ソードアート・オンライン stylish・story
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第二話 初友人
シュウがSAOにインしてから数日後、毎日モンスターとの戦闘で自分と武器のレベルはそこそこ上がっていた。少なくとも第一層のボスは倒せるくらいになっただろう。
そしてレベルが15に達した時に新しい武器が解放されたのか、アイテム欄にはとある武器が入っていた。それ見たシュウはある事を頭に浮べていた。
「(こいつらは俺のレベルが一定に達すると使えるって事なのか?)それにしてもこの世界じゃ俊敏力や筋力も数値化されているからな・・・それは参ったがレベルが上がるとそれなりに上がるみてぇだし焦る事はねぇな」
初めは大剣リベリオンを片手で扱うのには一苦労したみたいだったが今では余裕で振る事が出来るようになっていた。しかし此処に来て、まだアスナと連絡が付いていなかった。はしゃぎ過ぎたせいなのか頭の中からすっかり消えていた。
「それにしてもアスナ。大丈夫だよな?考えていても仕方ねえ、とりあえずクエストで経験値と金を手に入れるか!!」
シュウはクエストが受注できる所に行くと少し表情の暗い黒髪の剣士が立っていた。歳はシュウより年下・・・というよりアスナと同年代に見えた。シュウは此処に来て仲間を見つけられる事が出来なかった。そこでこれを機会に仲間を作ろうと決心し、その黒剣士に話しかけた。
「なあ、お前もクエスト受けに来たのか?」
「あ、はい」
「丁度良いぜ!なら一緒にやらねえか?二人でやった方が効率が良いってもんだぜ?俺も少しは腕に自身があっから難しいクエスト受けても良いぜ?」
「俺も一緒にやってれる人を探してたんです。お願いできますか?」
黒剣士はシュウが年上と言うのが分かったのか敬語で話すがシュウはそれをやめるように促す。
「おいおい、別に敬語じゃなくて良いぜ?そっちの方が親しみやすいってもんだ!!俺は『シュウ』!よろしくな!」
シュウが握手しようと右手を伸ばす。それを見た黒剣士は少し笑顔になるとそれに答える。
「俺は『キリト』。よろしくな!シュウ」
「おう!んじゃ!早速クエストに赴くとしようぜ?」
「ああ!!」黒剣士・・・キリトとシュウはクエストの受注が終わり、フィールドに出た。
そして今回のターゲット『森の主』の討伐に向かって町の外れにある。【深き森】に足を進めた。
「キリトって使ってるのはその長剣だけか?」
「ああ。シュウはその大剣か?って言うかその剣・・・どこかで見たことがあるような気がするんだけど?」
「細かい事を気にしてっと・・・」
シュウが足を止め、リベリオンを引き抜くとキリトの後ろに迫って来ていた青いイノシシのようなモンスター『フレンジーボア』を一刀両断した。それにはキリトも気付かなかったようだった。
「っ!?」
「足元を掬われっぞ?キリト」
「あ、ありがとう。助かったよ、シュウ」
消えた事を確認するとシュウはリベリオンを背中に担ぎなおす。
フレンジーボアは下級モンスターと言えどその突進の威力は舌を巻くほどだった。当たっていたらかなりのHPを持って行かれただろう。
「気にすんなよ。んで、話変えっけど、森の主ってのはさっき倒した『フレンジーボア』の親玉みたいだな。何でも部下がやれると出てくるみたいだな。しばらくは雑魚狩りだな」
「ああ!さっきは助けられたから今度は俺がシュウを助けてやらないとな」
「おっ!言ってくれるじゃねぇか。ならキリトの腕前、みせてもらうか!!」
「プッ・・・」「くっ・・・」
「「あはははは!!!」」
子供染みたやり取りに二人はやがて笑い声を張り上げる。
ここでキリトが何かに気付いたのか声を戻す。
「そう言えば、俺ってこっちの世界に来て初めて笑ったな」
「ん?そうなのか?」
シュウとキリトは一旦倒木の上に腰を下ろし、水で喉を潤す。そしてキリトが自分の事を話始める。
「ああ。いきなりSAOに閉じ込められて、ゲームオーバーになると死んでしまうって事に縛られて、笑う事を忘れてたぜ」
「そりゃそうだ。『娯楽』がいきなり『恐怖』に変わったんだ。ならない方がおかしいってもんだぜ?キリト」
