ドリトル先生の長崎での出会い
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第五幕その一
第五幕 島原
先生は皆を長崎市からある場所に案内しました、そこは島原ですが。
「ええと、島原ってね」
「島原の乱だよね」
「天草四郎さんの」
「あの乱だよね」
「そうだよ、その原城の城跡を観に行こうね」
島原のというのです。
「そうしようね」
「ああ、あそこに行くんだ」
「あのお城で戦いがあったね」
「そうだったね」
「物凄く激しい戦いだったね」
「そう、そしてね」
そうであってというのです。
「それもまた歴史だよ」
「確か天草四郎さんって切支丹でね」
「当時幕府は切支丹を禁じていて」
「そのこともあってね」
「叛乱を起こしたんだね」
「藩主のとんでもない悪政が主な原因だよ」
叛乱が起こったのはとです、先生は島原に向かう電車の中で皆にお話しました。学者さんの確かなおかで、です。
「何かにつけて税を取り立てて」
「江戸時代の日本じゃ実際には殆どなかったね」
「そんな悪政は」
「時代劇ではいつもだけれど」
「それでもね」
「そう、幕府の直轄領つまり天領では年貢が軽くて」
その税はというのです。
「そもそも年貢以外納めさせなくて」
「お米だけでね」
「その年貢も軽くて」
「服産品の収入は納めさせなくて」
「暮らしは楽だったんだよね」
「代官さん達なんてね」
時代劇の悪役の定番の人達もというのです。
「そこにいて監督して時々裁判する位で」
「何か平和だね」
「悪いことしてないね」
「気楽な感じだね」
「搾り取るなんかしなくて」
そうせずともというのです。
「何かしたら領民の人達がお礼に付け届けとかくれるから」
「それでだね」
「平和にだね」
「何もしなくても実入りがあるし」
「楽だったんだね」
「そうであってね」
それでというのです。
「幕府の命で来ていて幕府の言う通りに年貢を納めさせればよかったし」
「それでちょっとお仕事したらお礼が来る」
「お百姓さん達から」
「付け届けとか」
「そうだったからなんだ」
「悪いことなんてね」
それこそというのです。
「する必要なかったから」
「それが代官さんの実態だね」
「本当に平和だね」
「江戸時代の日本って平和だったけれど」
「村でもそうだったんだ」
「それで他の藩も平和だったから」
それ故にというのです。
「そんなね」
「悪代官とかいなくて」
「いい政治していたんだ」
「税金もそんなに取り立てない」
「穏やかだったんだね」
「賦役も残酷な刑罰もなくてね」
そうであってというのです。
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