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コンビニの前で

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第一章

                コンビニの前で
 タイのイサーン地方コラートにも日本のコンビニエンスストアのセブンイレブンは進出している、地元出身のチャン=スワチャッフ=アッチャーン一六五位の背で痩せて大きな黒目がちの目と細面を持つ黒い短い奇麗な髪を持つ青年はこの店で働いているが。
 店長にだ、こう言われた。
「今日もな」
「はい、ムー=デーンにですね」 
 チャンは店内で店長に応えた。
「ご飯あげて」
「今夜も冷えるからな」
「マットを出して」
「毛布をかけてやろうな」
「そうします」
「あと少しでな」 
 こうもだ、店長は言った。
「引き取ってくれる人が来てくれるし」
「それまではですね」
「うちでな」
「面倒を見ますね」
「そうしような」 
 こう言ってだ、店長もだった。
 チャンと一緒に店の前に出てそこにいる茶色の垂れた耳の雌の中型犬、じっとそこから動かない彼女を見て言った。
「クゥン」
「いい娘だよな」
「はい、こうしてですからね」
 チャンはご飯をあげてから店長に応えた。
「ずっと待ってるんですから」
「飼い主さんをな」
「ホームレスで夜はずっとここで寝てましたね」
「この娘と一緒にな」
「四年も」
「けれどな」
 店長は悲しい顔で述べた。 
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