小さな縁
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第二章
「白いブラウスもね」
「いいわね」
「勉強にもついていけてるし」
「偏差値も丁度だったしね」
「それであそこの宗教の教えが」
これがというのだ。
「私凄くいいと思うから」
「学校に馴染んでるのね」
「同級生でも先輩でも先生でもどんどんいい人に出会えてるし」
このこともあってというのだ。
「本当にね」
「満足しているのね」
「ええ」
母ににこりと笑って答えた。
「そうよ」
「それは何よりね」
「ええ、そういえばお家の近くにあの宗教の教会あるわね」
「一丁目の方にね」
「何気なく前を通って」
そうであってというのだ。
「あの時は何も思わなかったけれど」
「今は違うわね」
「前を通ったら」
その時はというのだ。
「何かとね」
「思うわね」
「そうなったわ」
「前を通るのも縁よ」
「そうなの」
「そう、何でもない様でね」
それでもというのだ。
「縁だったりするのよ」
「そうなのね」
「あんたはあの宗教に縁があるのよ」
そうだとだ、母は娘に笑顔で話した。
「最初からね」
「そうだったのね」
「それじゃあその縁を大事にして」
「やっていけばいいのね」
「これからもね」
「わかったわ」
凛は母の言葉に頷いた、そうしてその高校での学園生活を送っていった。大学はそのままその高校の上の同じ宗教団体の大学に進み。
そこでも宗教を学んだ、そうしているうちに強い信仰心を持つ様になり就職はその宗教の図書館の書士になったが。
「そこで知り合った人とね」
「同じ職場のね、その人が教会の跡継ぎさんで」
母に家で話した。
「それでね」
「あんたは教会に入って」
「将来はね」
「教会の奥さんね」
「そうなるわ」
「これも縁ね」
「そうね、何かね」
ここで凛はこんなことを言った。
「縁がね」
「凄いわね」
「もう何から何までね」
「そう、縁ってそうしたものよ」
母は娘に言った、目じりの皺が増えているが今も奇麗な外見だ。
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