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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第0章:安定の崩壊
  第1話:日常から非日常への転落

(グランバニア)

大国グランバニア城の一室で、王家と近親者達だけのパーティーが催されている。
このパーティーの主賓は3人…
マリー・リューラ・リューノの3人だ。

彼女等は全員、国王リュケイロムの実娘であるが、母親は各々別である。
では、彼女等3人が主賓のパーティーとは何なのか…



(グランバニア)
マリーSIDE

イエイ!
本日は私は12歳になります!
本当は2日後なんだけど、公式のは今日が誕生日なのです。

どういう事かと言いますれば…
ピエールさんの娘のリューラが、12年前の今日に生まれました。
そして12年前の明日には、スノウさんの娘であるリューノが…
更に翌日に、リュカ国王陛下の正妻ビアンカが私を生んでくれたのです!

つまり私達3人は、1日ずつ遅れて生まれたわけです。
でも“3日続けて誕生日パーティーを開くのは、時間とお金の無駄だから、3人纏めて済ましちゃおう”って結論になり、一番先に生まれたリューラの誕生日に、一緒に祝ってもらっておりますの。

以前は納得してなかったのですが、今はコレで良いかなと思ってます。
何故なら、私にはちょ~格好いい彼氏が居り、正式な誕生日にはその彼がディープに祝ってくれるからです!




さて、そんなわけで今は誕生日パーティーの真っ最中。
色んな人からプレゼントを頂いてます。
各々のお母さんから、手作りのスカーフを頂いたり…
お姉ちゃん達からは、アクセサリーを貰ったり。

あ、彼氏のウルフからは2日後に貰う予定です。
最近、絵を描く事に嵌っているらしく、誕生日には毎年描いて貰ってます。
周囲の人達も絶賛するくらい、腕前はプロ級なのよ!

まぁ、その後で他の物もプレゼントしてくれるんだけどね…
城下でも有数の高級ホテルのスイートをキープして…
キャ♥やだ~…もうエッチぃ!

そうこうしていると我らの大好きなお父さんが、大きな包みを3つ用意して近付いてきます。
毎年お父さんのプレゼントには、大きな期待を寄せてますの。
ともかくセンスが良いんです!

去年は3人色違いでお揃いのイヤリングでした。
今年は何でしょうか?
包みの大きさからしてアクセサリー類の小物ではなさそうです。

因みに、お父さんは私達(お母さんや愛人等も含む)にプレゼントを買う時、事前にアルバイトをして資金を調達して居るんです。
王様なのだからお金はいっぱい持ってるハズなのに…

わざわざ伊達眼鏡と付け髭をして、偽名で『プーサン』と名乗り、私達にも秘密でアルバイトをしているのです。
何で秘密なのに私が知っているかと言うと………現場を見てしまったからです。

国王陛下が政務を抜け出し仕事が滞ってしまった為、秘書官をしている彼氏(ウルフ)に暇が出来た為、二人で城下にデートへ行ったのですが…
そこで何と、土木仕事をするお父さんを発見してしまったのです!

そりゃ最初は疑いましたよ!そっくりな別人では?と、疑いましたとも!
でもね…凝視していたら目が合って、お父さんの方から『げっ、マリーにウルフ!?』と漏らしてしまったのです。

直ぐにプーサンの休憩時間が来た為、近くの茶店(サテン)へ連行し事情聴取をした所…
『国王の仕事で貰えるお金は、基本税金であり無駄遣いはダメだと思うんだよ…それに本気で仕事をしているワケじゃないし、愛しい娘達にあげるプレゼントには、心を込めたいじゃん!?だから苦労して働いて、そのお金でプレゼントを買った方が良いかな~と思ったんだよ』

極上に家族思いのお父さんは、何とも泣かせる思いから、国家の重要な仕事を放置して、変装までしてアルバイトをしていたというのです。
私とウルフも、10日前に発見するまで知りませんでした。

そしてお父さんは、私達に頭を下げ口止めをし、プーサンとして仕事(アルバイト)に戻ったのです。
ところで………あの偽名は、ヒゲメガネをオマージュしたのか…クマの方をオマージュしたのか…
きっと前者よね!?