「でもシュウってそんな風には見えないよな。寧ろこっちまで楽しくなってくるぜ」
「俺だって怖いモンは怖いさ。でもな・・・現実から目を背けたまんまじゃあ、立ち向かう強さなんか出てきやしねぇよ。受け入れる事も立派な強さだと思うぜ?キリト」
シュウの力説染みた言葉にキリトは黙って聞くことしか出来なかった。
「ははっ。少し臭かったか・・・悪ぃな、キリト。説教みたいな事を言っちまってよ」
「いや。何かシュウのお陰で心の悩みが少し取れた気がするぜ」「そう言ってくれると嬉しいぜ!んじゃ、ちゃっちゃと終わらせようぜ?」
「ああ!!」
そう言うと二人はフレンジーボアを狩り始めた。
~~~~~~~~~~~~
数十分後。かなりの数のフレンジーボアを討伐したが主は出てこない。
「出てこないな?シュウ」
「ああ・・・かなり討伐したと思うんだが・・・っ!!」
シュウは何かに気付き表情を強張らせ、背中のリベリオンに右手をかける。
「シュウ?どうした?」
「どうやら・・・親玉のご登場みたいぜ?キリト!!」
シュウの言葉と共に草の茂みの中からそれが飛び出してきた。フレンジーボアだが、体格と牙の大きさは普段のフレンジーボアとは比べ物にならなかった。あの牙の突進を喰らえば致命傷は間違いないだろう。
「こいつが・・・主!!シュウ。どうする?」
「一つだけ言える事はあの牙を喰らったら不味いって事くらいだな。まずは俺が相手の攻撃パターン読む、キリトは一旦下がっておいてくれ」
「分かった。無理するなよ?」
そう言うとキリトは一旦下がった。それを確認したシュウは主を挑発し始める。
「Come on!!(来いよ!!)」
シュウの挑発に煽られたかのように主はシュウに向かって突進を放つ。シュウはそれを跳び箱の要領でまたごす。
「ハッハ!!」
そして直ぐに主を見るとUターンして戻ってきた。それも同様に避ける。
(どうやらこいつは急に曲がる事が出来るのか・・・しかし攻撃パターンは普通のフレンジーボアと変わらないな。なら!!)
シュウはキリトを呼びつけ作戦の内容を伝える。そして再び挑発をかける。
「Hey!C’mon,wimp!!(来いよ!ノロマ!!)」
また挑発された事にキレたのか再びシュウに突進してくる。シュウはリベリオンを消すと三つの棍が一つの輪で繋がった独特のヌンチャクを持った。
これこそ、シュウの新しい武器・・・【ケルベロス】だ。攻撃力はリベリオンより劣るが、スピードはずば抜けていた。
シュウはその場で高くジャンプし、ケルベロスの輪の部分を持ち、体を回転させて威力をつける。そしてその着地点に丁度主が通ると・・・
「Chew on this!!(これでも喰らえ)!!」
勢いを付けたケルベロスを頭部に直撃させる。脳天に直撃を受けた主は牙が容易く折れ、地面に陥没した。
このスキルは【ウィンドミル】と呼ばれ、回転を付けた勢いを相手にぶつけるシンプルなスキルだが、威力はお墨付きだ。
それを見たシュウはリベリオンに持ち替え、再び高く飛び上がるが今回はキリトも飛んでいた。
「喰らえぇぇぇ!!!」
「Be gone!!!(失せろ)!!!」
キリトは長剣を突き刺し、シュウは落下の勢いを乗せたジャンプ斬りを頭に直撃させた。主は悲鳴を上げた後、ガラスが割れるように居なくなった。
「やったな!キリト!」
「ああ!クエスト達成だぜ!!」
シュウとキリトはパンと手と手を弾きあった。
そしてクエストの報告を終えると二人に報酬が行き届いた。二人でやったので山分けらしいがこのクエストで二人の絆は強まっただろう。
「キリト。俺のアドレスを渡しておくぜ。何かあったら俺を呼んでくれ!!」
「良いのか?シュウ」
「当ったり前だ!俺とお前はもうダチ・・・そうだろう?」
「ああ!そうだな!俺も渡しておくよ。またよろしくな?シュウ」
「おう!じゃあこれで一旦解散だな」
こうしてシュウは一人の友人を作り、充実した日を過ごす事が出来たのだった。
後書き
シュウの第二の武器は【ケルベロス】にしました。後々増やしていくつもりですので、ご期待下さい!!
感想と指摘。よろしくお願いします!!
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