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戦場から家族になった猫

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第一章

                戦場から家族になった猫
 この時アメリカ軍のトレイシー=ヂュカキス二等軍曹黒い髪と目でやや細面で長身の彼女は悩んでいた、それで同じ部隊に所属している同期に語っていた。
「折角出会ったのに」
「あの子とよね」
「そう、ウォルターとね」
 こう言うのだった。
「アメリカに連れて帰られるか」
「それが問題ね」
「ここはアメリカじゃないから」
 苦い顔で話した。
「中東だからね」
「遠いわね、アメリカから」
「アメリカでもね」
 自分達の国でもというのだ。
「広くて州によってね」
「色々と違いがあるわね」
「だからね」
 その為にというのだ。
「手続きとか厄介よ」
「それが国になるとね」
「もっとね」
 それがというのだ。
「ややこしくなるから」
「あの子を連れて帰って」
「家族に迎えられるか」
「難しいわね」
「ここは今は戦場じゃないけれど」 
 それでもというのだ。
「前はそうでね」
「またそうなるかね」
「わからないから」
 そうした地域だからだというのだ。
「本当にね」
「あの子もどうなるか」
「わかったものじゃないから」
 それでというのだ。
「私もね」
「心配よね」
「ええ」
 そうだというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「どうにか出来ないか」
「生きものをアメリカまで送ってくれる組織があったら」
 ここでだ、同期はこう言った。
「若しかしたらね」
「ウォルターをなのね」
「送ってくれるかしら」
「だったら」
 ヂュカキスはその話を聞いて言った。
「そうした団体探してみるわ」
「ネットを使ったらね」
「すぐに見付かるわね」
「今はね。それじゃあ」
「ええ、すぐにね」
「探してね」
「そうするわ」
 同期の言葉に頷いてだった。
 実際にインターネットで検索してみた、すると実際にそうした団体が見付かって連絡をした、すりとこう言われた。
「お任せ下さい」
「送ってくれますか」
「そちらにもスタッフがいますので」
 それでというのだ。
「基地にです」
「その人が来てくれますか」
「はい」
 そうだというのだ。
「スタッフに連絡を入れます」
「それですぐに来てくれますね」
「そうします」
 こうヂュカキスに言ってだった。
 実際にすぐにそのスタッフが来た、二人いてだった。
「ロバート=ミセリです」
「デレク=カートライトです」
 神と眼鏡の男性に髪の毛が前からなくなっている白髪の青い目の大柄な男性だった。その二人がヂュカキスに基地で名乗った。 
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