SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第四章 クリスマスの夜に…
第31話 告白
前書き
いいタイトルが思いつかない……
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
《背教者ニコラス》をキリトが倒したのは、キリトのHPが赤になり、俺達が助けに行こうと思ったのとほぼ同時だった。
頭陀袋を残して爆散したのち、キリトが剣を収めた後、残った頭陀袋も消えていった。
これでキリトのアイテムストレージには、この戦いでの報酬がすべて入ったはずだ。
さっそくキリトはウィンドウを出して、アイテムを確認していく。
そしてお目当ての物があったのか、キリトは指を震わせて何度も失敗しながらアイテムを実体化させる。
「あれが《蘇生アイテム》なんでしょうか?」
「多分、そうなんじゃないのか。キリトの奴、あんなに期待してるし」
「……本当に生き返るんでしょうか」
「……さぁな」
俺と一緒に遠くからキリトの事を見ていたシリカが、キリトの出したアイテムを見て俺に聞いてくる。
確かに《蘇生アイテム》なんてこのSAOに存在するか、誰でも疑いたくなる。
もし実在するのなら、
『今まで死んでいったプレイヤーは全員生きているのか』と、そんな事を考えてしまう。
多分、シリカも俺と同じ事を考えたから、俺に聞いてきたんだろう。
しかし俺とシリカが考えたことは、キリトの叫び声で違うと知らされる。
「うああ……あああああ……」
キリトは宝石のようなアイテムの説明を見た後、獣のように叫びながら、アイテムを雪の上に力いっぱい叩きつける。
「あああ……ああああああ!!」
そして、絶叫しながらアイテムを何度も踏む。
……前のギルドのメンバーは、生き返らないんだな…
…今見ている限りじゃ多分、キリトも今すぐ死にたいだなんて、あの様子じゃすぐには考えられないだろうな。
少なくとも、さっきクラインたちと話していた所に行くまではまでは、死なずに来ると思う。……その後は分からないけど。
「……シュウさん」
「……ああ、分かった」
シリカもそう感じたのか、俺の服を掴み、目で『キリトさんを一人にさせてあげましょう』と言ってきた。
俺はシリカに頷き、出口のワープポイントまでシリカと一緒に歩き出した。
=================
俺たちが、さっきキリトとクラインが話していた場所に行くと、クラインと風林火山のメンバーがいた。
なぜだか分からないけど、クライン一人だけが激しく消耗していた。
…何かあったのか。
そんな事を考えながらクラインの近くに行くと、クラインは顔を上げて、
「キリ……って、シュウ! それに、シリカ! ど、どうしてお前ェ達がココに…」
一瞬俺たちをキリトと間違えたようだが、すぐに分かったらしく驚きの声を出した。
「お久しぶりです、クラインさん」
「久しぶり、クライン。ココに来た理由は、クラインと同じだと思うけど」
「そうか、お前達もキリトを……それでキリトの奴、どうなった?」
「生きてるよ」
シリカと一緒に挨拶をした後、クラインがキリトの安否の事を聞いてきたので、簡単に返事を返す。
「そ、そっかー、そりゃあ良かった。……それよりビックリしたぞ、お前ら……キリトのような格好しやがって、一瞬間違えちまったじゃねーか」
「まぁ、この格好には色々とあるんだよ」
…やっぱり格好、キリトみたいだったんだな。
そんな話を座っているクラインとしていたら、ワープポイントからキリトが出てきた。
