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とある英雄の逆行世界

作者:大城晃
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幼年期編
第3章
  半年後…そして

 美琴と当麻が出会って半年がたった。


 あの日から当麻と美琴は一日も欠かすことなく顔を合わせていた。

 平日は学校が終わった後に当麻が美琴に何があっても会いに来ていたし、休みの日や土日は朝からどちらかの家に行き夜もどちらかの家に泊まるのが通例だった。

 ちなみにこれを喜んだのは当麻と美琴だけでなく、二人の両親もそれぞれ母親同士、父親同士で意気投合し家族ぐるみの付き合いをするようになっていた。
 まぁ父親同士はあまり家に居ないこともあり集まれる回数は少なかったのだが。
 
 そしてこれは美琴と当麻の知らないことだが、両家の間では美琴と当麻は許嫁同士として扱われている。

 まぁ両家とも2人の意見を将来的に尊重するとはしてはいるのだが、そう遠くない未来に美琴と当麻は付き合いだすのではないかというのが両家の意見である。


 最近二人についての変化があった。

 来年から二人が学園都市に通うことに決まったのだ。

 もともと当麻の両親は当麻の美琴と出会う前の状況を少しでも打破するべく、科学の街である学園都市に当麻を送り出すつもりでいたのだ。

 あの町ならば当麻の不幸体質もいまいる環境ほどにはどうこう言われることはないだろう、と考えてである。


 そこの現れたのが美琴だ。

 当麻の不幸なんか気にもせずむしろそれさえも当麻の一部として考え、それでも当麻の傍にいることをを選んでくれた少女。

 それが当麻の両親、上条詩菜と上条刀夜にとっての美琴だ。

 年の割にかなり大人びているし、将来はかなり美人になりそうだし、気は強いがとても女の子らしい一面をもち、さらに面倒見も良かったりとこれ以上ないくらいにいい子である。

 正直、当麻なんかにはもったいない子だというのが詩菜と刀夜の共通見解だ。

 そして当麻も美琴にべったりである、もちろん逆もしかりではあるのだが。

 そんなこんなで二人を引き離すような当麻の学園都市行きの計画はお流れになっていたのである、つい先日までは。
 
 
 この話が再燃したのは詩菜と美鈴の何げない会話からだった。

 会話の内容は美琴の小学校について、その中で美鈴が美琴が学園都市にいきたいと言っていたというのを話したのである。
 

 いまの美琴が逆行してくる二週間ほど前に美鈴と美琴は二人で学園都市に行ったことがあった。もちろん学園都市の見学ツアーである。

 その中で美琴は学園都市への憧れを強くしたらしく美鈴と離れてでも学園都市にいきたいと言っていたのだ。

 もっとも当麻と出会った後、すなわち美琴が逆行してきた後はそれはなりを潜めていたのだが。

 その話に詩菜が当麻を学園都市にやろうと思っていたことを話すと、それならばということで二人の意思を確認したあと通わせようという話になった。

 もちろん二人とも当麻くんがいるから、美琴ちゃんがいるから、1人で送り出すより安心だ、という思いがあったのだろうが。

 ちなみに詩菜に言わせると当麻は美琴がいればどこでも大丈夫だとのことだ。

 で、二人の意思を確認したところ美琴が行きたいといい、当麻がじゃあ俺もといったことで二人の学園都市行きが決定したのである。

 

 あと最近になってもう一つ変化があった。

 美琴と当麻が遊ぶ際、それに加わる人間が二人ほど増えたのだ。

 喫茶佐天のマスターあけみさんの長女とその弟である。名前を涙子と浩平といった。

 年は美琴のひとつ下とふたつ下で年が近いことから美鈴が二人と引き合わせたのである。

 初めてあったときに名前を聞いて美琴は(表情には微塵も出さなかったが)とても驚いた。

 さすがに佐天さんの実家が自分のうちの近くにあろうとは…という感じである。
 
 と、そんなこともあったが涙子と浩平は二人によく懐いた。特に涙子は美琴に、浩平は当麻にべったりだ。

 そして今日も二人が出会った公園には4人の姿があった。


「にーたん、かくれんぼしよーよ」


「コウはそれがいいのか?みこととるーもそれでいいか?」


「問題ないわよ」


「おっけーです」


 舌足らずに当麻をにーたんと呼ぶのは浩平だ。

 いまは当麻の体に抱きついて見上げるような形になっている。当麻は浩平の頭をひと撫ですると美琴と涙子に確認をとった。

 基本的に面倒見がいい年下二人は当麻を介した浩平の意見を聞き入れることにしたらしく反論はなかった。


「よしじゃあ鬼を決めるぞ。みこと、るー」


「はーい、とうまにぃ」


「…やるだけ無駄だと思うのは私だけかな?」


「はいそこうるさいです、みことさん。かみじょーさんだって時にはかつこともあるんでございましてよ」


「はいはいわかってますって」


 ちなみに当麻のじゃんけんでの勝率は0割0分3厘といったところだろうか?要は0.3%である。

 そしてその0.3%が起きた後には何らかの不幸に見舞われる、不幸体質の面目躍如といったところだろう。


「ことねぇもとうまにぃもはやくしようよ~」


「っと、ごめんね涙子。ほら当麻ちゃっちゃか決めちゃいましょう」


「おう、そうだな。じゃ、せーの」


「「「さいしょはグー、じゃんけんポン!!!」」」




「いや、わかってましたけどねー」


 そしてじゃんけんの後にそう呟く、当麻の姿が目撃されたとかされなかったとか。

 ちなみにその後、5回ほどかくれんぼをやって、涙子のリクエストでおままごと(当麻は拒否したが美琴に勝てる訳もなかった。また涙子1人相手でも勝てなかっただろう)をやった。


 ちなみに配役は涙子が決め、お母さん役を美琴、お父さん役を当麻、その子供役を浩平、そして自分が姑役をやるというちょっと普通なら無い配置だった。

 ちなみに姑と嫁の仲はかなり良好で実の親子のように仲が良いという設定である。

 後に美琴が涙子に聞いた話だが実は涙子、美琴を年下のようにあつかってみたかったらしい。

 ちなみにおままごとを一番楽しんでいたのは「当麻と夫婦。ふにゃー」という感じになっていた精神年齢中3の美琴だったらしい。

 ちなみに当麻も満更でもなさそうだったということが後に涙子から語られている。


 そんな風に毎日――具体的には涙子に振り回されたり、浩平に振り回されたり、美琴が当麻の家にお泊りしたり。当麻が美琴に家にお泊りをしたり、当麻が美琴にくっつく涙子にやきもちやいたり。涙子が美琴と一番仲がいい当麻に嫉妬したり、ちなみにこのときは涙子をはさんで当麻と美琴で手を繋いでいっしょに帰ったら解決した、涙子としては美琴≧当麻らしい。 代わりに浩平が駄々をこねた、ちなみに浩平にとっては当麻≧美琴である。そのほかにも学園都市にいくからしばらくお別れだといったら涙子に泣かれたり etc.etc ――を過ごし、そんなこんなで数カ月がたって、二人は学園都市へと入学(?)したのだった。

 ちなみにそんな二人を追って涙子と浩平が1年後と2年後に学園都市にやってくるのだがいまの二人にはそんなこと知る由もなかった(涙子については美琴は予測していたが)。
 
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