…つーわけで、お父さんはプレゼントに力を入れているわけですが、今回は何が入ってるのでしょうね?
私達一人一人に手渡しするお父さん。その際に「向こうで着替えておいで」とコメント…

つまり中身は洋服ですね。
私達はそれぞれ、中身を確認することなく隣室へ行きます。
そこで言われた通り着替えを行うのですが…



着替えを終え皆さんの下へ戻ると、其処彼処から驚きの声が…
そうなのです…“女の事ならヤツに聞け!”そう言われるほど、女性に対する見識の深さが際立つお父さん。
女性へのプレゼントで誰もを唸らせるセンスの良さ…流石のウルフも、この域まで達しておりませんわ。

3人ともワンピースとカーディガンをプレゼントされました。
カーディガンは淡いクリーム色で3人とも同じ…
だがワンピースの方で区別されております。

私にはワインレッド、リューノにはスカイブルー、リューラにはエメラルドグリーン…
そして腰回りにはベルトが付いてるのですが…
そこに各々が装備している『細波の杖』・『鋼の鞭』・『妖精の剣』を備え付けられる様になっておりますの!

勿論『細波の杖』は私の装備品…
『鋼の鞭』はリューノが、『妖精の剣』はリューラが装備してます。
以前、みんなでピクニック(お父さんが政務から逃亡)した時に、お父さんが二人にプレゼントした物です。

私達はそれぞれ、皆さんの前でクルクル回り見せびらかしております。
何より面白いのは、愛人ズが本気で羨ましがっている事です。
でも、お父さんのセンスの良さとプレゼントにかける意気込みは、本当に嬉しいです!




皆(主に愛人ズ)の羨望の眼差しを浴び、満足してきたところでケーキが登場しました。お母さん・お父さん・そしてウルフが運んできてくれました。
毎年、私のお母さんが3人分ケーキを作ってくれます。
そして今年の各ケーキには、可愛らしい蝋燭が12本立ってるの。

この蝋燭の炎を吹き消し願掛けをしたら、みんなで楽しくお食事会に突入です。
お母さんのケーキは絶品なので、早く食べたくてウキウキ状態です。
すると少し離れたテーブルに他の皆さんと着席し、食事準備万端のリュリュお姉ちゃんが…

「今年のケーキ制作は私も手伝いました!3つの内1つは私の作品です!」
と爆弾発言!
ケーキに近付く私達の足が止まります。
何ですか…このロシアンルーレットは!?

私達だけでなく、室内の全員が青ざめていると…
「ウソで~す。流石にそんな極悪な事はしませんよ~…お父さんのプレゼントが羨ましかったから、ちょっとからかっちゃいました(テヘペロ♡)」と、自白。

お母さんに目で問いかけると…
“本当に大丈夫よ!”と、声に出さずに伝えてくれます。
もう…ヤメテほしいわね、目出度い日に極悪ジョークは!

さて…気分を直して願掛けです。
私の願いは“ウルフと常に一緒で、最高の幸せを得られるように!”です。
私達3人は、ケーキを運んできたお父さん・お母さん・ウルフが見守る中、ケーキに近づきタイミングを合わせ、一気に蝋燭の炎を吹き消します!

「「「フッー!!」」」
小さな36個の炎(12×3)は消え去り、蝋の臭いが鼻腔を擽る。
周囲は薄暗くなり、視界が狭まってゆく…


え!?……どうして蝋燭の炎を消しただけで、こんなにも暗くなるの?
だって今はまだ昼間よ!?
直ぐ側にいたウルフやリューノ達まで見えなくなってるわ!?

『誕生日おめでとうマリー…』
すると突然どこからともなく声が聞こえてきました。
聞き覚えのある声です…

「アンタ誰?もしかしてルビスちゃん?」
『えぇ、私はルビス…以前お世話になり、そのお礼をしに参りました…と言っても、私は念波を送って話しているので、そちらには赴いてませんけど…』

…んな事はどうでもいいんだよ!
「何?真っ暗で何も見えないんだけど…これがお礼?嫌がらせって事?」
『いえ…マリーは私にお願いをしましたよね…『また冒険をしたい』と…』

言ったかそんな事!?
……………あ、言ったわ!うん、言ったわね…祝賀会の時に言ったわ!
「3年以上も経過してるから忘れてたわよ!」

「何だマリー…そんな事をお願いしてたのか!?」
真っ暗で何も見えないけど、この声はお父さんだ。
驚き呆れた口調で話しかけてくる…つーかお父さん達もこの状況なの?

