つぎはぎだらけの服
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第一章
つぎはぎだらけの服
ずっと穿いているジーンズで気に入っていた、それでロック歌手の竹内幹治はそのジーンズを捨てるつもりはなかった。
だがずっと穿いているのであちこちだった。
「つぎはぎだらけだな」
「凄いな」
「ああ、もうな」
バンド仲間でずっと一緒にやっている常盤力丸と伊勢安治に話した。三人共痩せていて背は普通位で顔も細い。竹内は金髪をロングにしていて常盤は黒髪にメッシュを入れていて伊勢は茶色で立たせている。
「絶対にだよ」
「捨てないか」
「そのジーンズは」
「ああ、そしてな」
それでというのだ。
「破れた部分はな」
「これからもつぎはぎしてか」
「穿いていくか」
「そうするな」
こう言うのだった。
「俺としてはな」
「お前のことだしな」
「そうすればいいさ」
常盤と伊勢はそれならと応えた。
「ファッション位好きにしろよ」
「別に犯罪じゃないし」
「ジーンズずっと穿けよ」
「そうするな」
バンド仲間に応えてだった。
竹内はそのジーンズを穿き続けた、学生時代から穿いていてメジャーデビューし音楽で食べていける様になってもだ。
そうしていた、その中で。
「あのジーンズいけてないか?」
「そうだよな」
「つぎはぎだらけでな」
「そのつぎはぎが滅茶苦茶目立ってな」
「色も色々で」
「普通ないものでな」
「ロックって感じだな」
そのジーンズはというのだ。
「いいな」
「いかしたジーンズだよ」
「あのジーンズ俺も穿きたいな」
「真似して作ってみるか」
ファンの間で話題になってだ、雑誌やネットでも話題になった。竹内はそのことに驚いてそれで言ったのだった。
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