スーパー戦隊総決戦
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第十四話 伊勢巡りその十一
「竜は酒好きだからね」
「ああ、好きだぜ」
実際にそうだと返すドレイクだった。
「しかしそろそろ神戸に行くべきじゃねえのか?」
「いや、それはまだいい」
ダゴンがそれを止めた。
「どのみち戦うことになる。しかし今はだ」
「羽根を休めるか」
「こうしているのも悪くはない」
こうスレイプニルにも返す。
「ン=マ様ももうおられぬ」
「そうだね。それにあたし達の国を作る為には」
メデューサも言う。
「聖杯さえ手に入ればいいしね」
「マジレンジャーの連中もどいてくれればいいしね」
トードもあっさりとしたものだ。うどんを食べながら何でもないように話す。
「殺すつもりはないし」
「そうだな。戦いは嫌いではないが」
サイクロプスも今は赤福に専念している。
「それよりも面白いものが世の中には多いな」
「こうして飲み食うだけでもいいものだ」
イフリートもこう言って酒とうどんを楽しんでいる。
「さて、それではだ」
「今は楽しくやろうぞ」
ガジャも割り切っている。
「今度は伊勢海老じゃ」
「おい、それ高いぞ」
「いいの?それで」
すぐにヤバイバとツエツエがびっくりしたような顔で突っ込みを入れた。
「伊勢海老はよ」
「鰯とか浅蜊とか他にもいいものがあるけれど」
「まあそれも食べてじゃ」
ガジャはそうしたものも含めるというのである。
「しかし。それだけではなくじゃ」
「食うのかよ」
「やっぱり」
「うむ、食う」
無意味なまでに強い決意を見せるガジャだった。
「伊勢といえばやはり伊勢海老じゃ」
「金はあるのか?」
「そっちはどうなの?」
「ほれ」
言いながら出してきたのは宝石だった。ダイアにサファイアをごろごろと出してくる。それも十個や二十個ではない。幾らでも出て来る。
「プレシャスを集めておるのじゃぞ。こうしたものも拾うことも多いのじゃ」
「けれどあんたプレシャス手に入れたことあったか?」
「なかったんじゃ」
二人は突っ込んではいけないことを突っ込んだ。
「それでもそういうものは手に入っているのかよ」
「まああるのならいいけれど」
「わしも随分なことを言われておるのう」
今更ながら気付くガジャだった。
「これでも一万年生きておるのじゃぞ」
「殆ど寝てなかったか?」
リュウオーンも突っ込んできた。
「確かな」
「そうかも知れんがな」
「まあ俺も宝石はそれなりに持っているしな」
彼もルビーやらエメラルドやらを出してきた。
「金には困らないからな」
「えっ、何処でそんなの拾ってたのよ」
シズカは彼等が出すその宝石達に唖然となっている。
「私そんなの拾ったことなかったのに」
「わし等ダークシャドウはいつも火の車だったのじゃぞ」
「そうだ、俺達ときたらだ」
月光とヤイバも言う。
「やり繰りが大変じゃった」
「しかし御前等は違ったのか」
「というか御前等どういう財政状況だったんだ?」
「俺達も人のことは言えないけれどな」
クエスター達が少し呆れた調子で彼等に顔を向けて問うた。
「零細企業同士だけれどな」
「御前等は特にやばそうだな」
「だから私がアイドルやってるのよ」
今わかった衝撃の真実だった。
「お金がないからね」
「そんな組織だったのか」
「ある意味凄いな」
クエスター達も驚くことだった。
「まあそれでもこうして楽しんでいるのだな」
「それならいいか」
「そうかもね。苦しいとは思ったことないし」
実際にシズカはそうは思っていなかった。
「ただね。この戦いこれからどうなるのかしら」
「そんなことはどうでもいいのでは?」
今言ったのはヒラメキメデスである。
「今考えてもどうにもなるものではありません」
「物凄く無茶なこと言ってない?」
「そうよね、あんたそれでも軍師なの?」
フラビージョとウェンディーヌがそれを言う。
「今はどうでもいいって」
「どういうことなのよ」
「楽しむことに専念するべきなのです」
そうするべきだというのがヒラメキメデスの論理だった。しかしそれでも彼は言う。それでいいというのである。
「遊ぶ時は遊ぶことに専念しないと」
「ああ、それはそうね」
「一理あるわね」
フラビージョとウェンディーヌも何だかんだでそれで納得した。二人にしてもうどんを食べ赤福を楽しんでいる。周りと同じであるのだ。
「それじゃあ今はね」
「どうせハリケンジャーの連中も来ないし」
こう思っていたのだった。しかしその予想は見事に外れることになる。戦いは今は行われてはいない。だが最後の戦いへの胎動は続いていた。
第十四話 完
2010・4・23
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