クラインはキリトの顔を見て一瞬ほっとした顔になった後、すぐに口元を強張らせる。
「……キリト……」
そして、割れたような声で囁くクラインと俺の間に、さっきのアイテムがキリトの手から投げられ、雪の上に落ちる。
「それが蘇生アイテムだ。過去に死んだ奴には使えなかった。次にお前達のどちらかが目の前で死んだ奴に使ってやってくれ」
それだけ言って出口に向おうとするキリト。
それを見て、クラインは立ち上がりキリトのコートを掴み、
「キリト……キリトよぉ……」
無精ひげが生えた頬に涙を伝えながら、キリトに泣きながら言う。
「キリト……お前ェは……お前ェは生きろよ……もしお前ェ以外の全員が死んでも、お前ェは最後まで生きろよぉ……生きてくれぇ……」
泣きながら、何度も生きろと繰り返すクラインの手を、キリトは裾から引き抜いて、
「じゃあな」
そう言ってから、キリトは迷いの森から出て行った。
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その後、落ち着いたクラインとキリトが置いていった《蘇生アイテム》を賭けて、ジャンケンをして《蘇生アイテム》は俺が貰う事になった。
そして、ガッカリしたクラインにお礼と謝罪、そして別れの挨拶をして迷いの森を出る。
森を出た後、アルゴと合流して起こったことをアルゴに話す。
『後のことはオイラに任せてくレ。キリ坊が変化を起こしたらメッセージを送るヨ』
と言われたので、俺たちはアルゴに後は任せる事にした。
あと、俺がお願いしていた事もしっかりしてくれたようで、俺はアルゴに感謝を言ってから、お願いしていた『ある物』を受け取った。
受け取り終わった後、アルゴと別れてから、そのまま第三十五層《ミーシェ》の街の宿に泊まる事にした俺とシリカは、毎度おなじみ二人部屋を選んで泊まる。
「うわ~、ベットで寝るの久しぶりですね。シュウさん」
「…そうだな」
部屋に入ってからベットを見て、目を輝かせるシリカ。
確かにもう何ヶ月もベットで寝ていないので、俺もシリカのようにテンションを上げたいのだが……そろそろ覚悟を決めて言わなければいけないと思い、緊張してそんな気にはとてもなれない。
「…シリカ」
「はい? 何ですか?」
「その……温泉での……へ、返事の事なんだけどさ…」
「へ!? あ! は、はい!!」
俺の『返事』という言葉を聞いて、顔を赤くして真面目な顔になるシリカ。
もう、こうなったら逃げ出せない。覚悟を決めろ、俺!
……でも、ヘタレかもしれないけど、これだけは聞いておこう…
「シリカ、返事は王道に勢い良くがいい? それとも、普通に言われたい?」
「え!? 何ですか、その選択! それより、その二つに違いがあるんですか!?」
「まぁ、勢いがあるか、勢いが無いかの差なんだけど……どっちが良い?」
「……じゃあ、王道で勢い良くでお願いします…」
王道で勢いか……良かった。
聞いといてなんだったけど、シリカが普通って選んでたら、どんな風に言えばいいか分からなかったよ。
「…シリカ、先に言っておくけど、俺がシリカの事を断る事は無い。けど、俺がこれから言う事をシリカが嫌だと思ったら断ってくれ」
「え……それって、どういう意味……」
「シリカ……ワガママだと思うけど、質問は聞いた後にしてくれ」
「……分かりました」
俺が言った通り、黙ってくれるシリカ。
ありがとう、シリカ。俺も、もしかしたら断られるかもしてないけど、覚悟を決めて言うよ。
………よ、よし!
