止められるかな?」
美琴と木山は向かい合っていると美琴が登ってきた階段から遅れて麻生がやってくる。
「おや?君も来ていたのか。
意外だな、見た限りではこういった揉め事には積極的に介入してこない人だと思っていたのだが。」
「出来れば俺も関わりたくなかったがそこで寝ている花飾りに手伝ってほしいと言われたからな。」
「君に興味はあるのでね。
どんな能力かこの目で確かめさせてもらおう。」
その言葉と同時に木山は片手を美琴と麻生に向けると、サッカーボールくらいの炎の玉ができそれが二人に飛んでくる。
美琴は後ろに下がり避けるが麻生はじっと動かず、炎が麻生にぶつかり爆発する。
だが、煙が晴れると麻生は傷一つなく立っている。
「ふむ、あの攻撃で無傷か・・・ならこれならどうだ?」
木山は右手の指を握りしめると道路の割れ目から麻生に向かって一直線に炎が噴き出す。
麻生はそれを横に移動する事でかわす。
「本当に能力を使えるのね。
それも「多重能力者」!」
「その呼称は適切ではないな。
私の能力は理論上不可能とされるアレとは方式が違う。
言うなれば「多才能力者」だ。」
「呼び方なんてどうでもいいわよ。
こっちがやる事に変わりはないんだから。」
美琴は木山の頭上に電撃を降らせるが木山に当たる直前、電撃が木山の身体を避けるかのように移動する。
「!?」
「どうした、複数の能力を同時に使う事は出来ないと踏んでいたのかね?」
その言葉と同時に木山の足元から円を描くように何かが広がり、麻生はそれにいち早く気づき後ろに下がる事でその円の領域から逃れる。
だが、美琴はそんなに身体能力は高くはなく(女性からすればかなり高い方だが)その円の領域に入った道路が一気に崩れる。
美琴は電磁力を使う事で、道路を支えているコンクリートの柱の中にある鉄筋に反応させ足が柱に張り付く。
一方、木山は風を操り衝撃なく地面に降り立ち美琴に視線を合わせる、と空中に水が現れそれが小さく集まると美琴に向かって何個も飛んでいく。
美琴は柱を下るように走りその水の塊を避けていき、もう一度木山に電撃を放つがさっきと同じ様に電撃が独りでに木山を避けていく。
(やっぱり電流が誘導されている?
さっきの台詞からするといくつかの能力を組み合わせて、周囲に避雷針の様なものを作り出しているみたいね。)
「拍子抜けだな、超能力者というものはこの程度の者なのか。」
心底がっかりしたような声をあげる木山。
その言葉にカッチーン、ときたのか右手をあげると同時に電磁力を利用して、柱のコンクリートの一部を浮きあげる。
「まさか、電撃を攻略したくらいで勝ったと思うな!!!」
それを勢いよく木山に投げつけるがふむ、と木山が呟くと右手からレーザーの様なものが出てくる。
それが、一メートルくらい伸びて飛んでくるコンクリートに合わせるように振りコンクリートを切断する。
そして、左手の指を美琴が足で張り付いているコンクリートの柱に向けると、今度は指先からレーザーなものが発射されコンクリートに当たると円を描きコンクリートが消滅する。
張り付いていたコンクリートが剥がれ美琴は地面に落ちる。
「いたた・・・もう!!!あんたは見ているだけで手伝わないのか!!!!!」
美琴は腰をさすりながら上で自分達の戦いを見ている麻生に向かって叫ぶ。
「私も気になっていたところだ。
どうして降りてこない?」
「どうしてと言われても俺が手を出すまでもないからだ。
お前はそこの電撃少女に負ける。」
そう言って麻生は傍観に徹するようだ。
「君もあの子と同じように傍観してくれればいい。
私はある事柄について調べたいだけなんだそれが終われば全員解放する。
誰も犠牲にはしない「ふざけんじゃないわよっ!!!」・・・・」
「誰も犠牲にしない?
