インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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襲われる三人
俺たちが職員室から出ると、
「やあ」
生徒会長がいた。というか一夏はずっと待ってたんだな。
「……何か?」
「ん? どうして警戒しているのかな?」
「それを言わせますか……」
まぁ、一夏にとっては嫌な相手だもんな。
(セバス、俺を追けていたのって、こいつか?)
『そうですよ』
(なんていうか、あの時真面目に燃やしておけばよかったと今更ながら後悔している)
俺はため息を吐いた。
「まあまあ、そう塞ぎ込まずに。若いうちから自閉しているといいことないわよ?」
「誰のせいですか、誰の」
「んー。それなら交換条件を出しましょう。これから当面私が君たち二人のISコーチをしてあげる。それでどう?」
「俺はともかく、一夏にとってはいい案だな」
「いや、コーチはいっぱいいるんで」
まぁ、確かに。約一名は教わっている暇はないのだがな。
「うーん。そう言わずに。私はなにせ生徒会長なのだから」
「はい?」
それがどうしたって話だ。
「あれ? 知らないのかな。IS学園の生徒会長というと―――」
「―――覚悟ぉぉぉぉっ!!」
何か出てきたので一夏は二人の間に入るが、生徒会長は前に出て、
「迷いのない踏み込み……いいわね」
センスで竹刀を受け流して左手で手刀を叩き込む。
その相手が倒れると同時に窓硝子を破って矢が飛んできた。
それを俺は不可視防壁を発動させて弾き、鎖を遠隔展開して弓を取り上げると同時に投げた覚えがない竹刀がその女の眉間に当たる。
「もらったぁぁぁぁ!」
今度は掃除道具のロッカーからボクシング女が現れる―――と同時に俺が前に出て鳩尾に拳をお見舞いしてそのまま戻ってもらった。
「………弱いな」
そう言って俺は生徒会長に向き直った。
「……んで、何だこの惨事は。俺に向かってくる人間はいなかったんだが」
「あぁ。それは私狙いなのよね。IS学園の生徒会長は最強じゃないとなれないから、その席を狙っているんだと思うわ」
「つまり、IS学園最強の座にいるのはアンタと言うわけか」
「そういうこと♪」
そいつの笑顔を見て、俺は頭を抱えた。
「それにしても私が就任して以来、襲撃はほとんどなかったんだけどなぁ。やっぱりこれは―――君たちのせいかな」
「な、なんでですか」
それ、聞く必要あるのか? どうせ俺たちを景品にしたからだろ。
「ん? ほら、私が今月の学園祭で君たちを景品にしたから、一位を取れなさそうな運動部とか格闘系が実力行使に出たんでしょう。私を失脚させて景品キャンセル。ついでに君たちを手に入れる、とかね」
まぁ、どこでもいいや。どうせ行かないし。
「ではまあ、一度生徒会室に招待するから来なさい。お茶くらいは出すわよ。あ、風宮君は強制参加だから」
「……行きますよ」
「………まぁ、そっちの方が都合がいいしな」
そういうことで俺たちは行くことにした。
■■■
「……いつまでぼんやりしてるの」
「眠……夜……遅……」
「しゃんとしなさい」
「了解………」
どこかで聞いたことあるような声がした―――いや、俺はよく聞いているので誰かわかっていた。
「ただいま」
「おかえりなさい、会長」
出迎えたのはあの壇上で全員を沈めた女生徒だった。そして、
「わー……。おりむーにかざみんだ~……」
やっぱり本音だった。
「まあ、そこにかけなさいな。お茶はすぐに出すわ」
「は、はぁ……」
さっきまで顔を上げていた本音は、眠いのか力を失ったように顔をテーブルに戻す。
「お客様の前よ。しっかりなさい」
「無理……。眠……帰宅……いい……?」
「ダメよ」
酷いなメガネさん。
それを見かねた一夏は本音に声をかける。
「えーと、のほほんさん? 眠いの?」
というか、こいつはどうして本音をそう呼ぶのだろうか。
「うん……。深夜……壁紙……収拾……連日……」
「へぇ。そりゃそうなるわ」
「え? 今のわかったのか?」
一夏は不思議そうにこっちを見た。
「ああ。毎日深夜まで掲示されている壁紙を張り替えているかしているんだろ」
「せいか~い」
「すげぇ」
「それより、あだ名なんて仲いいのね」
生徒会長が腕を組んで座りながら一夏に言った。
「あー、いや、その……本名知らないんで……」
それを言ったが最後、一夏に恐怖が降り注いだ。
「一夏、覚悟はできたか?」
「え? 何でナイフを俺の首に当てるんだよ!?」
『簡単よ。本音の名前を知らないなんて死ぬべきだわ』
「ちょっと待って! 一体どこからシヴァは現れたんだ!?」
そんな疑問を知らないままシヴァに鳩尾を殴られてしまった一夏は痛さのあまり悶絶する。
「ひどい、ずっと私をあだ名で呼ぶから好きなんだと思ってた~……」
―――パシンッ、パシンッ、パシンッ
シヴァの鞭打ちで一夏はさらにダメージを食らった。
「本音、嘘をつくのはやめなさい」
「てひひ、バレた。わかったよー、お姉ちゃん~」
と、意外な事実を知ってしまう。
「お、お姉ちゃん?」
「え、ええ。私は布仏虚。妹は本音」
「むかーしから、更職家のお手伝いさんなんだよー。うちは、代々」
「うわっ、かわいそ~」
と、引きながらそっちを見る。
「なによ………」
「いや、生徒会長みたいに常識を知らないような人間の下につかされるなんてかわいそうだなと」
「これでも私は常識はある方なのよ」
「あるなら俺たちを無断で賞品にしないと思うけどな」
「うぅ……」
と、追い打ちをかけると案の定項垂れた。
後書き
一度ここで切らせてもらいます。
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