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高校に入る前に痩せて

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第一章

                高校に入る前に痩せて
 太っていた、だからだった。
 和田亜衣は中三の三学期になるとダイエットに入った、親に食事をカロリーの低いものに切り替えてもらってだった。
 毎日走ってサーキットトレーニングや柔軟体操に励んだ、受験は学校が中高一貫なので問題なかった。
 それでダイエットに励んだが。
「またどうしたのよ」
「急にダイエットはじめて」
「いや、所謂ね」
 クラスメイト達に答えた、古典的なセーラー服を着ていてふわりとした茶色の髪の毛はセミロングで大きな切れ長の目と小さな赤い唇を持っている。背は一六〇位で太っている。
「高校デビュー目出してて」
「ダイエットしてるの」
「そうなの」
「ええ、やっぱりね」 
 亜衣は友人達にさらに話した。
「痩せてる方がいいでしょ」
「太ってるよりも」
「それよりもね」
「私部活でもね」
 部活はソフトボール部である。
「レフトだったしね」
「ああ、レフトってね」
「一番守備が求められないのよね」
「太っていて足が遅いから」
 だからだというのだ。
「そうだったしね」
「亜衣打ってね」
「肩強くて打球反応いいけれどね」
「そうだったからね」
「そのこともあって」
「ダイエットするの」
「俊足のセンターに憧れていたし」
 このこともあってというのだ。
「高校からはね」
「ダイエットして」
「高校デビューして」
「ソフトボールじゃセンターね」
「そのポジション目指すのね」
「そうするわ」
 笑顔で言ってだった。
 亜衣はダイエットに励んだ、そして高校の入学式の頃にはだ。 
 すらりとしたスタイルになった、運動はそのままで部活はソフトボール部に入ったが顧問の先生はというと。
 亜衣にだ、難しい顔で言った。
「センターじゃなくてライトだな」
「えっ、駄目ですか」
「その足じゃな」 
 痩せた彼女に言った。
「二年か三年になってレギュラーになってもだ」
「ライトですか」
「今のままだとな」
「私痩せたんですが」
「センターをやるにはな」
 それならというのだ。
「もう一つだ」
「足が、ですか」
「ああ、打線だとな」
 先生はこちらの話もした。
「三番だな」
「一番じゃないですか、実は」 
 亜衣は暗い顔で言った。
「中学の時よく六番で」
「一番に憧れていたか」
「そうでした」
「一番センターにか」
「外野好きでして」
 このポジションがというのだ。 
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