「お、俺……虎風修一は、シリカの事が好きだ! お、俺と……結婚して下さい!!!」
……ヤベー、緊張しすぎて、リアルの名前出しちゃったよ、俺。……何言ってんだろ…
けどこれが、シリカの事でヘタレていた俺の覚悟だ。
シリカの思いを知った後に、俺が返事を返すだけなのは……その……納得できなかった。
あの告白されたタイミング的に。
だから、このSAOにいるカップルの中でも、いたるのは稀な『結婚』をしようと思ったんだ。
シリカは俺の思いを聞いてから、少しの間動かなかった。
「し、シリカ? ど、どうしたんだ?」
「え!? あ……えっと……シュ、シュウさんが今言った事って、その……あの、本気ですか?」
「ああ……でも、嫌なら……」
やっぱり、いきなり結婚は早いよな。……いや、俺だってそう思うよ。ホント。
「い、いえ! 嫌ではないです! ただ、ちょっとビックリしちゃって……」
「え……そ、それって…」
そして、シリカは顔を赤くしながらも、俺に凄く可愛い笑顔で、
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
と、言ってくれた。
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その後、俺がシリカにプロポーズメッセージを送り、シリカがそれを受諾して、俺たちは夫婦となった。
「あ! そうだコレ、シリカに」
受諾され終わった後、俺はアルゴにお願いしていた『ある物』をシリカに渡す。
「え!? これって、指輪ですか!?」
「ああ、アルゴにお願いして良い物を選んできてもらった。俺が選ばないっていうのは少し嫌だったけど、やっぱり性能が良くて《筋力値》とかが上がる方がいいかな~、っと思って」
そう、アルゴにお願いしていた物は『指輪』。
やっぱりコレは、『結婚』には欠かせない物だと思うからな。俺は。
「……ありがとうございます」
俺から貰った、指輪をはめてお礼を言ってくれるシリカ。……気に入ってくれたかな?
「アルゴにもお礼を言ってくれよ。《筋力値》と《敏捷力》が10も上がるなんて、凄いレアアイテムだぞ」
……コレ貰う時に『オイラは運び屋じゃないヨ』と文句を聞かされたあとに、『上手くやれヨ~』とニヤニヤ笑いながら言われて、恥かしい思いをしたけどな。
「はい、分かってます。……あ! それよりも、さっきシュウさんが言ってた『虎風 修一』って…」
「……俺のリアルの名前な。あまりに緊張しすぎでつい言っちまったんだ」
「やっぱりそうだったんですね。…そっか~、リアルでも『シュウさん』は『修さん』なんですね」
俺の名前を聞いて、嬉しそうにするシリカ。
「……捻りが無い名前で悪かったな」
このSAOのアバターを作る時、ネーミングセンスが無いから自分の名前の一部にしちゃったんだよ!
と、心で叫んでいると、
「いや、シュウさんの名前が悪いと思った訳じゃなくて、シュウさんの本名が聞けた事が嬉しかったんです」
シリカがそんな事を言ってくれた。
「そ、そうか、悪いな。早とちりしちゃって」
「そうですよ。……あ! でも、そしたらあたしもリアルの名前を言った方が良いですよね」
「いや、シリカは別に言わなくてもいいぞ。俺が勝手に言っただけだし…」
正直、物凄く知りたいけどな。
「それじゃ、あたしが気を使っちゃいそうで嫌なんです」
「そ、そうか。な、なら教えてください」
「はい。あたしの名前は『綾野 珪子』っていいます」
「綾野、佳子……か」
なんか、今までずっと一緒にいたシリカの本名を聞くと……なんか、こう……へんな感じがするな…
「……さて、なら寝るとするか『佳子』」
「い、いきなり呼び方変えないで下さい!」
「ははは、悪い悪い」
俺がわざとらしく今聞いた名前で呼ぶと、シリカが顔を真っ赤にして俺に怒ってきた。
……怒ったシリカの顔も可愛いと思うのは、俺だけだろうか…
「まぁ、そろそろ本当に寝ようぜ。今日は色々な事がありすぎた所為で、いい加減眠いし」
「そうですね」
そう言って、俺たちはそれぞれ自分のベットに横になった。
……あれ? 今思ったけど、これって結婚する前と変わらないんじゃ…
「……なぁシリカ」
「何ですか?」
シリカは、俺の問いかけに横になりながら首だけこちらへ向けて返事を返してくれた。
「……結婚したら、俺たちは何が変わるんだろうな…」
「……へ?」
「いや、まぁ深い意味は無いんだけどね」
