ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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閑話ー現実と仮想の演舞ー
29.SAO・アインクラッドの軌跡 序
前書き
第29話投稿!!!
突如として穏やかな日常は、崩れさる。
まぁ、穏やかなじゃなくて賑やかになるだけだがな。
「う、寒ぅ......」
「もうすぐ冬だしな」
俺とキリトは学校のカフェテリアで昼食を終えくつろいでいた。
「もうすぐあの事件から一年が経とうとしてるなんてな.......ウソみてぇだな.......」
「そうだな」
あの事件......俺たちが二年も閉じ込められた悪夢のゲーム《ソードアート・オンライン》からもうすぐ一年の月日が経とうとしてる。今日は十月中旬。
「そういや、今日は明日奈と飯じゃないのか?」
「今日はアスナが生徒会の仕事があるからさ」
「ご苦労なことだな。SAOでは、血盟騎士団副団長、ALOでは、俺たちのストッパー役、現実世界では、生徒会って......どんなけ忙しいんだよ」
「まぁ、ALOは俺たちが抑えればいい話だけどな」
「全くだ」
カフェテリア内で少し大きめの声で笑うと後ろから声がする。
「そう思ってるなら少しは心がけてくれてもいいと思うんだけどな、キリトくん、シュウくん」
後ろを振り向くとそこには、呆れた顔でこちらを見る明日奈とその後ろには、リズこと里香とシリカこと珪子がいた。明日奈は、キリトの隣の席に座り、里香と珪子は俺の両隣に座る。
「で、アスナ、今日はどんな要件だったんだ?」
「それがね..........」
明日奈は少し俯き、言いにくそうな顔をしている。俺の隣に座る、リズとシリカを見るが二人も同じようなリアクションだ。二人は先に話を聞いたらしい。
「あのね........キリトくん、シュウくん.......実はね.....」
明日奈は、俯いた顔をキリトでも俺でもない方向に向け口を開く。
その言葉に俺とキリトは、唖然として体が止まる。そして口を合わせて立ち上がり声をあげる。
「「はっ!SAOの舞台をやるだって!!?」」
「しっ!声が大きよ。二人とも」
明日奈は指を口の前で立てあたりを見る。あたりを見渡すとその場にいた皆が俺とキリトに注目している。
俺たちはゆっくりと席に着き事情を聞く。明日奈がなぜこんなことになったかの理由を話し出す。
「つまりは、もうそろそろ文化祭シーズンだからこの学校も文化祭をやる代わりに何かしようという話になったわけだな」
俺の言葉にキリトは繋ぐように話す。
「それで何かやろうとなった時にここにはSAO生存者(サバイバー)が集められた学校だからSAO関連をことをやろうとなって.....こうなったわけだな」
明日奈はゆっくりと頷く。俺とキリトからは、同時にため息が漏れる。
「それで、SAO内のことをやろうってなった時、キリトくんとシュウくんの名前が上がって.........」
ものすごく申し訳なさそうに明日奈が口を開く。
「はぁー......で、いつやるんだ」
ため息交じりに明日奈に問う。
「えっ?」
「その舞台、いつやるんだよ。そのための準備が必要だろ」
「シュウくん.......」
少し、安堵したようにこちらを見てくる。
「まぁ、アスナがやるっていうなら俺も協力はするよ」
「キリトくん.......」
明日奈は眼尻には少し涙が浮かぶ。
「ありがとう、二人とも。.........で、舞台の日付はね........」
俺たちはまたも立ち上がり声をあげる。
「「一週間後!!」」
「う.......う.....疲れた.....」
俺は机の上に顔をうつ伏せにし、グダァ〜と生気のないように倒れこむ。
「大丈夫、シュウくん?」
「お、おう.....」
あの衝撃の発言から五日の時が過ぎ、今はALOでリーファと一緒にシルフ領でお茶をしている。
「最近、お兄ちゃんやアスナさんも疲れてるみたいだし、そんなに舞台大変なの?」
「あ、ああ.......五日で大道具、小道具、それに台本を作って死ぬ気で覚えたからな。まぁ......エギルとクラインにも手伝ってもらったからさ、予定より早めに終わったから......スグと会えてるんだけどな」
「本当に大丈夫?あたしに出来ることがあったらなんでも言って」
その言葉に俺はうつ伏せになっていた体を起こしリーファを見る。
「それなら........」
現在、現実世界では、十一時をまわったところだろう。俺とリーファは、シルフ領から場所を移し、アインクラッド第一層、《始まりの街》の宿舎の中にいる。
「ねぇ、シュウくん。本気でやるの?」
「あたしに出来ることがあったらなんでも言ってって言ったのは、リーファじゃんか」
「そ、そうだけどさ........でも.....これは」
リーファは、ベットの上に座りこみ顔を赤らめる。
「別にいいだろ.......何回もしてるんだからさ」
俺はリーファに近づき、俺もベットに座り込む。
「それでは、失礼します」
体を倒し、リーファの膝に頭を任せる。
「ああ〜、やっぱりここが一番落ち着くな」
上を見上げるとリーファの顔は今にも爆発しそうな火山みたいに真っ赤だ。
(やっぱりスグの膝の上が一番落ち着くな)
「集也くんって、ゲームになると大胆になるよね」
「そ、それは.........」
確かに現実世界での俺は、ここ最近までは手を繋ぐだけてドキドキしてたからな。
少しまたも沈黙が.......
「そ、そうだ。舞台ってSAOのことやるんだよね?」
「う、うん」
「集也くんは、何の役やるの?やっぱりSAOのプレーヤーのシュウくんなの?」
「そ......それは.....」
少し言葉につまる。
「ま、まあ、見てからのお楽しみってことで」
「そうだね。その日は部活休んで行くから頑張ってね」
リーファは笑顔で微笑み俺の頭を撫でる。
「う、うん。........頑張るよ」
二〇二五年十月二十五日 演劇ホール
集也くんやお兄ちゃんが通う学校から徒歩五分くらいの距離にある演劇ホールで今日、舞台が開催される。
演劇ホールの前には、多くも人で混んでおり大盛況だ。私は、集也くんからもらった招待状で列に並ぶことなく直ぐに演劇ホールに入ることが出来た。演劇ホールに入り、指定された席を探すと男の人の声がする。
「おーい、リーファ。こっちこっち」
声のする方には、いつものように頭に赤色のバンダナを結び、スーツ姿の男性、クラインさんの姿が。
「クラインさんも呼ばれてたんですね」
「そりゃそうだ。俺たちだってこの舞台に手伝ったんだからな。呼ばなかったらあいつらを恨むぜ」
冗談半分でクラインさんが言ったのち、親指を立て後ろを指す。
「俺だけじゃないぜ。他のみんなもいるぜ」
そこには、SAOメンバーのエギルさん、サーシャさん、ユリエールさん、シンカーさんの姿も。
私も席に座り込み舞台が始まるのを待つ。指定席は、ものすごく舞台が見やすい二階の最前列の席で集也くんやお兄ちゃんの姿がよく見える。
少し待つと、ブー!、という上演の音がし、アナウンスが響き渡る。
『本日は、ご来場いただきまことにありがとうございます。まもなく、《SAO・アインクラッドの軌跡》が始まります。もうしばらくお持ちください』
アナウンスが終わるとすぐに舞台にかかっていた幕が上がりいよいよ始まった。
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