ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第十七話 契約
あの生徒会との会合があった2日後の夜中。リアス達は使い魔を紹介してくれる人の元に移動しようとしていた。
ドッジボールの結果はタイムオーバーでオカルト研究部の勝利となったが・・・
(あれはもはやドッジボールじゃないよ・・・)
悪魔の特性を生かしたり、ボールに魔力や強力なスピンをかけて相手に投げていた。あれは『戦争』といっても過言ではなかったようだ。闇慈も死神の力を少し引き出し戦っていた。
「さあ。行くわよ!!」
「ああ!!ちょっと待って下さい!!リアス先輩」
移動魔法陣を展開したリアスに闇慈が引き留めた。そしてセイグリッド・ギアを発動させるとデスサイズ・ヘルを一誠に手渡した。
「何でデスサイズ・ヘルを俺に持たせるんだ?闇慈」
「僕はみんなと違って魔法陣では転移できないからね。この漆黒の翼は僕自身をデスサイズ・ヘルの元へ飛ばすことが出来るってデスさんが教えてくれたんだ。だから一誠に持ってて欲しいんだ」
「分かったぜ」
因みにデスのことは部員全員に話した。出てきたときは一誠は腰を抜かし、祐斗は苦笑しながら話し、小猫は少し恐かったのかフルフルと震えながら闇慈の元から離れなかった。
「じゃあ先で待ってるわよ?アンジ」
「はい!!」
そう言うとリアス達、悪魔勢は魔法陣から転送された。そして少し時間が経つと闇慈も部室を出ると漆黒の四枚の翼を広げた。
(デスさん。ジャンプするにはどうしたら良いんですか?)
(デスサイズ・ヘルに呼びかけろ。そうすれば主であるお前を翼を通して転送してくれる筈だ)
(分かりました。……デスサイズ・ヘル)
闇慈は心の中でデスサイズ・ヘルに呼びかけると答えたのか闇慈の翼が闇慈を包むとそのまま飛び立った。
~~~~~~~~~~~~
そして闇慈が辿り着いたのは山の中だった。そして周りにはリアス達がいた。
「すげ~。本当に転移できたんだな。ほらこれ返すぜ」
そう言うと一誠は闇慈にデスサイズ・ヘルを手渡した。
「ありがとう、イッセー」
闇慈はデスサイズ・ヘルを受け取るとセイグリッド・ギアを解除し制服姿に戻った。そして初めて来たこの山は普通の山と違うように感じていた。
「しかし。ここなら何でも出てきそうな感じがするな」
「そ、そうですね」
一誠とアーシアは少し不安な声をあげていた。
「ここに使い魔を紹介してくれる人がいるんですか?」
「ええ。そろそろ来ても良い頃なんだけど」
闇慈とリアスが話していると・・・
「ゲットだぜぃ!!」
声が聞こえ、オカルト研究部の部員がその方を向くと上半身はランニング。下半身は短パン。そしてキャップを逆さにかぶった中年の男性が木の上に立っていた。
「だ、誰だ!!」
一誠はいきなりのことだったので身構えた。
「俺は使い魔マスターの『ザトージ』だぜぃ」
「えっ!?と言うことはこの人が使い魔を紹介してくれる人ですか?リアス先輩」
「ええ。その通りよ、アンジ」
リアスの説明に朱乃が付け足した。
「彼は使い魔に関してのプロフェッショナルなのですのよ」
「今宵も良い満月。使い魔ゲットには絶好日よりだぜぃ。さーてお前達はどんな使い魔をご所望だ?強いの?速いの?それとも毒持ちとか?」
それを聞いた一誠は顔をエロくして尋ねた。
「そうっすね。可愛いのとか居ないんすかね?女の子系とか」
それを聞いたザトージは左手の人差し指を振った。
「これだから素人は困るぜぃ。良いか?使い魔ってのは・・・」
「イッセー。興味本意だけで使い魔を決めるのは良くないと思うよ?自分の能力・力量に合わせた使い魔を選ばないと後々後悔することになると思うよ?可愛いのとか言うのはその後だと僕は思う」
闇慈が一誠に促すとザトージは頷いた。
「おお。分かってるじゃねえか。お前も使い魔を持ちたいのか?」
「あ、そうでした。ちょっと質問があります。ザトージさん」
~~~~~~~~~~~~
闇慈はザトージに事情を説明するとザトージはしばらく腕を組んで考えた。
「使い魔を持つには構わねえが約束があるぜぃ?」
「それは何ですか?ザトージさん」
「姿を変えて人に会わせるのは構わねえが本来の姿を人間に見られちゃいけねえ。これが約束だぜぃ?」
「分かりました」
「じゃあ行くとするぜぃ」
そうすると闇慈達はザトージに連れられ山の奥に入っていった。しかしこの時、闇慈を見ていた赤い二つの目に誰も気がつかなかった。
~~~~~~~~~~~~
使い魔散策が始まり、色々な使い魔を見たが三人ともピンと来なかった。そしてザトージが何かに気づき木の上を指さすと紫色の小さな愛嬌のあるドラゴンが休んでいた。
「あれは・・・ドラゴン!?」
闇慈は初めて見るドラゴンに少し興奮しているようだ。
「わあ。可愛いです」
「あれは蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)だな。青い雷撃を放つドラゴンの子どもだぜぃ」
「これはかなり上位クラスですね」
「私も見るのは初めてですわね」
使い魔を持っている祐斗やリアスもこのドラゴンを賞賛していた。
