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世界の礎

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第四話 海その十一

「これからな」
「そうされますか」
「そしてだ」
 それにというのだ。
「我々は今以上にだ」
「豊かな国になりますか」
「その前に行うこともあるが」
「次の目標は、ですか」
「恵みだ」
 それであるというのだ。
「それを手に入れる」
「そうですか」
「その恵みを手に入れると我々は間違いなくこの世界随一の国となる」
 そうなるというのだ。
「おそらく今もそうだが」
「これまで以上にそうなりますね」
「他国を隔絶したな」
 そこまでのというのだ。
「圧倒的なだ」
「力を手に入れますか」
「そこでは多くの者を養え」
 それが出来てというのだ。
「多くの富もだ」
「得られますか」
「そうなるからな」
 それ故にというのだ。
「手に入れる、いいな」
「わかりました」 
 カニは確かな声で頷いて応えた。
「それではその様に」
「ではな、ではまずは西のアラビアだ」
「アラビアですか」
「あちらを手に入れる」
 そうするというのだ。
「これからな」
「そうしてですね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「その動きに入る」
「そうしていきますか」
「アラビアの砂漠には今は進まないが」
「あの砂漠は」
 どうかとだ、コムが言ってきた。
「あまりにもです」
「人が暮らすには向いていないしな」
「何もありません」
「今はそうだな」
「今は、ですか」
「やがてあの砂漠も手に入れる」
 アラビアのその場所もというのだ。
「しかし今はだ」
「進出せず」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「半島の執念の街や村をな」
「掌握しますね」
「そうする」 
 こう言うのだった。
「いいな」
「それでは」
「次はあの半島だ」
 アラビア半島を頭の中に浮かび上がらせて言った。
「進出するぞ」
「そしてあの地域の信仰もですね」
「保証する」
「あの地域はイスラムですが」
「あの宗教は他宗教を認めている」
 このこともだ、義青は言った。
「だからいい」
「他宗教を信じるなら地獄と言っても」
「だが信仰を強制しないな」
「はい」
 コムがその通りだと答えた。
「信仰すれば何があるかを説いても」
「無理強いはしないからな」
「そのこともいいですね」
「だから問題なくだ」
「信仰は許しますね」
「信者を増やしてもいい」
 それも許すというのだ。
「神霊の世界は一つではないからな」
「実に多くあります」
「そのこともわかっているからな」
 この世界ではというのだ。
「だからだ」
「いいですね」
「そうだ、そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「アラビアも掌握していく」
「これより」
「まずは使者を送るのだ」
 帝国に入る様勧める彼等をというのだ、こう言ってだった。
 義青はアラビアについても動きはじめた、彼の仕事はまだこれからだった。


第四話   完


                    2024・11・15 
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