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禁じられた二人

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第二章

 私達は残された日を二人で楽しんだ、二人きりの時間を過ごした。
 周りは皆私達を友達としか思っていない、けれど。 
 学校の屋上の青い空と白い雲を見ながら私はここでも彼女に言った。
「私思うの、若し私か貴女が男だったら」
「それならね」
「私達一緒になれたわよね」
「若し貴女が男の子だったら」
 そうだったら、彼女から言ってきた。
「私を連れ出してくれた?」
「そうしないではいられなかったわ」
 彼女の方を見て答えた。
「そうだったら」
「私も。私が男の子だったら」
 その場合はだった。
「私は家を出てたわ」
「それで私と一緒に」
「貴女がいてくれたら」
 私の顔、そして目を見ながら言う。今もとても辛そうな悲しい顔で。
「それでいいから」
「ねえ、神様って凄く残酷よね」
 青い空は見えなくなっていた、白い雲も。
「私も貴女も女の子にするなんて」
「そして愛し合う様にするなんて」
 最初はただの友達同士、入学したその時に会っただけの二人だった。けれど。
 二人一緒にいるうちに変わった、私達は互いを大切にしていって。
 愛し合う様になった、今では離れてはとても生きていられない。
 けれどもうすぐ離れなくてはならない、その辛さを噛み締めながらだった。
 私達は青い綺麗な空の下でも涙を流しながら話をした。
「こんな残酷な仕打ちをするなんて」
「どうしたらいいのよ」
「ねえ、若しもね」
 また若しもだった。私は青い空、見ていないけれどそちらを見ながら言った。
「私達が生まれ変わって」
「また一緒に会えたら」
「今度は私か貴女のどちらが男に生まれましょう」
「そうね、今度こそは」
「けれど今は」
 そう、今はだった。
「別れましょう」
「もうすぐ」
「愛し合うことは止めて」
「それでね」
「お友達に戻りましょう」
 私の方から、胸が張り裂けそうになって告げた。
「貴女の十八の誕生日に」
「私があの人のところに行く時に」
「その時は泣かないで」
 今みたいに、言葉の外にこの言葉も加えた。
「笑顔でいてね」
「そしてこれからも」
「そうよ、あの人にはいつも笑顔を向けていてね」
「わかってるわ、私はもう泣ないわ」
 涙を流しながらも私に答えてくれた。
「この日で最後にするから」
「ねえ、前の日にね」 
 この娘が十八になるその日の前の日にだった。
「湖に出ない?」
「湖。ボートね」
「そう、いつも一緒に乗っていたボートにね」
 私はこう彼女に話した。
「最後に乗りましょう」
「それが最後の思い出ね」
「その時は泣かないでいましょう」
「笑って」
「それで最後にしましょう」
「それではね」 
 二人で話して決めた、そうしてだった。
 私達はその最後の日の夕方湖に一緒に出てボートに乗った。私はボートを漕ぎながらその上で彼女に言った。 
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