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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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今、時は回る

任務報告
銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の鎮圧には成功。しかしその後の謎の襲撃により男性操縦者――風宮祐人がMIA(戦闘中行動不明)と認定された。妨害した相手は不明であり、風宮祐人の行方は周辺地域を捜索中だった山田真耶、セシリア・オルコット、ラウラ・ボーデヴィッヒの証言により、近くで爆発があったことから絶望的と推測されている。





 ■■■





 翌日。風宮祐人が行方不明であることを告げると、千冬の予想通り悲しむ者や倒れ込む者がいた。
 
 ―――だからだろう

 祐人の荷物は持って帰って分けることになり、一部の女子が率先して運んでいた。そしてバスの中ではほとんどが騒ぐ空気ではなかった。特に織斑一夏は絶望していた。

 ―――だからなのだろう

 誰もが疑いもせず、ほとんどがショックで眠ってしまっていた。

「……山田先生、大丈夫か?」
「織斑先生こそ眠ったらどうですか? 昨日はまともに寝ていないでしょう?」
「………そうだな。少し眠るとしよう」

「………やはり、あそこはわたくしも残るべきだったのでしょうか……?」
「それはない。お前は操縦者を抱えていたんだ。お前の判断は正しかったぞ」
「ですが……」
「ならばお前はどうやってISを使っていない彼女を抱えたまま戦闘をするつもりだ? いくら機動力があるとはいえ限界がくるぞ。……とにかく今は寝ていろ」
「………わかりました。お言葉に甘えさせてもらいます」

(風宮君って結構優しいところがあったけど、僕が男子として入学したときもすぐに見破ったし、案外侮れなかったな……。しかも、このショックの受けようだとかなり慕われていたみたいだし……。特に布仏さんなんていつも一緒にいたよね……。ああ、ダメだ。もう寝よ)

 それぞれが寝てしまい、それがどうなるかなど想像出来ていなかった。

『教師、生徒ともに全員寝静まった模様。これより作戦を実行する』
『了解。幸運を祈る』

 彼ら―――1年1組にとっての臨海学校はまだ終わっておらず、悪夢と化していた。






 ■■■






「あ~あ、もう使えなくなっちゃった」

 篠ノ之束はVTシステムを使ったコアを見てそう言った。

「あのチビのに仕込んでいた時は辛うじて無事だったんだから、仕方ないか……」

 そう言って使い物にならなくなったコアを潰す。

「……それにしても、あの落とされた無人機のコア、どこに行っちゃったんだろ……?」

 ふと、思い出したかのように呟く束。そう、あの無人機に仕組んでいた従来と全く同じコアは束の管理するモニターから消えていたのだ。
 量産は止めろと千冬から言われていたのだが、それを無視しての今回の騒動。よく探すと、福音に使われていたコアまでもが消えていた。

「まさか、制御下を離れているなんて―――ないね! この天才・束さんを超えるなんてまず無理だし!」

 そう言ってその場か消える彼女は、知らなかった。自分を超える存在がいるとは。





 ■■■






 ………ここは、どこだ? あ、海の中か。

 ―――はい。あなた様が落とされてもうすぐで丸一日が経過いたします。

 ………そうか。俺も、死んだな。

 ―――ええ。辛うじて生きている状態なので……。

 そうか。だが―――やはりあの篠ノ之束を殺せなかったのが悔やまれるな。

 ―――いっそのこと、化けて出ます?

 肉体を用意しな!

 ―――まぁ、可能ですが、生殖行為はできませんよ?

 え? マジで? というかさすがに期待していないって。………誰も俺を好く奴なんて居ないんだし。というかいたらスゲェな。断るけど。

 ―――それは今後を見据えてですか?

 あ? 当たり前だろ。俺は特異点も同じなんだし、俺のせいで俺の子供まで迷惑がかかる。そんなのはもう嫌だからな。

 ―――そうですか。それで、記憶はどこまで戻っているんです?

 俺だけが生き残ったあそこで、ずっとISの可能性と宇宙に出るための小型可変式ロボットを開発していた時は、な。それ以前は覚えていない。

 ―――………

 だけど、もう終わりだろ。さすがに―――

 ―――耳に入れておきたいことがあります。

 ? なんだ?

 どこからともなく聞こえた声に受け答えしていると、聞きたくもなかったことが聞こえた。 
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