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彼は いつから私の彼氏?

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10-2

 練習の2日目。私は以前と変わらず、ステップしても踏んばりも効くので安心していた。翔琉とのことがあったので、つまらない心配をしていたのだ。

 練習が終わった後、若葉が私達3人を集めて

「コーチから 5番手6番手はどう考えるって聞かれたの ウチ 誰が上手いとか伸びるとかわかりませんって答えたんだけど・・・みんなの意見も聞こうと思ってー」

「ふ~ん 珍しいネ 若葉だったら 考えてるはずなんだけど・・・なぁ」と、花梨は、若葉の意見を探り出そうとしていた。

「ウチは技術的なこととか詳しないんやー 花梨のほうが、人をよく見てると思うんやけどー どう? 花梨は?」

「そーやなー ウチ等以外の他の2年は惰性でやってるよーなもんやなー まだ 1年の中では杉下ひなた ガッツあってヤル気もあるんちゃうかー あの子 夏休みもはよーぉ出て来て、練習終わってもひとりでジョギングしてたでー それも水澄を見習ってか、ステップしてスイング、ウサギ飛びから、又 ステップしててな けっこう きついと思うけど モクモクとやってたよ」

「そうよねー 最近 スマッシュの振りも鋭くなってきたみたい」と、私も一応 1年の中では気に掛けてはいたのだ。

「そうね 香はどう? 練習中もよく話してるじゃぁない」

「ウ~ン ウチは自分のことがいっぱいで・・・なんか 聞かれてもわからんから 見とってーって言うだけ でも 一生懸命なのは伝わってくるよ」

「若葉 ひなたとは別に もう3年も居らへんねんから どんどん1年生を鍛えて行かなあかんやろー?」

「そーなんよー コーチからも 去年はウチ等4人が伸びてきたので良かったけど、今年は1年生達を引っ張りあげなきゃーなんないから、厳しいぞーって言われてるのよ」

「そやなー 去年の響先輩みたいに ちょこちょこ3年生にも顔を出してもらわななぁー」と、私が言うと

「あかん よーわからんけどー 内緒やでー これはー あのな 燕先輩と朝咲先輩は他の学校に行くみたいよ」 花梨が声を小さくして言ってきた。

「えぇー うちの高校に進むんちゃうのーぉ」

「水澄 そんな大きい声出さんとってー 内緒や ゆうたやろー」

「うっ ごめん ほんでもー」

「あのなー 忍埜山女学園 今 運動部にチカラ入れ出してな 優秀な選手に声掛けてるみたい 卓球は中学もな たぶん 学費とか、その他の遠征費とかもあるやん 援助するみたいよ ほらー 響先輩と燕先輩って あんまり うまく行ってへんやったやんかー それでなー 違う学校でと思ってるんちゃうかー 監督、コーチなんかも有名な人呼んでるみたいよ」

「はぁー そーなんやー でも うちの学校は名門やでー」

「そんなん関係無い 自分が優勝したらええんやー」

「そやけどなー なんで 花梨はそんなん知ってるん?」

「・・・ウチも・・・声掛けられた 全中が終わった後になー 来年からでも ぜひ来てくださいって」

「はっ はぁー 花梨・・・」

「大丈夫や そんな気無い! ウチは この4人の仲間やからー 来年は連覇する そやから ひなたの指導係は水澄なっ!」 

「えっ なんでそーなるの!」

「ええヤン 同じサウスポーやし あの子 前にチラッっと聞いたんやけどー お兄さんは、少し年が離れてるんやけど京大でアメフトやってるんやってー きっと 逞しくていい男やでー」

「それが なんの関係があるん?」

「だってさー 頭良くってスポーツ出来るんやったら、就職もええとこ行くでー 一流の だからー ひなたの家に遊びに行ってーぇ おちかづきすればぁー」

「あほかぁー そんなんやったら 花梨がすればええヤン だいたいやなー 発想が不純やねー」

「あかんでー 水澄には 彼氏おるんやからー 大会の時 皆も見たやろー」

「香 いらんこと言わんとってー 普通の友達やーぁ」

「へっ 普通の友達なんやのにー あんな風に嬉しそうに駆け寄って行くかしらー」と、若葉も見ていたのかぁー

 そして、帰り道には香が私にスマホを見せて来て

「水澄 見てぇー 水澄に言われた通りにライン送ったの」と、 (この前はごめんなさい でも 一真さんのことは好きです ♡) (僕の方こそ すまなかった 嫌な思いさせて 今度また遊びに行こうね ♡) (ううん ちょっと びっくりしただけ また 遊びに連れてってね 楽しみ ♡)

「香 良かったけどね 仲が切れなくてー でも、これじゃーぁ 今度 ホテルに誘ってねとも受け取れるよ! あんなのは嫌って はっきりさせとかなきゃー」

「そーかなー」

「そーだよ! 香がええんやったら それでも ええんやけどー 好きにしぃーなー」

 10月には私達の修学旅行があって、行先は台湾なのだ。私には全く興味が無くて行きたくも無かったのだけど、あんまり、そんなことを言い出すと、お金を工面してくれているお母さんにも申し訳ないので、おとなしく行くことにしていた。

 現地では、台湾の舞踊とか、中学生の交流会とか、観光地にも行ったけど感動無くて、食事も油っぽくて味も濃くて美味しいとは思わなかった。私には、無駄な修学旅行で、これなら現地の中学生との卓球交流のほうがず~ぅっと意義があるのになぁーと思っていた。だから、家族への御土産も無くって、お兄ちゃんからは「へっ」って言われていた。

 私の最近の興味は卓球のことしか無くて、響先輩の言っていた卓球バカになっていたのだ。ただ・・・翔琉のことは・・・彼と居ると昔から気がやすらぐのだ。あの夏の終わりの時のことから・・・翔琉の腕の中で眠りたい、そして、彼と繋がっていたいと・・・あの時、朝起きて した時には、痛みもそんなに感じなかった。幸せが勝っていたのだ。次はもっと気持ち良いんかもと、私の中にエッチな水澄が住みつき始めていたのだ。だけど、その機会も無かった。

  
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