アンタは身勝手な目的にあれだけの人間を巻き込んで人の心をもてあそんで・・・こんな事をしないと成り立たない研究何てロクなもんじゃない!!!
そんなモノ見過ごせるわけないでしょうが!!!」
美琴の言葉を聞いて木山は大きくため息を吐く。
「君は何もわかっていない。
学園都市が君達が日常に受けている「能力開発」、アレが安全で人道的な物だと君は思っているのか?
学園都市は「能力」に関する重大な何かを我々から隠している。
学園都市の教師達はそれを知らずに一八〇万人にも及ぶ学生達の脳を日々「開発」しているんだ。
それがどんなに危険な事か分かるだろう?」
「なかなか面白そうな話じゃない。
アンタを捕まえた後でゆっくりと調べさせてもらうわ!!!!」
電磁力で地面の砂鉄を操りそれを何本の剣の形にして木山に放つが木山は地面を壁代わりにしてその砂鉄の刃を防ぐ。
「調べるか・・・それもいいだろう。」
君が関わっているのも少なくないしな、と美琴に聞こえない声で呟くと近くに落ちている空き缶を引き寄せる。
そして、それを美琴に投げつける。
「だが、それもここから無事に帰れたらの話だ。」
その空き缶を見て美琴は前にあった虚空爆破事件の原因である能力を思い出す、と同時に空き缶が爆発する。
しかし、美琴は咄嗟に電磁力で周りの鋼鉄や砂鉄を組み上げ即席の盾を作る。
それを木山は空き缶が大量に入っているごみ箱を浮かび上がらせ、その中身を全て美琴に投げつける。
「今度は即席の盾で耐えられるかな?」
「ハッ!!
だったら爆発前に全て吹き飛ばせばいいだけでしょーが!!」
美琴の周りに大量の電気が集め、それを使い爆発する前に空き缶を破壊していく。
(さすがに正攻法で攻略するのは不可能か。
だが・・・・)
密かに空き缶を一個だけ手に持ち、それを操り美琴の後ろに回り込ませる。
美琴は空き缶を打ち落とすのに夢中で、空き缶が背後に回り込んでいる事に気づいていない。
「ざっとこんなもんよ!!
もうお終・・・」
言葉を続けようとしたがその瞬間、空き缶が爆発した。
「正面が駄目なら搦め手に回るまで。
もっと手こずるかと思っていたが意外に大したことなかったな。」
美琴は空き缶に気づくことなく爆風に巻き込まれ、土砂に埋まって動かなくなった。
それを確認した木山は上で傍観している麻生に話しかける。
「さて、君は降りてこないのか?
君が勝つと言っていた少女は私に負けたがどうする?」
依然と木山は余裕の表情を浮かべながら言うが、麻生は木山には聞こえなかったがため息を吐いて木山に言った。
「あんたに一つ忠告してやる。
見た目だけを見てそいつが死んだとか思わない事だ。
ちゃんと確認する事をお勧めするよ。」
麻生の忠告を聞いて木山は振り向こうとした時、後ろから誰かに抱き着かれる。
この場面で抱き着ける者など限られてくる。
「つーかまーえたーーー♪」
先ほど爆発に巻き込まれた美琴だった。
木山は美琴が倒れていた所を見ると、そこには先ほどと同じ鋼鉄などで作られた盾が作られていた。
「AIM拡散力場の専門家に説明するのはアレだけど、私の身体からは常に電磁波が出てるの。
妙な動きとかあったら反射波で察知できるから死角とか関係ないのよ。」
さっき倒れた振りをしていたのは木山を油断させる演技だったのだ。
「零距離からの電撃・・・あのバカには効かなかったけどいくら何でもあんなトンデモ能力までは持ってないわよね?」
「くっ!!」
木山は周りにある鉄筋を操りそれを美琴に向けて放つ。
「遅い!!」
それよりも早く美琴が木山に電撃を浴びせた。
後書き
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