「な、何が変わるって……それは………何が変わるんでしょうね…」
悩んだ末、シリカが出した答えは俺と同じで……分からない。
「だろ! ずっと一緒にもう過ごしてるし……シリカに朝起こしてもらったり、一緒にご飯だって作ったりしてるしな。ストレージのデータ共通化以外に、何か変わるものあるか?」
俺が再びシリカに聞くと、シリカが少し言いにくそうに、とんでもない事を言い出した。
「……な、なら、一緒に寝ます。ひ、一つのベットで…」
「………………………ムリ……かな……」
「……え!? ちょっ!? な、何でですか!!?」
シリカが驚いたように声をあげる。……そんなのは決まってる…
「シリカと一緒に寝たら、緊張で絶対眠れない自信がある!」
「……そんな自信持って言わないでくださいよ…」
「ま、まずは……」
俺はベットから起き上がり、俺のベットを押してシリカの方へ寄せる。(宿屋なので出て行く時に直しておかないと、追加料金を取られるけど…)
そして、俺のベットとシリカのベットの隙間が5センチくらいで止めて、再び横になる。
「まずは、近くで寝る所からお願いします」
「……これ、一緒に寝るのと変わらなくないですか?」
「結構違うって……ほら、隙間ちゃんと開いてるだろ」
「それはそうですけど……もしかして、シュウさんって……結構、初心なんですか…」
……は、はは、まさかシリカにそんな事言われるなんてな…
「は、はは、そ、そうだよ……恥かしくて仕方ないだよ……ヘタレで悪いな、シリカ……」
俺はシリカと反対の方を向く。……分かってはいるけど、人に言われると少し落ち込むなぁ。
そりゃ、俺だってシリカと寝たいさ。でも…でもな…そんなのは恥かしすぎて……ヘタレの俺に、こんないきなり一緒に寝ようだなんて、ムリな話しなんだ。
「……これは、キスとかは当分なさそうですね…」
「……嫌いになったか?」
「……それはムリです。あたしがシュウさんを、それくらいで嫌いになるはずありません」
「それくらいって、そんなこと……」
シリカの言葉に反論しようとしたら、シリカが俺の言葉が終わらないうちに続ける。
「それくらいですよ。あたしだって、恥かしいんですよ。だから、シュウさんがいきなりOKだしてたらどうしようかと思いました。……それに……」
「…それに……何だ?」
シリカが言葉を止めたので、俺は再びシリカの方へ向く。……すると……
「それでこそ、あたしの好きになったシュウさんだな~って、改めて思いました。シュウさんが初心なんじゃないかって、薄々分かってましたし」
「シリカ……」
シリカは俺に向って、笑いながら話してくれた。
「それに、あたしが『お兄ちゃん』を嫌いになる訳ないじゃないですか」
……ありがとう、シリカ。
多分、この言葉にはシリカの本音も入っているだろうけど、俺が慰められているのは、現に事実だ。
なら、俺もさっきの告白みたいに、少しは勇気を出さなくちゃいけない。…しかも、今日はクリスマスだしな。
「……まぁ、手を繋いで寝るくらいなら、今の俺でもできるかな…」
「シュウさん。……はい、ありがとうございます…」
「何でお礼を言うんだよ…」
「なんとなくです」
「……なんだそりゃ」
そう言いながらも、俺はシリカのベットの方に手を差し出し、シリカが俺の手を握る。
シリカの手は温かく、この手が現実の手で無くとも、とても安心できた。
そのまま俺はシリカと手を繋ぎながら、疲れていたのか深い眠りに落ちた。
===================
次の日、昼にアルゴから『キリ坊はもう大丈夫だと思うヨ』というメッセージが届き、俺とシリカは二人でホッとして、その日の夜ご飯は色々な事に対してのお祝いで、かなり豪華にした。
暫く食べてたら、アルゴがご飯に食べに来たことには驚いた。
どうやら、シリカがアルゴに何か伝える為に呼んだらしい。
…何を話してたんだろうな。
アルゴの耳元で話しているから、何を話してるのかまったく分からなかった。
そして俺たちは、そのまま情報交換や騒いだりして、SAOの二回目のクリスマスを過ごした。
後書き
タイトルは、シュウが…っと言う意味です。
次回から新しい章に入ります。
これからはキリトたちと、よく絡んでいくので宜しくお願いします。
感想や間違いの指摘、待ってます。
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