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ヘタリア大帝国

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TURN53 ハワイの戦いその十

「全軍であたらないと」
「勝てる状況じゃないわよ」
「勢いは向こうにあるし」
 完全に掴まれた、それは。
「ここはだな」
「流儀じゃないけれどね」
 キャロルも言う。
「座って戦うわ」
「護りきるか」
「機動部隊も使えなくなったし損害も馬鹿になってないから」
「ここはじっくりと防御だ」
「それで反撃の機会を待つのね」
「いや、どうかな」
 反撃についてはアメリカはこうキャロルに言う。
「それは」
「?反撃できる戦力はまだあるわよ」
「違う、僕達がしているのは防衛戦だ」
 太平洋が攻めガメリカが守る、今の戦いはそうしたものだ。
 だからアメリカもこうキャロルに言ったのである。
「それならだ」
「戦場に立っていればいいのね、最後まで」
「そうだ。僕達は守っていればいいんだ」
 積極的に反撃を加える必要はないというのだ。
「ここはな」
「そうね。それじゃあ」
「そうだ。守ろう」
 こうしてガメリカ軍はアメリカの提案通り防御に専念することにした。太平洋軍はその彼等に対してそう攻撃に移る。まずは艦載機を放ちビームでの応酬に入る。今度はガメリカ軍もビームバリアには警戒を怠らない。
「よし、このままだ!」
「バリアのある艦隊は後回しにしよう!」
 アメリカとフィリピンが将兵達に指示を出す。
「まずは防御の弱い艦隊から倒すんだ!」
「それも確実にね!」
「はい、わかりました!」
「それでは!」 
 将兵達も二人の言葉に頷き防御の弱い艦隊から潰しにかかる。これには太平洋軍もかなりのダメージを受けた。
「御免、戦争不能になったわ」
「こっちもだよ!」 
 ハニートラップとネクスンが長門の艦橋にいる東郷に言う。
「後方に下がらせてもらうわね」
「そうしていいかな」
「ああ、無理はしないでくれ」
 東郷の方も二人に対して言う。
「まずは後方に下がってそのうえで」
「日本本土に戻ってよね」
「大修理工場で修理だな」
「あそこなら全滅状態でも一月で戦線に復帰できる」
 そこまで修理ができるのが大修理工場の強みだ。田中艦隊もかなり世話になっている。
「だからな」
「ええ、それじゃあね」
「この戦闘の後で日本に戻らせてもらうよ」
 二人はこう言って己の艦隊を後方に下がらせる。後方に下がる艦隊は二人のものだけでなく他の艦隊もそうなってきていた。
 だがそれはガメリカ軍も同じだった。遂にフィリピンの艦隊も。
「御免、遂にね」
「戦闘不能になったんだな」
「うん、もう限界だよ」
 こうモニターを通じてアメリカに話す。
「だからここはね」
「わかった、下がってくれ」
 アメリカも親友に対して無理はさせなかった。撤退しろと言う。
「後は僕達に任せてくれ」
「うん、頼んだよ」 
 こうしてフィリピンも下がる。戦局は一進一退になり両軍は激しい殴り合いに入っていた。
 だが最後は数に勝るガメリカ軍が勝ちそうだった。しかし東郷はその彼等を見てモニターに映るエルミーにこう告げた。
「それではだ」
「はい、最後の攻撃ですね」
「潜水艦艦隊は敵艦隊の後方に回ってくれ」
「そしてそのうえで」
「総攻撃にあたってくれ」
「攻撃する敵艦隊は」
「それは任せる」
 エルミーがこの場合最善の判断を下すと確信しての言葉だ。
「好きな様にやってくれ」
「それでは」
 こうしてエルミー達は密かにガメリカ軍の後方に回った。そのうえでだった。
 
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