ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第十三話 抱擁
「はあ・・・はあ・・・」
デスが闇慈に取り憑き・・・いやこの場合は『憑依』と言ったほうが良いのかもしれない。その時間が終わると闇慈はセイクリッド・ギアを発動させた時の体と服に戻っていた。そして一気に疲れが闇慈を襲い、片膝をついた。
(デスさん。これ確かに強力ですけど・・・凄く疲れますね)
(当たり前だ。あの状態になったお前は普段より多くの魔力を消費するからな)
(あまり多用は出来ないってことですね・・・今後はこの力をあまり使わずに『憑依・死神』って呼びますね)
(・・・ふっ。悪くない名だ)
そして闇慈が立ち上がるとリアスと朱乃が話しかけてきた。
「アンジ。今の力は?私は初めてみるのだけど」
「何だか闇慈君ではないように感じましたわ?」
(・・・もう話しても良いですよね?デスさん)
(・・・好きにするが良い)
「では率直に言います。僕の体の中には死神がいます」
「えっ。死神の力があることは知ってるわよ?」
「いえ。力だけでなく・・・死神本人が僕の体の中にいるんです」
「あらあら。そんなことが・・・」
「何時もはデスサイズ・ヘルやマントだけですけど。さっきは僕に憑依し、力を爆発的に上げてくれたんです。でも憑依した後は魔力を著しく消費してしまうため凄く疲れます」
「そんなことが・・・死神を私たちの前に呼んでくれないかしら?」
「・・・少しなら良いと言っています」
そして闇慈の背中から黒い煙が出てきて、それが段々形を整えていくとデスが何時もの容姿で出てきた。リアスはデスの姿に少し後退するけどすぐに持ち直した。朱乃さんは何時ものようにポーカーフェイスだった。
「初お目にかかる、グレモリー家の娘よ。我は黒神闇慈の体に住まう死神だ。今後はデスと呼ぶが良い」
相変わらず口の骨がカタカタとなっている。
「ええ・・・私はリアス・グレモリー。よろしく頼むわね」
「うむ。それで・・・貴様は我に何を問う?」
デスがリアスに問うと、リアスは真剣な眼差しでデスを見ると・・・
「貴方はアンジの体に住んでいると言っていたけどアンジの体には何も影響はないのかしら?」
「闇慈からも聞いたであろう?我は闇慈の魔力を糧に生き、そして力を貸し与えているだけだ。命の関わることはない」
「・・・そう。それを聞いて安心したわ。あれがとう、デス」
「では失礼する」
デスはまた煙の戻ると闇慈の中へと入っていった。
「・・・悪い奴ではなさそうね?アンジ」
「はい。僕はデスさんのお陰で今こうやって生きているんですから。では僕はイッセー達の元に向かいますね」
そう言うと闇慈は教会に向かって走っていった。
「・・・」
「どうしました?部長」
「何でもないわ。私たちも急ぐわよ」
「分かりましたわ」
~~~~~~~~~~~~
視点は変わり、教会に移動する。教会の中では木場と小猫が悪魔祓い達と応戦していたが・・・流石に数の差が有り過ぎ段々押されていった。
「・・・祐斗先輩。少しこれは不味いかもしれません」
「確かにね。これはちょっとやばいかもしれないね、小猫さん」
二人の『魔力』はそう使われていなかったが・・・『体力』がほぼ限界に達しようとしていた。そしてまた一人の悪魔祓いが小猫に向かって光の剣を振り下ろしてきた。
「・・・っ!!」
小猫はその剣を避けると回し蹴りを放ち吹き飛ばした。
小猫の悪魔のクラスは『戦車』。パワーをモチーフとした戦闘を好むが体力が少ない小猫にとってこれは悪手だった。足がもつれ、その場に倒れ伏してしまいその隙を逃さんとばかり2~3人の悪魔祓いが光の剣を小猫に向かって突き刺そうとしていた。
「小猫さん!!」
木場はフォローに回りたいが悪魔祓いに道を阻まれ、助けに行くことが出来なかった。
「・・・っ!!」
小猫は直撃を覚悟したのか目を閉じた。
しかし。その剣は小猫に届くことは無かった。小猫の横を何かが通り過ぎると、そこに小猫はいなかった。そして悪魔祓い達が見たのは教会の大きな柱の上に立ち、小猫を抱きかかえ・・・俗で言う『お姫様抱っこ』をしていて、そして大きな二枚の漆黒の翼で小猫を包むように守っている闇慈だった。そして木場はその見ていた残りの悪魔祓いを剣で切り裂いた。
~~~~~~~~~~~~
時間は少し遡り、闇慈は走って教会に向かっていたがいささか距離が離れすぎているのだろう・・・中々、教会に着かない。
(デスさん。あの翼って憑依した時にしか使えないんですか?)
(いや。普段でも具現させることは可能だが?)
(走るより飛んだ方が早いと思います。翼を具現させて下さい)
(承知した!!)
そして走っている闇慈の背中から先程の二枚の大きな翼。そして二枚の小さな翼が生えると闇慈は勢いを乗せそのまま飛び立った。そしてすぐに教会の入り口が見えてきたが・・・闇慈の目には小猫が悪魔祓いから斬られようとしているのが見えた。
(不味い!!)
闇慈はそのまま地面すれすれで滑空するとそのまま開いていた入り口に入ると小猫を抱きかかえ柱の上に立った。
「・・・(フルフル)」
小猫は覚悟していたとは言え猛毒である『光』で出来た剣を受ける恐怖が今に出てきたらしく。目を閉じたまま振るえ始めた。
「大丈夫だよ?小猫ちゃん」
「・・・えっ?」
小猫が目を開け、闇慈の姿を見ると自分の今の状況を確認し始めた。
「ごめんね?小猫ちゃん。咄嗟だったからこれしか助ける方法が無かったから・・・」
「・・・嫌じゃないです」
「えっ!?」
そう言うと小猫は自分の顔を闇慈の胸に埋めた。いきなりだったので闇慈も動揺しているようだった。
「こ、小猫ちゃん!?」
「闇慈先輩・・・温かい」
「・・・」
闇慈はそのまま小猫を優しく抱きしめた。
「無事で良かったよ。小猫ちゃん」
「・・・(コクッ)」
そして柱から降りると小猫を地面に降ろした。小猫は少し名残を惜しいように闇慈から降りた。
「遅かったね?闇慈君」
「少し手こずった。・・・イッセーとアーシアは?」
「・・・アンジさん?」
教会の隅から、アーシアの声がするとアーシアが柱の裏から出てきた。
「アーシア。無事だったんだね。と言うことはイッセーは・・・」
「・・・この教会の地下です。そこで一人の堕天使と戦っています」
「分かった。イッセーの元に急ごう!!アーシアは出来るだけ僕や木場君や小猫ちゃんの後ろにいるようにしてね?」
「あ、はい!!」
闇慈達は祭壇の裏にある入り口から地下へ入っていった。
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