「ゲットするなら今だぜぃ?成熟したらゲットするのは無理だからな」
「一誠君は赤龍帝の力を持っていますから相性は良いと思いますわよ?」
朱乃の説明を聞いた一誠は決めたようだ。
「よし!!スプライト・ドラゴン!!君に決め・・・」
しかし。その決心も無くなることになる。指名した瞬間空から緑色のスライムのようなものが降ってきた。
「これは!?」
闇慈は咄嗟に降って来ている場所から離れたが、闇慈と一誠と祐斗以外の部員にはスライムがかかっていた。そして服が見る見る溶けていった・・・
「こ、こら!!///」
「あらあら、はしたないですわ///」
「ふ、服が///」
「ヌルヌル・・・キモ///」
闇慈はすぐに目を右手で遮ったが一誠はガン見していた。
「むっほー!!脳内保存!!脳内保存!!」
「ザトージさん!!このスライムみたいなものも生き物なんですか!?」
「こいつは布地を主食とするスライムだぜぃ?女性の衣類を溶かす以外に害はないんだが」
その事を聞いた一誠は欲望のままこのスライムを使い魔にすると言い出した。
「イッセー・・・僕の話全く聞いてなかったのかな?」
「・・・闇慈・・・先輩。助けて・・・下さい///」
「・・・イッセー。これはやっぱり却下だよ」
闇慈は小猫に恥ずかしい思いをさせたこのスライムを許すことができないらしく、魔力を一気に解放しその波動でスライムを吹き飛ばした。そして最後となったアシーアの服についたスライムを守ろうと一誠がアーシアを抱きしめた。しかしそのスライムと一誠を突然、雷撃が襲いスライムと一誠は黒こげになってしまった。雷撃を放ったのは先程のスプライト・ドラゴンのようだった。そしてアーシアの右肩に乗ると翼を閉じた。
「これは・・・どういう事なんですか?」
闇慈の疑問にザトージが答えた。
「そいつは敵と認識した奴にしか攻撃しないんだぜぃ?恐らく少年とスライムが金髪の美少女を襲ったと思ったんだぜぃ」
「とういうことは・・・つまりアーシアは」
スプライト・ドラゴンもアーシアに懐いたらしい。
「決まりだな。美少女。使い魔ゲットだぜぃ!!」
その後アーシアとスプライト・ドラゴンは契約を交わし、再びアーシアの胸元に飛び込んだ。
「あはは。くすぐったいです。ラッセー君」
「ラッセーか・・・もしかしてイッセーの名前も取ったのかな?アーシア」
「あ、はい。アンジさん」
「ふうん。まあ良いか。これからよろしくな?ラッセー」
一誠がラッセーに寄ると再び雷撃を放った・・・
「な、何で・・・」
「ああ。言うの忘れたがドラゴンは他の生物のオスが大嫌いなんだぜぃ」
「えっ!?」
闇慈もラッセーに挨拶を交わそうとしたが説明が遅かったのかすでにラッセーの近くにいた・・・。闇慈の姿を見たラッセーは一誠同様に雷撃を放とうとしていた。
(これは・・・感電覚悟かな?)
「・・・闇慈先輩。危ない」
間に合わないと感じた闇慈は雷撃を覚悟した。しかし雷撃が放たれた瞬間、闇慈の体の周りに黒い無数の光が現れ、雷撃から闇慈を守った。
「何!?この光は?アンジ。貴方の死神の力なの?」
「いえ!!僕の力じゃないです!!」
「まさか!?こいつは!?」
ザトージだけが何なのか理解したようだ。そして光が闇慈の右肩に集まっていくとその姿が段々露わになっていった。体は鷲くらいの大きさ、そして漆黒の羽とクチバシを持った一匹の『鴉』が赤い目でラッセーを睨みながら闇慈の肩に止まっていた。そして一番印象があったのは・・・
「足が・・・三本!?ザトージさん!!もしかしてこの鴉は・・・」
「ああ。そいつは日本の伝説のカラス。八咫烏だぜぃ」
「八咫烏。これも初めてみるわね」
「あらあら・・・まあまあ」
「伝説の鳥が闇慈君に寄ってくるなんて」
「・・・闇慈先輩。やっぱり規格外です」
オカルト研究部の部員たちも八咫烏に夢中のようだ。闇慈は左腕を八咫烏の前に差し出すと、そのまま左腕に飛び乗った。闇慈はそのまま翼や頭を撫でると気持ちよかったのか鳴き声をあげた。
「・・・僕と契約を交わしてくれる?」
闇慈が尋ねると八咫烏は一声鳴き同意してくれたようだ。八咫烏を地面に降ろすとアーシアの時と同じように魔法陣が展開された。
「ありがとう。・・・我、黒神闇慈の名において命ず!!汝、我の使い魔として契約に応じよ!!」
その魔法陣が消えると大きな翼を広げ、再び闇慈の右肩に乗り、甘えるように頭を闇慈の頬にすり寄ってきた。
「良かったな、少年。使い魔ゲットだぜぃ!!」
「はい。これからよろしくね?・・・こくう黒羽」
八咫烏・・・いや黒羽は名前をつけてもらって嬉しかったのか再び鳴き声をあげた。こうしてア-シアは蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)のラッセー。闇慈は八咫烏の黒羽を使い魔として契約した。一誠には・・・
「どうして死んだ!?あの素晴らしい能力を是非とも我が手に!!」
「・・・スケベ、死すべし」
小猫からのきつい突っ込みだけだった。
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