悪夢の山火事を乗り越えて
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第二章
「ニャア」
「間違いないです」
その猫を見てだ、彼は団体のスタッフの人に話した。
「キャロットケーキです」
「貴方の家族ですね」
「はい」
紛れもなくというのだ。
「この子は」
「それは何よりです、保護活動中にです」
「火事の時の」
「発見しまして、足は火傷を負っていましたが」
それでもというのだ。
「命に別状はなく」
「治療をしてくれましたか」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「GPSがありましたので」
「私が家族だとわかったのですね」
「そうです、それでお家に連れて帰りますね」
「勿論です」
一も二もない返事だった、そしてだった。
スティーブンは娘のジェーンにスマートフォンで連絡をすると母親と一緒に泣いて喜んだ、そして家に帰った彼を抱き締めたのだった。
その後でだ、スティーブンは家族に話した。
「その団体はこの火事で八百匹もだよ」
「ペットを助けてるのね」
「そうなのね」
「そうだよ、助けるには条件を飲めとかいう連邦政府でも」
それでもというのだ。
「そうしてくれる団体もあるんだ」
「そう思うと捨てたものじゃないわね」
「まだアメリカもね」
「全くだよ、八百もの命を救ってくれたんだ」
そうしたからだというのだ。
「素晴らしい団体だよ」
「全くよね」
「キャロットケーキも助けてくれたし」
「嬉しいよ、そうした心ある人達に感謝して」
「ええ、これからね」
「私達も頑張りましょう」
「火事で全部なくなったけれどキャロットケーキも無事で」
そうであってというのだ。
「皆いてそうした心ある人達もいるんだ」
「それならね」
「頑張らないとね」
「皆で一からでもそうしよう」
スティーブンは家族に言った、語るその目は輝いていた。妻も娘もそれは同じだった。家族が戻ってきてそうなったのだった。
悪夢の山火事を乗り越えて 完
2025・2・17
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