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オスプレイ

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第一章

                オスプレイ
 近頃オスプレイという垂直離着陸タイプの航空機が話題になっている、何処かの基地ではまさに毎日だった。
 この航空機を基地に入れるな、使うなと活動家達が大声で主張している。その主張を目にしてだった。
 海上自衛隊の三等海佐である東大作面長できりっとした顔立ちで眉が逞しく黒髪を短く刈った長身の彼は言った。
「いいな、オスプレイ」
「そうですよね」
 部下の三等海尉の三好潤は真面目な顔で答えた、東よりやや小柄で大きな垂れ目で眉も垂れている。四角い顔で髪の毛は真ん中で分けている。
「うちにも欲しいですね」
「海自にも」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「用いたいな」
「絶対に役に立ちますね」
「ああ、ああした航空機があるとな」
「どれだけ便利か」
「どれだけ活躍してくれるか」
「だからな」 
 期待出来るからだというのだ。
「うちもな」
「採用したいですね」
「上の方が頷いてくれたらな」
 そうであるならというのだ。
「いいな」
「そうですよね」
「どうもな」 
 東は考える顔で話した。
「マスコミは色々言うけれどな」
「配備反対ですね」
「事故とか何とかな」
「構造が複雑ですからね」
「だからな」
 その為にというのだ。
「航空機とヘリの両方の機能持っているからな」
「複雑になるのも当然ですね」
「しかしな」
「それでもですね」
「ああ、あれはいいぞ」
 東は心から言った。
「航空機みたいな速さで飛べてな」
「ヘリみたいな動きが出来ます」
「その分色々な目的に使える」
「移動にも輸送にも偵察にも」
「攻撃にもな」
「ですね、是非欲しいです」
 三好も同じ意見だった。
「うちでも」
「もっと言えば自体でもな」
「そうですよね」 
 二人で熱く語った、そうしてだった。
 他の自衛官の多くもオスプレイは高く評価し自衛隊でも導入され配備されることを望んでいた。その意見を聞いてだった。
 防衛省の大臣や次官といったクラスの者達もオスプレイについて調べた、そのうえで会議の場で話した。
「これはいいですね」
「そうですね」
「素晴らしい性能です」
「様々な目的にも運用出来ます」
「それならですね」
「オスプレイいいですね」
「導入を検討すべきですね」
「それも前向きに」
 こう話した、だが。
 反対派の元新聞記者で今は大学教授の前多哲緒皺だらけの顔に白髪の眼鏡をかけた彼は怒った顔で言った。
「あんなもの導入させるな」
「どうしてですか?」
「周辺国を刺激してだ」
 そうしてとだ、オスプレイ反対デモの時に現場に来て尋ねた青年に尋ねた。
「しかも整備が難しい」
「整備はちゃんと出来ますよ、自衛隊なら」
 青年は前多に冷めた表情で答えた。
「難しいことは承知ですし」
「では周辺国はどうだ」
「かえって抑止力になりますよ」
 刺激するどころかというのだ。
 
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