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八条学園騒動記

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第七百八十六話 海賊の食事その五

「ライムって酸性が強いから」
「ああ、凄く酸っぱいね」
 トムもライムの酸性について応えた。
「それだけ酸性が強いってことで」
「歯に悪いのよ」
「お口の中は中性がいいんだよね」
「それであんまりにも酸味が強いから」 
 ビタミンは多いがだ。
「虫歯になりやすいのよ」
「それが問題だね」
「まして当時の船はお水が貴重で」
 大海原の中にあるのだ、人間は海水を飲むと喉が渇き飲み続けねばならなくなりどうにもならなくなるのだ。
「飲むだけで手が一杯で」
「歯磨きに使うとか」
「考えられなかったから」 
 そうであるからだというのだ。
「もう歯はね」
「悪くなったね」
「もう虫歯になるなんて」
 それこそというのだ。
「普通だったのよ」
「難儀なことだね」
「けれどね」
 虫歯になろうともというのだ。
「壊血病になるよりは」
「ましだね」
「だからね」
 それでというのだ。
「そこはね」
「我慢してたんだね」
「虫歯のことはね」
「壊血病になるよりはいい」
「虫歯は痛いけれど」
 そして睡眠や集中に支障をきたすことになる。
「死なないから」
「壊血病になるよりましだね」
「だから」
 それでというのだ。
「イギリス海軍ではね」
「ライムを搾って」
「そのお汁をラム酒に入れて飲んでたのよ」
「それで壊血病を防いでいたんだね」
「そうなのよ」
 こうトムに話した。
「今は普通に何でも食べるけれど」
「船に乗っていても」
「海賊だってね」
 宇宙海賊達もというのだ。
「そうしていたけれど」
「当時はライムだね」
「そのお汁を食べていたのよ」
「成程ね」
「確かね」
 ここでスターリングが言ってきた。
「その頃のアメリカ人がそれでイギリス兵を馬鹿にしていたんだ」
「イギリス海軍の?」
「独立戦争や米英戦争の頃はね」
 即ちイギリスと対立していた頃はというのだ。
「ライミーとかライムジューサーとか言って」
「ライム汁を入れたお酒を飲んでいたから」
「そう呼んでね」
 そうしてというのだ。
「馬鹿にしていたんだ」
「そうだったんだ」
「今は言わないけれど」
「お貴族様とか奴隷とか言うね」
 平民が奴隷ということだ。
「そう言うけれどね」
「その頃はそう呼んでね」
「馬鹿にしていたんだね」
「そうだったんだ」
「まあライムはいいわね」
 蝉玉はこの果物を食べること自体はいいとした。
「けれど今はね」
「歯に悪いからね」
「食べたら寝る前にはね」
「歯を磨かないとね」
 トムも言った。 
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