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トイレ掃除

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第一章

               トイレ掃除
 日本ではどの学校でも生徒が学校のあちこちを掃除する、それは八条学園でも同じでトイレも掃除するが。
 ジャマイカから日本に来ているアンジュ=ミラーアフリカ系の小柄で縮れた黒髪をショートにしている彼女はトイレ掃除の後で言った。
「いやあ、学校を生徒がお掃除するのは」
「日本位みたいね」
「ジャマイカに帰って言ったらね」
 クラスメイトで一緒にトイレ掃除をした都奏黒髪をロングにし前髪を揃えている楚々とした顔立ちで背が高く胸が大きな彼女に話した、アンジェラは黒いセーラー服で奏は紺色のブレザーとグレーのミニスカート、赤いネクタイと白いブラウスという恰好だ。
「何処もよ」
「学校では生徒さんがお掃除してないのね」
「ましてやね」 
 奏にさらに言った。
「トイレ掃除なんてね」
「しないのね」
「そうよ」
「日本だけね」
「ええ、私はずっとね」
 アンジェラは今度は自分のことを話した。
「小学校から日本でね」
「一年の頃からよね」
「そうだからね」
「それが当然よね」
「けれどジャマイカに帰ったらそうで」
「他の国でもよね」
「生徒が学校をお掃除するなんて」
 それこそというのだ。
「日本だけよ」
「思えば独特ね」
「かなりね、しかもおトイレまでなんてね」
「ないのね」
「そうはね」 
 奏にこうした話をした、だが。
 アンジェラはそれを普通だと思っていた、子供の頃から高校生になった今もそうしているからだ。それでだった。
 トイレ掃除も他の場所の掃除も普通にしていてだ、ジャマイカから留学していて海外からの留学生の為の寮においてもだ。
 やはり掃除時にはトイレ掃除をして自宅生の奏に話した。
「自然になって多分ね」
「多分?」
「ジャマイカに帰ってお仕事に困っても」
 クラスで話した。 
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