東京紅茶舘
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第一章
東京紅茶舘
東京のオフィス街にその店はある、イギリス調の古い感じのする喫茶店である。
紅茶が有名で多くのサラリーマンやOLが出入りしている。そしてその紅茶を楽しんでいるのだが。
ふとだ、イギリスから来たそちらの企業で働いているエドワード=ギンガム栗色の髪の毛を奇麗にセットした面長で彫のある顔にグレーの目を持つ長身痩躯の彼はその店で一口飲んでからこんなことを言った。
「これは凄いです」
「美味しいですか」
「最高です」
店を勧めてくれて一緒に飲んでいる福本愛あどけない感じの顔で肩までの長さの黒髪でその端がはねた一六〇位の背で胸の大きさがスーツの上からもわかる彼女に答えた。
「イギリスでもです」
「こんなお店はないですか」
「日本はお水がいいとは聞いていましたが」
それでもというのだ。
「そのお水と葉をです」
「紅茶のですね」
「それを合わせていて」
それでというのだ。
「まことにです」
「そこまで言われますか」
「イギリスの紅茶と日本の環境を」
その両方をというのだ。
「よくわかった」
「そうした紅茶ですか」
「現代の技術も用いた」
そうもしたというのだ。
「最高の紅茶です」
「イギリスにもに位の」
「私紅茶と喫茶店が好きで」
ギンガムはダークブランの木造の店内で二人向かい合って座っている福本に話した。
「これはというお店に入って飲んでいますが」
「それでもですか」
「どのお店よりもです」
「美味」しくて」
「驚きました、ではこれからも」
ギンガムはイギリス人らしくミルクティーを飲みつつ話した。
「このお店で」
「飲まれますか」
「そうします」
こう言って飲んでいく、そして実際にだった。
彼はこの店に仕事がある日即ち平日は毎日入る様になった、そうしてその店の紅茶を楽しんでいたが。
その中でだ、彼は社内で福本にこんなことを言った。
「あれだけの紅茶を淹れる人は誰か」
「気になりますか」
「うん、最高の紅茶だけれど」
今はコンビニで買ったペットボトルのミルクティーを飲みつつ話す。
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