インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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黒き夜の中で
「………疲れた」
あの後、取り調べを受けてからみんなは一夏の誕生日だということで家に向かったが、俺だけは別行動していた。
本音を言えば学園に戻ってマシンを造ってすぐに使えるようにして鍛えたほうが早い。が、今回のそれはいらない。人間としての―――戦士としての勘を取り戻す必要があるからな。
「―――織斑マドカ、だ」
そんな声が急に聞こえ、そっちに向かうと、そこには一夏と織斑先生にそっくりな女がいた。
「私が私たるために……お前の命をもらう」
その女は一夏に照準を向けて銃の引き金を引いたが、それが一夏に届くことはなかった。
―――チュインッ
「何!?」
マドカと名乗った女の足元に弾丸がぶつかり、彼女は咄嗟に後ろに下がる。
「……どういう……意味だ?」
「―――お前の射撃能力が低いだけじゃないのか?」
俺が姿を見せると、意外そうにこっちを見ていた。
「………そうか。お前は―――」
「コードネームM。あの女が言っていたのはお前のことか」
「私を知っているか。なら話は早い。私と来てもらおうか」
つまりそれは勧誘。敵にアレがいることからわかっていたから覚悟はしていた。だったら―――
「嫌だよ。俺は普通の恋愛がしたいもん」
「……………そうか。ならば力づくといきたいところだが、今回は引こう」
そしてマドカはサイレント・ゼフィルスを展開してその場から飛んでいった。
「………祐人?」
「どうした?」
「……一応聞くけど、今のがなかったらどうする気だ?」
「いつでも行くつもりと答えたほうがお前の期待に添えれるか?」
本当は行くつもりはないが、場合によっては行くかもなぁ………。
「いや、冗談……だよな……?」
「だったらいいな。それよりも、あれってお前の双子の妹か? 二卵生?」
「いや……俺だって知らない……」
それは妙だと思いながら、
「あっそ。じゃあ後は二人で仲良くな」
そう言って俺はその場から去る。それと同時にもう一人―――ラウラ・ボーデヴィッヒから個人間秘匿通信が送られてきた。
『気をつけろ、風宮。お前は嫁や箒と違って特殊な後ろ盾はない。今もなお、お前を狙っている人間もいるんだぞ』
『安心しろボーデヴィッヒ。今の俺の気分は最悪なんだ。それに―――俺を狙う? 上等だ。むしろさっさと大人数で来て欲しいって話だ。じゃあな』
『お、おい―――』
通信を切って俺は再び歩き出した。すると、
「―――少しばかり付き合ってもらうぞ」
いきなり後ろから男が現れて、俺の肩を掴んだ。
―――ドゴォッ!!
それを肘で吹き飛ばし、俺は移動する―――と、
―――カキンッ、カキンッ
遠方からの銃弾がどこかに吹っ飛ぶ。
「どこの国か知らないが、あえて言わせてもらおうか。死にたい?」
その目は完全に相手を見下しているだろうと言われるだろうが、知るかと一蹴できる。
「悪いが私には妻子がいる。できればこのまま大人しく指示に従ってもらいたいのだが」
「諦めろ」
俺が放ったのはそれだけ。
それは「こっちは降伏する気はさらさらなく、家族がそっちを優先しろ」という意味だったのだが、
「しかし、それはできない。何より君が特殊な立ち位置にいるからだ」
「ああ。後ろ盾どーのこーのの問題ね。さっきもクラスメイトに言われた―――が、生憎俺はどこの国にも所属する気はないんでね。だから―――」
足を上げると同時にその男を踏みつけて意識を奪う。
「―――眠れ」
そう言ってその男を端に寄せてからその場から離れた。
(……シヴァ。そっちの状況は?)
『祐人を狙ったスナイパーは無力化したわ。でも殺さないとなると難しいわね』
(いくら大義名分とはいえ、死んだら元も子もない。今更善人ぶる気はないが、生きれるなら生かしてやろうと思ってな)
『甘いッスね。まぁ、それも仕方がないって気もしますけど』
(来てたのか、リヴァイア)
『ええ。なにやらおもしろそうなことをしてそうだったので』
(じゃあ頼むわ。殺さないのと周りには気付かれなかったらそれでいい)
『りょーかいッス』
そしてその晩、俺を―――いや、俺たちを襲ってきた奴らは全員倒した。
■■■
―――千冬side
「それで、用とは何だ?」
私は今、寮監室で山田先生と話をしていた。
「はい。実は―――あの白いISの操縦者と風宮君は無関係じゃないみたいなんです」
「………それは本当か?」
「おそらくですが、あの後私はラファール・リヴァイヴを借りてオルコットさんたちとは別の方向―――海の方に向かった風宮君がいたんですが、白いISの操縦者とはまるで知り合いのように話していたので、一応耳に入れておこうかと。それにあのISはどこの国にも造られていない型でした」
形状は福音のそれだが、そこも違ったか。じゃあ、一体何だ?
それに風宮の実力。助けてもらってなんだが、あれは異常すぎる。そして、度々開発される武装。そして、ディアンルグの謎の力。それと『シヴァ』。そろそろ本格的に問い詰めなければ各国がうるさいだろう。それに一夏や箒と違って風宮には後ろ盾はない。そろそろどこかに所属を決めないと―――だが、それをしても無事でいられるかわからない。やはり後ろ盾がなければ厳しい。最悪の場合、やはりというかディアンルグのことや風宮が記憶喪失の理由、そして異常と言えるほどの束に向けるあの怨念。そこまでは知っておきたい。
「そこまで調べてくれてありがとう。風宮にはまた私から接触を図ってみる」
「あ、き、気を付けてくださいね。白いISが逃げた後、風宮君の様子はどこかおかしかったので」
「………わかった。気をつける」
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