インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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妹(?)が周りをゴミ扱いして困ってます
―――祐人side
目を覚ますと、そこは真っ白な天井だった。
「かざみん~~!!」
すると、いきなり抱きつかれた。
「あ、本音か」
「『あ、本音か』じゃないよ! かざみんは今の今まで死にそうだったんだよ!!」
あ~。結局俺は死ななかったってわけね。
「そんなに焦らなくてもいいと思うぞ」
「焦るよ! そんなの焦るに決まってるじゃん!」
怒る本音を抱き寄せて頭を撫でる。
そして幸せそうに目を細める姿は動物を連想させる。……まぁ、人間も動物類に入るけど。
「祐人!」
いきなりドアが開いて一夏を先頭にクラスメイトたちがゾロゾロと入ってくる。
「何だよお前ら。人がちょっと死にそうになったぐらいで大袈裟だって」
「いやいやいや、死にそうになったから大袈裟になっているんだって!」
一夏の言葉に周りのクラスメイトが同時に首を縦に振る。
「というか正直やばかったんだからな。この病院に来たときには危険な状態だったんだから。たまたまどの内臓もダメージがなかったのが幸いだったけど」
「さすがは俺だな」
「ドヤ顔するな」
いいじゃん。誰も褒めてくれないんだし。
「というかいいのかお前ら。学校行かなくて」
確か、臨海学校が終わってすぐは休みだったはずだ。
「……いや、その。もう夏休みなんだけど………」
と、一夏が言った。……え? 夏休み?
「ちなみに、夏休み最初の一週間は終わったよ~」
………ということは、ほとんど一ヵ月は寝ていたのか、俺は……。
「俺の貴重な時間が~!!!」
しかも残り三週間って、三週間って……って待てよ。
「俺、補習決定じゃん………」
「―――それについては説明がある」
凛々しい声が聞こえたので全員が直立不動の体制を取る。
「悪いが専用機持ち以外は今すぐここから出てもらおうか」
「「「は、はい!」」」
本音も含めてすぐに部屋から出ていった。そして後から専用機持ちが入ってくる。どうやら個室とはいえ大してデカくなかったから入りきらなかったんだろう。もちろん、副担任としてか山田先生も入ってくる。
「……で、それはどういう意味ですか? 俺はテストを受けれなかったんでしょ?」
「ああ。そのことについてだが、今回の福音事件の後のことで免除。ついでに宿題はできなくても一週間の期間を儲けよう。ほれ、これが宿題だ」
「あ、ありがとうございます」
俺はもらってすぐに近くにあった鞄から筆箱を出して宿題に取り掛かる。
「それで、だな。言いにくいことなんだが、専用機を知らないか?」
………意味がわからなかった。
「えっと、どういう意味ですか?」
「ここだけの話なんだが、実は織斑たちの専用機の場所がわからなくなったんだ。そのことについてはまだ連絡していない。色々と面倒なことになるしな」
そのほかにも立場が悪くなるというのもあるだろう。
「あ~でも、俺は知りま―――」
『―――ゴミムシたちの専用機なら知っているわよ』
いきなり上の方から声が聞こえた。うん。これは―――シヴァだな。
シヴァはさっそうと現れ、俺の膝の上に乗る。
「し、シヴァ! 生きていたのか!」
『ゴミ如きが気安く名前を呼ばないで。汚れるわ』
一夏が心配していたみたいなのに、いきなりゴミ扱いしていた。
「あ、あなた、一体どこから―――」
『それは別にあなたに言う必要はないでしょう。勘違いのゴミ女』
そしてオルコットの質問も両断していた。
『それとも何かしら? ゴミの分際で私について教えて欲しいとでも?』
「シヴァ、言葉が過ぎるぞ」
『はぁーい』
どうして俺の言うことは素直に聞くのにこうも周りをゴミ扱いするだろうか。確かにISですらシヴァにとっては取るに足らない相手だが、それでもダメだろ。
「風宮、どうやら知り合いのようだがそいつは誰だ?」
「超能力を持った妹です」
『どうも、妹のシヴァです』
ペコリと頭を下げるとすぐに俺に飛びついて抱きついた。
「え? 祐人って妹いたのか?」
『黙れゴミ。お前に発言権を与えた記憶はないわ』
「ほう。さっきから嫁をゴミ扱いするとはいい度胸だな」
シヴァとボーデヴィッヒが一触即発のムードを醸し出す。
「喧嘩なら後にしろ。それとシヴァと言ったな。こいつらのISを知っているとはどういうことだ?」
『そのままの意味よ。ほら、持ってるもの』
そう言ってポケットの中から五種類のアクセサリー(その内一つは防具)を出す。
『そこのゴミが勝手にどこかに行った時に見つけたんだけどね。これで政府に怒られないで済んだでしょ』
「あ、ああ」
『だったらさっさと出て行ってよ。私はお兄ちゃんとセ○○スをするんだから』
そして超弩級の爆弾を落とした。
それを聞いた初心な女たち―――さらには教師二人も顔を引き攣らせている。
「シヴァ、こいつらは初心なんだからもっとマシな冗談を言え」
『じゃあ、子○り?』
「いや、むしろハードル上がってる」
それ見ろ、山田先生だって顔を赤くした。
『あ、違った。お兄ちゃんの一方的な調教か』
―――プチン
今ので女たちの我慢が切れたようだ。
「か、風宮! 兄妹でだとハレンチだぞ!」
「そ、そうですわ! しかも調教だなんていけませんわ!」
「ちゃんと相手を見つけないと!」
「………羨ましい」
いや、ボーデヴィッヒ。羨ましいっておかしいだろ。
「悪いなシヴァ。それよりも重要な話がある」
織斑先生は真面目に切り出した。
『……そうみたいね。じゃあ私はこれで』
どうやらそんな空気を感じたみたいでシヴァはその場から消える。
「悪いがお前たちも出ろ」
その一言で一夏と山田先生が率先してみんなを外に出した。
そして全員が外に出たのを確認して話を始める。
「風宮、正直に答えろ。実際のところ、お前は福音を止めた後は襲われるのは予想していたか?」
「ええ。まさかVTシステムも出してくるとは思いませんでしたが」
「ではどうやって生き残ったんだ?」
「まぁ、ディアンルグが手に入れた情報を死ぬ前に整理して本音辺りに渡そうと思っていたんですけど、その時にIS学園へ向かうはずのバスが突然進路を変えたと聞いたので、少しばかり痛い目を見てもらおうと思っていました」
そう言うと、俺を睨むように見ていた。
「どうしました?」
「……いや、どうもどこか束に似ていると―――」
「死にます?」
「………いや、すまなかった」
どうやら俺相手に言うのが間違いだと気づいてすぐに俺に謝る織斑先生は新鮮だった。
それ以降、俺を相手に織斑先生の口から『篠ノ之束』という単語が出てこなくなった。
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