『あらリュカ…側に居たのですか?すみませんねぇ…誕生日プレゼント代わりにサプライズしようと思ったので、貴方まで巻き込んでしまいました』
「ま、巻き込んで………?」

おや?何やら嫌な響きのする言葉だわね…
「ね、ねぇルビスちゃん…憶えてる?私のお願いを憶えてます?」
『えぇ勿論。『ウルフ達と一緒に、広い世界を旅してみたいの!』と仰いましたよ。ですから側に居りますウルフ達も一緒に…』

「「「「「え!?」」」」」
「ちげーよ馬鹿!『ウルフと一緒に!』って言ったんだ…『ウルフ達と一緒に』じゃねーよ!何勝手にお父さん達まで巻き込んでるんだよ!?」

「ちょっとマリー!私も巻き込まれてるって事!?」
この声はリューノだ…ヒステリックにうるせー女だ。
「な、何で誕生日に…マリー、どうするんだ!?」
この声はリューラか?基本寡黙だから判りづらい。

「お、おいマリー!それがお前の望みなら何も言わない…だが今すぐ、僕とビアンカ…そしてリューノとリューラを除外させろ!」
お父さんが慌てて除外を命じてくる…でも隣からはお母さんの笑い声が…お母さんは余裕なのね!?

「あのねルビスちゃん…私とウルフだけに範囲を絞ってくれないかな?」
『う~ん…そんな事言われましても…範囲を指定しているのはマスタードラゴンですし…私に言われても…ねぇ?』

「ヒゲメガネ!てめーまた拘わってるのか!?」
『あ、ルビスずるい…私の事は内密にって言ったじゃないですか!』
『あらごめんなさい…ちょっとムリでしたね。でも大丈夫、きっと解ってくれますよ』

「解らねーよ馬鹿!だから国王を拉致るなって言ってるだろ!」
『それなら大丈夫ですリュカ。今回は異世界ではなく、異時代への召還ですから…全てが解決すれば、自動的に“今、この時間”に戻ってきます。これなら安心ですよね!』
ヒゲメガネが不必要に明るい口調で安心を説く。

「ふざけるな馬鹿!望んでもいないのに、無理矢理召還される身になれっての!」
『あら、貴方の可愛い娘さんが私に望んだ事ですわよ。父親として一緒に楽しんできてくださいよ』
こ、この女神(あま)…私が怒られる様に仕向けやがった!

「馬鹿野郎…(マリー)の望みは“彼氏(ウルフ)と二人きりの冒険”だろ!僕達を巻き込『あぁ…すみませんリュカ。そろそろ出発の時間の様です…念波が届かなくなってきて、貴方の声が聞こえません!』
「ウソ吐いてるんじゃねー!お前等の声は聞こえてるゾ!」

『………そ、それでは皆さん楽しんできてください』
「あー、おい待て!」
『あ、そうそうリュカ…貴方達は過去の世界に行きます。そこには過去の(マスタードラゴン)が居りますが、貴方達の事は知りません。優しくしてあげてね♡』

ヒゲメガネが言い終わると、突如足下が無くなり落下する私達。
「うわぁー!」「きゃー!!」「ぎゃー!」
こう言う出発は勘弁してほしい…

みんなの悲鳴を聞きながら、私は今回の冒険について考える。
怒られはするだろうけどお父さんも一緒に行くのだ。
100%安全で楽しい冒険になると思われる。

しかもお母さんまで巻き込まれたのだから上手く嫁を導けば、非協力的なお父さんを操り楽しむ事も出来るはず…
うん。結果オーライじゃね?
リューノとリューラはギャーギャー騒ぐだろうが、言わせておけば良いのだし…

あぁ…楽しみだなぁ~
過去の世界か…DQ4かな?DQ6かな?
どっちでも良いか…楽しければね!

マリーSIDE END



 
 

 
後書き
始まりました、リュカ伝その3!
今回は初回という事で、舞台は何時ものグランバニアです…
次話からDQ4の世界に乗り込み、大暴れする予定であります。

さて、第1章には誰が現れるのでしょうか? 
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