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お客さんと店員さんが入れ替わった

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第二章

「思いも寄らぬですね」
「そうですよね」
「いや、これもです」
 驚いた顔でさらに言った。
「縁ですね」
「全くですね」
 斎藤は笑って応えた。
「スーパーじゃ俺がお客さんで」
「こっちじゃ僕がですね」
「そうですね、しかしです」
「しかし?」
「働いてますと」
 それならというのだ。
「こうしたことはありますね」
「そうですね」
 遠藤も確かにと頷いた。
「言われてみると」
「はい、それで何をお探しでしょうか」
「パソコンのマウスですが」
「ああ、それですか」
「何処にありますか?」
「こっちです」
 斎藤は店員として真面目に応対した、そして彼をマウスがあるコーナーに案内した。そうしてだった。
 家族もそれぞれ買いたいものを買って家に帰った、そして遠藤は次の日もスーパーで働いたのだが。
 夜に斎藤が来てだ、こう言われた。
「昨日はどうも」
「こちらこそです」
「それでまたです」
「はい、来店してですね」
「何か買って下さい」
「そうさせてもらいます」
「こっちも買うんで」
 こう話してだった。
 斎藤はこの日も特価のものを買って帰った、そうして遠藤はまた彼が働いているホームセンターに行くのだった。


お客さんと店員さんが入れ替わって   完


                   2025・2・16 
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