スーパー戦隊総決戦
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第十五話 神前でその十一
「しかしじゃ」
「しかしなのか」
「そうじゃ。鯉を食べたくなったのう」
この欲望は抑えられなかったのだった。
「鯉料理は何処で食えるかのう」
「そんなの琵琶湖にでも行けばいいだろう」
リュウオーンがガジャの横から彼に突っ込みを入れた。
「そこならな」
「ふむ、そこか」
「そうだ。鯉の刺身に鯉こくにあとはあげてあんかけをかけてな」
「美味そうじゃな」
「そう思うな。ではそこに行け」
こう言って琵琶湖を勧めるのであった。
「琵琶湖でも行って好きなだけ食え、いいな」
「わかった。それではな」
ガジャも頷く。そしてそれを聞いていた天知博士とお魚博士も言うのだった。
「いいですね。琵琶湖ですか」
「鯉だけじゃなくて鮒もありますしね」
「鮒!?」
皆鮒と聞いて思わず声をあげてしまった。
「鮒って食えるの?」
「そうみたいね」
「何か」
殆どの面々がそのことを知らないようである。鯉は知っていたが鮒のことは知らないという面々が殆どのようである。そしてこうしたことも言うのだった。
「鮒を一体どうやって?」
「お刺身?」
「それとも鍋?」
「ああ、寿司にするんだよ」
リュウオーンがこう話した。
「鮒寿司な。まあかなり高いけれどな」
「鮒寿司っていうの」
「何か凄そうだけれど」
「鯉の方が安いな。まあ金があったらそれで食え」
リュウオーンの言葉は実に素っ気無い。
「戦いの後でな」
「鮒より鯉の方がいいわね」
シズカはそちらに関心を向けていた。
「鯉にあんをかけてそれでね」
「食べるのか」
「やっぱり」
「私達の理想国家を築いた後でね」
それからだというのだ。一応それは頭の中にあるのだった。
「たっぷり食べてやるわよ」
「じゃあ戦いの後でな」
「鯉にするか」
「そうね」
こう言ってであった。戦いの後のことも考えていた。とはいってもやはり食べることばかりである。戦隊の面々も敵も誰もがそれは同じであった。
そしてである。神宮を完全に出てだ。ようやくであった。
「さて、それじゃあ」
「いよいよ遂に」
「神戸に」
本当にやっとであった。
「それであんた達」
「何だ?」
「どうしたのだ?」
ヴァッフォとミゲラがアラタの言葉に応える。
「今から神戸に行くが」
「何なら一緒に行くか?」
「それより今度は大丈夫なの?」
彼が問うのはこのことだった。
「ちゃんと神戸に辿り着けるの?俺達もだけれどさ」
「まあ大丈夫だろう」
「そうだな」
二人は実に能天気に答えてきた。
「幾ら何でもまた間違えたりはしないぞ」
「幾ら我等でもな」
「けれど奈良でも歩いてだっし今だってね」
エリですら突っ込むのだった。
「普通に神戸と伊勢を間違えたし」
「まあそれは気にしないことだ」
「過去は忘れることだ」
物凄いことを言う二人だった。
「大切なのはこれからだ」
「そう、次に間違えないとそれでいいのだ」
「これで本当に国やっていけるの?」
茂もそんな二人に呆れるばかりだった。
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